武田知弘ブログ

フリーライターの武田知弘のブログです。

非正規雇用の老後は生活保護以下になる2

2012-09-03 21:40:41 | Weblog
 財界は、バブル崩壊以降、「雇用の流動化をしたい」という方針を発表しました。これは、結局、法律を変えて首を切りやすくしてほしい、正社員の代わりにアルバイトや非正規雇用をたくさん雇えるようにしてほしい、ということだったのです。政府は、それをそのまま実現させてきたわけです。
 その結果、勤労者の3分の一が非正規雇用などということになってしまったのです。

 財界というのも無責任で馬鹿だなと思うのですが、自分たちだけ守っても、国民が豊かでないと、結局、自分たちも成り立っていかないのです。
 若者のクルマ離れはその象徴で、若者は金がないから車を買えないわけで、「大企業がちゃんと給料を払っていないから、社員を雇っていないからだろう」という話です。
「今の若者は車に興味がないだけ」などという論者もいますが、そもそも車というのは、興味が
あるから買う人よりも、便利だから買う人の方が圧倒的に多いわけです。「便利だから買う」と
いう商品は、経済的に余裕がある人しか買えないわけです。今の若者は、車の便利さと、購入費、維持費を天秤にかけた場合、購入費、維持費の方が高く感じる。だから、買わないわけです。
つまりは「便利なものを買う」ための経済的なゆとりがないわけです。

 しかも自動車業界は勝手なことに、景気後退すると国家からの補助金をもらったり、円高になれば「我々は危ないから助けてくれ」ということを言うわけです。それで表面上の業績だけつくろう。
 自動車業界の経営者のみなさん、よく考えてください。
 あなたたちの末端の工場で、毎日汗水たらして働いている派遣労働者たちは、自動車が買えますか?
 彼らに自動車を買うだけの賃金を与えていないから、車の市場がどんどん小さくなっている
わけでしょう?
 結局、あなたがたは自分で自分の首を絞めているわけです。

 みんながみんな、視野がすごく狭いというか、短い期間の自分の利益のことばかり考えて、長期的なことを全然考えていません。長期的に見れば、絶対に苦しくなるとわかっているのに、なんの手当もしない。それが、ちょっと信じられないです。

*この文章は、日経ビジネスオンラインでの私のインタビュー記事を要約、補筆したものです。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20120807/235406/

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非正規雇用の老後は生活保護以下になる1

2012-09-02 17:59:58 | Weblog
 生活保護に関して一番大きな問題は、生活保護予備軍が今非常にふえているということです。非正規社員が今、全体の3分の1になりましたが、この人たちのほとんどは、老後の年金は生活保護以下になるはずです。となると、それがほとんど生活保護の予備軍ということになっています。結局、社会保障の問題は経済問題であるということです。

 非正規社員である3分の1の方は、確実にその多くが生活保護以下の暮らしになる。それはもう、今わかっていることです。このことについて、異論を唱えられる人はいないと思います。どんな新自由主義的な経済学論者であっても。

 この数字を見てどう思うか、僕はいろいろな方に聞いてみたいわけです。
 今のままで本当にいいのか。非正規社員の待遇がこのままこんなに悪くて、社会保険も十分でなく、もらえる額も十分でない中、雇用条件も悪い中で、このまま放置していていいのでしょうか。

 非正規雇用を増やしたというのは、日本経済を表面上、活性化するために問題を先送りにしているとしか思えない。経済をよくするために雇用条件の悪い人を増やした。一部の大企業の業績を上げて、表面上の景気だけよく見せるという経済政策がずっとここ10年以上行われてきたので、今後、食っていけない人たちがどんどんふえていくことは確実で、これはデータとして誰が見てもそうです。

 竹中平蔵さんにそれは聞いてみたいですね。3分の1の非正規社員の人たちの老後をどうすればいいのか。彼の言うように、この人たちは株で儲ければいいのでしょうか。この3分の1の人たちは株で儲けられるはずはありません。この10年「給料が減った分は株で儲ければいい」というような発想で経済政策は行われてきたので、そのツケがどんどんこれから大きくなっていく、そのことが社会保障というより、日本の経済社会全体が抱える一番のガンだと思います。

 このままいったら、確実に大きな負担になるはずです。その人たちをみんな国が保障せずに放置して自分でやってくれと言うのであればいいですが、そういうことをしたら本当に社会不安になります。犯罪率の上昇とか、暴動とか。

 だから、経済理論云々よりも、この数字をちゃんと直視してほしい。非正規雇用の人たちはどう考えても20年後、30年後に経済的に苦しくなるのはわかっている。それをわかっていて何もしない。手を打たない。
それが、現在の日本の最大の問題だと思うのです。


*これは日経ビジネスオンラインで掲載された私のインタビュー記事を要約、補足したものです。


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新刊の紹介~税金は金持ちから取れ~

2012-09-02 00:57:04 | Weblog
「税金は金持ちから取れ」という本を出しています。

・年収5千万円以上の超高額所得者がこの10年間で2倍以上に激増していること、
・株主配当金は4倍以上に激増していること
・企業の内部留保金はこの20年間で100兆円も増加していること
・この20年間、高額所得者や大企業には大幅な減税がされてきたこと
・「金持ちに増税すれば海外に逃げる」は嘘であること
等々を国税庁のデータをまじえて説明しています。

このデータを見れば、誰に増税すべきかは馬鹿でもわかると思います。
財務省に洗脳され、消費税が公平な税金を思い込んでいる方々にぜひ読んでいただ
きたいです。

日経ビジネスオンラインの私のインタビューでは、明確なデータがないという
ご意見もあったようですが、この本では明確なデータをつけていますので(イン
タビューでは詳細なデータは語れませんて)

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