※本記事、“馬ヶ岳城址”には、卑猥な内容を含みます。
苦手な方は、読まれる際ご注意ください。
9月の上旬頃だったか、福岡県行橋(ゆくはし)市にある、馬ヶ岳城址へ行った。
行橋市の西部、隣のみやこ町との境にほど近い田園地帯にある、
標高200mちょっとの小高い山、馬ヶ岳。
戦国時代、その山頂に、あの黒田官兵衛(如水)が九州に来て最初に居城とした城が存在していた。
山の頂上付近に曲輪(くるわ)が設けられ、山の至る所に土塁や堀切の跡が多数あり、
この馬ヶ岳そのものが山城として機能していたようで、
戦国時代初頭から豊前国の要所として、争奪戦が繰り広げられた城でもある。
城内に建造物は築かれず、居館は裾野にあったと考えられている。
官兵衛が中津に城を築き、そこへ移住した後、
この馬ヶ岳城は城としての役目を終えて廃城されたとされる。
手作り感バツグンの幟と、地元小学生が作った案内看板。
今回、馬ヶ岳へ行くのは二度目。
前回は昨年4月頃に行った。
NHK大河ドラマ、軍師官兵衛 放映時から注目されはじめた史跡で、
ドラマ内でも、この馬ヶ岳城が登場した。
行橋はすぐ近くだし、ずっと行きたいと思いつつも、山の上にある城址。
ちょっとした登山になるため躊躇していた。
黒田官兵衛と対立した、豊前の武将、宇都宮鎮房ゆかりの、
築上町にある、城井ノ上(きいのこ)城址へは行ったが、
それが険しい岩山の難所で、あれを制覇できたのならば馬ヶ岳城は楽だろう。
そう思って昨年、その登山に挑んだのだが・・・。
険しくはないものの、城井ノ上城址とは比較にならないくらいの距離があった・・・。
途中で息切れしてしまい、心折れそうになりながら、なんとか登りきった。
体力の衰えが著しいなと悟った・・・。
そんな馬ヶ岳へ二度目の登山。
まだ厳しい暑さが残る9月、朝早くに家を出て行橋市へと行く。
国道201号線から、みやこ町勝山で県道58号線へと逸れ、
そのまま行橋市へと入ると、ごみ処理施設への入口がある。
この時点で、左前方にこぶが二つある独特の形状をした小高い山が見える。
これが馬ヶ岳。
その形が馬の背に見えることから、そう名付けられたらしい。
ごみ処理施設の看板と併せて、馬ヶ岳登山道入口の看板も設置されてある。
登山道の駐車場は、このごみ処理施設(リレーセンターみやこ処理場)のいちばん奥にある。
途中、ごみ処理施設の敷地内に入る格好となるが、案内に従い迷わず進む。
登山道駐車場のある、ごみ処理施設(リレーセンターみやこ処理場)
駐車場に車を止めて、案内看板に従って登山道へと進む。
駐車場脇には、馬ヶ岳城址のパンフレットも設置されている。
徒歩で、平坦な道を進む。
ため池や田畑を過ぎると、馬ヶ岳が姿を現し、
その裾野を防御のため垂直に寸断して作られた、長い堀切に沿って進む。
ぐるっと山を周り込む格好で、登山口に到着する。
田畑の並ぶ田園地帯にある、案内看板
初めて来たとき、矢印の指す方角を間違えて進んでしまった。
これじゃ左に曲がれって思うが、正解は直進。
他にも間違えてしまうひと居るんじゃ?
敵の侵入を遅らせるために、山の裾野を垂直に切って作られた堀切跡。
しっかりとした馬ヶ岳城の解説看板に、ちょっと汚いけれど簡易トイレも設置され、
地元の小学生が作った案内看板や、登山ノートなどが充実し、
木の枝の杖なんかも用意されていて、
地元住民や行橋市の教育委員会が力を入れているのが判る。
昨年訪れたときよりも、そういったものがより充実していた。
馬ヶ岳登山口
さっそく登山開始。
はじめこそなだらかな斜面を歩いて行くが、
途中から勾配がきつくなってくる。
いちおう足場が階段状に整備されてはいるが、そうでない部分もあって、
歩幅も均等でなくなって、変化してゆく足場に疲れが溜まっていく。
時期的にキノコがたくさん生えていて、いろんなキノコを撮影していたが、
途中、これまでに見たこともない、ものすごいキノコに遭遇して、しばらく観察に夢中になる。
卑猥な形・色をしたキノコに出会うが・・・
それを遥かに凌駕する卑猥なキノコに出会う。
大きさもちょうどそのくらい・・・この反り具合もリアルだし、裏には筋らしきものも・・・。
さらには表面には粘液のような水滴がたくさん付着していて・・・。
あらゆる角度から観察して写真を撮りまくった・・・。
登山道途中にも、堀切や土塁を見ることができる。
平坦な道を寸断して築かれた長い土塁、敵が攻めにくくする工夫だ。
それらを過ぎると、さらに急になり、道も曲がりくねりだす。
途中、別ルートの登山道との分岐がある。
昨年訪れたとき、ここで年配の男性が疲れ果てて座り込んでいた。
声をかけると、「何か食べてきましたか?」と訊かれ、
「朝にヨーグルトと果物を少し・・・。」と答えると、
「ああ・・・ヨーグルトはいいですね・・・
わたしゃ何も食べて来んかったけん、もう腹減ってしまって・・・動けません。」
苦笑いしながら、その男性は答えてくれた。
年配とはいえがっしりした体形だったし、笑うくらい冗談が言えるのだから大丈夫だろう・・・。
そう思い、男性をその場に残したまま上を目指した。
自分もへたり込みたい気分だったが、まだだ・・・まだ座らんよ!
