ある人から
「SATOさんは個性がない」
と言われた。
「個性」
その人独特の雰囲気とでもいうか、真似しようとしても決して真似できない、その人独特の味とでも言おうか。
この個性をステージでいい方向に利用することが出来れば何もしなくても輝きを放つことの出来る、非常に優れた長所であると思う。
「個性がない」と言われたときに、全く思い当たる節がないわけではなかったので、「ドキッ」としたのを覚えている。
というのも、私が今のチームに入った頃まで話はさかのぼる。
その当時、今と同じようにチームの人数は少なく、どの曲もひとり1パート、控えなどいない。ひとりでも休めば演奏できないという曲がいくつかあった。
そんな状態の中に入った私が目指したことはオールラウンドプレイヤー。誰が休んでも、その穴埋めが出来るようになろう、誰かが休んでも、どの曲でも演奏できるようになろう、ということであった。
意外と物覚えが早かったのと、ちょっと器用だったのが幸いして、いろいろなパートを覚えた。
おかげで、チームの中で、誰よりも演奏できる曲のパートの数は多いと自負している。
決してそれが嫌なわけではない。それぞれのパートの面白さ、難しさを身をもって感じることが出来るから、本当に楽しいし、演奏においてプラスになることが多い。
ただ、マイナスになることもあると思う。
それが「個性」。何でもできるって言うことは、裏を返せば「これっ」てものがない。
「これが私だっ」と言えるものがないため、個性もなくなってしまう。
今ではある程度、私の演奏するパートは固定されているが、まだまだ個性が出てくるには至っていないように思う。
私の個性、ってどうなんでしょう。
自分で意識してできるならあまり苦労しないんですけど、どんなに意識していても出来ないことだから難しいですよね。
私の個性、これからいい味出せるようになれたらいいなぁ。