武田知弘ブログ

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非正規雇用の老後は生活保護以下になる1

2012-09-02 17:59:58 | Weblog
 生活保護に関して一番大きな問題は、生活保護予備軍が今非常にふえているということです。非正規社員が今、全体の3分の1になりましたが、この人たちのほとんどは、老後の年金は生活保護以下になるはずです。となると、それがほとんど生活保護の予備軍ということになっています。結局、社会保障の問題は経済問題であるということです。

 非正規社員である3分の1の方は、確実にその多くが生活保護以下の暮らしになる。それはもう、今わかっていることです。このことについて、異論を唱えられる人はいないと思います。どんな新自由主義的な経済学論者であっても。

 この数字を見てどう思うか、僕はいろいろな方に聞いてみたいわけです。
 今のままで本当にいいのか。非正規社員の待遇がこのままこんなに悪くて、社会保険も十分でなく、もらえる額も十分でない中、雇用条件も悪い中で、このまま放置していていいのでしょうか。

 非正規雇用を増やしたというのは、日本経済を表面上、活性化するために問題を先送りにしているとしか思えない。経済をよくするために雇用条件の悪い人を増やした。一部の大企業の業績を上げて、表面上の景気だけよく見せるという経済政策がずっとここ10年以上行われてきたので、今後、食っていけない人たちがどんどんふえていくことは確実で、これはデータとして誰が見てもそうです。

 竹中平蔵さんにそれは聞いてみたいですね。3分の1の非正規社員の人たちの老後をどうすればいいのか。彼の言うように、この人たちは株で儲ければいいのでしょうか。この3分の1の人たちは株で儲けられるはずはありません。この10年「給料が減った分は株で儲ければいい」というような発想で経済政策は行われてきたので、そのツケがどんどんこれから大きくなっていく、そのことが社会保障というより、日本の経済社会全体が抱える一番のガンだと思います。

 このままいったら、確実に大きな負担になるはずです。その人たちをみんな国が保障せずに放置して自分でやってくれと言うのであればいいですが、そういうことをしたら本当に社会不安になります。犯罪率の上昇とか、暴動とか。

 だから、経済理論云々よりも、この数字をちゃんと直視してほしい。非正規雇用の人たちはどう考えても20年後、30年後に経済的に苦しくなるのはわかっている。それをわかっていて何もしない。手を打たない。
それが、現在の日本の最大の問題だと思うのです。


*これは日経ビジネスオンラインで掲載された私のインタビュー記事を要約、補足したものです。

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