そうして登り続け、またあった分岐点を過ぎ、
うっそうとした場所を過ぎて光が射しこんでくる。
うほっ!頂上が近いぞ!!
カクカクしてきた足に鞭打ち、気力を振り絞って登ると・・・!
おおっ!
開けた場所に到着。
丸太を削ったような手作りの椅子もあるし、古い祠ようなものもある。
手前には岩が並んでいて、それぞれ“太閤岩”,“官兵衛岩”,“又兵衛岩”と立て札があった。
ここが頂上か!
写真じゃ判りづらいけれど土塁跡
展望台にあった、太閤岩,官兵衛岩,又兵衛岩。
展望台から行橋市街地をのぞむ。
これは昨年初めて登った時のこと。
実はここ、140m地点の半分ちょいくらいの場所にある展望台に過ぎなかった。
しばらく眺望を楽しんだのち、水分補給して分岐点まで戻った。
さっきはここの看板を見ていなかったが、この分岐点の看板を見て驚愕する。
頂上だと思っていた場所が展望台で、二の丸跡,本丸跡は、まだまだ先だったと知ったのだ。
あのときの絶望感ったらなかった。
もう疲労困憊でへとへと・・・。
頂上制覇したとばかり思っていたら、まだ道半ば・・・。
しかし・・・ここまで来たのだから、本丸目指してもうひと踏ん張りするか!
展望台
眼下には車を止めたごみ処理施設が見える。
今回は、もうそれを知っているから何でもない。
それよりも、昨年ほど疲れていない。
暑さ厳しいときだったが、あのときよりも少しは体力が戻ったか?
展望台で涼しい風を浴び、景色を楽しんだあと、二の丸,本丸へと進む。
馬ヶ岳を遠くから見て、ふたつ見えるこぶ。
その低い方が、二の丸跡で、高い方、すなわち頂上が本丸跡となっているようだ。
展望台からは北東~南までの片側の景色しか見れず、
その反対側は二つのこぶが並んで見えるので、
よくよく考えると、そこが頂上でないことは明らかだった。
展望台から見る、二の丸と本丸。
さらに登り続けて行く・・・
二の丸跡
平坦部を遮るように削られた堀切を過ぎ、しばらく歩くと二の丸跡に辿り着く。
ここも展望台のようになっていて、椅子もあって眺望を楽しむことができる。
再度、水分補給など休憩して、さらに本丸跡を目指す。
二の丸跡から本丸跡までは、そう離れてはいない。
本丸跡には頂上らしく、360°見渡せるパノラマ眺望。
でっかい石碑に古い祠、馬ヶ岳城の解説が書かれた看板もある。
椅子に腰かけて、しばらく眺望と風、そして飛び交う昆虫の姿を楽しむ。
ちょうどタカサゴユリやマツヨイグサがたくさん咲いていて、それもまたいい光景だった。
本丸への最後の道、もうすぐ頂上
昨年はゼエゼエハアハア・・言いながら頂上に辿り着いた。
そこで水分補給し、リュックから栄養ゼリーを取り出して飲み干し、飴玉を口に入れた。
!
そのとき、ふと罪悪感が込み上げる。
さっき座り込んでいた男性に、これをあげるべきだったんじゃ・・・。
あのとき、登山の素人でまったく思いもしなかったが、
こういうときは所持している食物を差し出し、助けるのがルールではなかろうか・・・。
下山途中、あの分帰路に既に男性の姿はなく、無事に下山できたのだろうと安堵した。
・・・そんなことを思い出しながら、石碑と祠に手を合わせてから下山する。
馬ヶ岳頂上 馬ヶ岳城址本丸跡
石碑は戦国時代以前にこの城に在城したとされる、新田氏を称えて建てられたもの。
頂上からのぞむ、みやこ町(左)と、行橋市街と苅田(かんだ)町(右)
頂上から見た、豊前市,大分県中津市方面
周防灘も見える。
二回目となった馬ヶ岳城址。
低山で初心者向けの登山コースということで、
往復にそんな時間もかからないし、とくに危険な難所もない。
自然が豊かで色々と楽しいし、毎年夏場に来るのもいいかもしれないな。
ここからは、馬ヶ岳登山中に出会った動植物の写真。
キキョウ/ツユクサ
タカサゴユリ/マツヨイグサ
キツネノマゴ?/オトコエシ
ヘクソカズラ
ツチガエル
ツチイナゴ?/クルマバッタ
ジャノメチョウの仲間?/ヒョウモンチョウの仲間?(調査中)
クルマバッタモドキ?/ハグロトンボ
レアなカマキリの脱け殻
クモの巣にかかったツクツクボウシ
クモは仕留めようと何度もツクツクボウシに近寄るが、
ツクツクボウシが暴れると、ビビって巣の外周へと逃げる。
それを何度も繰り返しているうち、巣はほとんど崩れてしまい・・・。
この結末がどうなるか、しばらく眺めていたが、
あまりにビビりなクモに、しびれを切らして途中でやめた。
あのままだとツクツクボウシは脱出していたかも。
地面に舞い降りては、一心不乱に獲物?を探していたハチ。
ベッコウバチの仲間だと思われる。
あまり詳しいわけじゃないけれど、動植物の観察は楽しい。
犀川の酒蔵が販売している、清酒 馬ヶ岳。
ラベルにも黒田官兵衛をアピール。
和紙風なのがオシャレ。
それ以前に購入していた豊前市の酒蔵が販売している焼酎、城井鎮房と並べて。
空きビンとっといて良かった。
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