
10年くらい前からわりと若い人のお遍路さんを見かけるように
なった気がする。2年ほど前に30代前半ぐらいのすらっとして
背の高い男性のお遍路さんと行き交った時に軽く会釈をしたが
その人の澄んだ瞳と爽やかさに感じ入った事があった。
「遍路」は春の季語になっていて、傍題には「遍路宿」「遍路笠」
「遍路道」「善根宿」などがある。また秋になると季語としては
「秋遍路」となり、古賀まり子さんの句に、
補陀落の海きらきらと秋遍路
というのがあって「補陀落(ふだらく)」とは、サンスクリット語
で観音浄土を意味する「ポータラカ」の音訳だそうで、観音菩薩
の降り立つとされる伝説上の山であり、霊場とされているらしい。
それで何年も前に夏井いつき先生の俳句のラジオ番組に、上記の
句に影響されて作った句を投稿したのが、
補陀落を知つてゐさうな赤蜻蛉
で、珍しく放送で取り上げられて嬉しかった思い出がある。
昔と違ってお遍路関係の番組がラジオでも毎週のようにあるし、
外国から巡礼に来られる人も増えて、お遍路もずいぶんメジャー
になってしまった(笑) 私もいつか行きたいとは思うが、何せ
全行程200里、約40日もかかるから相当覚悟した上でないと始め
られない。まあ実行するにしても88ヶ所を連続で回るのでなくて
小刻みに少しずつ行くぐらいしか出来ないかもしれない(笑)
というわけで、今日は以下にお遍路の俳句を記して、おしまい
にする。
すれ違ふ微風のやうに遍路人 鈴木鷹夫
足どりも風もひとすぢ遍路みち 吉原一暁
響き合ふ母子遍路の小鈴かな 奥田恵美
遍路笠沖は黒潮流れをり 益本三知子
それぞれの荷を背負ひけり花遍路 千葉みちる