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氷椅子

なんだか脅されるかのように書かれ始めた日記。タイトルはその場の思いつき。

ケータイ

2007-12-25 22:35:21 | 小説
 さっそくスピンアウト。あるぇー?



 ピロリロリロリン♪

 どこからかケータイのなる音が聞こえる。
 あたしは無意識のうちにそれを探した。目の前は暗くにじんでいて、よく見えない。だけど、あたしの意識はそれを探している。ポケットの中、鞄の中、手に持っているのかも。ただ、いくら探しても見つからない。いったいあたしのケータイはどこに行ってしまったんだろう。夜明け前の朝靄のような闇の中、あたしはケータイを探す。心の奥底で、そんなものはないと知りながら。
 いや、あるはずなどないのだ。あたしは今裸だ。ケータイなんてどこを探しても出てくるはずがない。ポケットもなければ鞄もない。手はそんなものをもてるほどに大きくない。
 いや、おかしい。何故あたしは裸なのだ。そんなわけがない。あたしは今まで――何をしていた? 何を探していたのか……そうだ、ケータイだ。ケータイがなっているんだ。でも、ケータイってなんだ? そもそもそんなものなってたっけ? というかなるって何? あたし今何を考えているの? あたしって誰――?
 暖かい海の中を、独りで漂っている。あたしはあたしよりもっと大きな世界の一部で、でも同時にあたしという個人でもあった。どこにもいけないかわりに、どこまでもあたたかい。ずっといたいけれど、すぐにここから出て行きたい。少しずつ、世界の力が強くなっていく。ここは、おまえにはもう狭いんだよ、と優しく語り掛けてくる。もうすこしだけ、ここにいたけれど。ああ、でも――。
 そして、世界が開ける。
 朝靄の中の夜明け。世界が白く滲んでいく。狭く暗い、どこか暖かい隧道を抜けて、冷たく、寒く、それでも光の溢れる世界へ。
 ずるり、と最初に頭が抜けたら後は簡単だった。あたしの身体には頭より大きい場所なんて一箇所もなくて、すとんと落ちるようにあたしはこの世に現れた。

 どこからか、泣き声が聞こえた。

「真由美。あなたの名前は真由美よ――」

ケータイ

2007-12-23 18:27:38 | 小説
 世もすなるケータイ小説というものを、我もすなりと思ってやってみる。




 ピロリロリロリン♪


 夕暮れにあたしのケータイがなった。

 けど、あたしはそれを無視することに決めた。

 だって――

 今、あたしの隣には杉浦先輩がいるんだもんっ♪♪♪



 杉浦先輩は格好よくて頭もよくて、あたしたちの憧れの的なのっ。

 その人が一緒に帰ろう、なんて言ってくれて……ああ、もう頭がフットーしそうだようっ♪


「真由美ちゃん、ケータイいいの??」

 先輩がわざわざあたしのことを心配して、聞いてきてくれた。嬉しい。

「いいんですっ♪ それより、ほら、夕焼けが綺麗ですよ――」

「わあ、本当だね」

 そしてあたしたちは二人でしばらく夕焼けを眺めたの。

 それは本当に綺麗で……

 まるであたしも焼けてしまいそうなくらい、紅くて……

 あたしの世界を壊してしまいそうな、そんな不安があって……

 ただ、そんな複雑な思いをあたしはどうしようもなくなって、気がついたら一筋、涙が出ていた。

 でも、そんなあたしの涙を、そっと杉浦先輩はぬぐってくれたの……

 お互い、何も言わないでも相手のことがわかってる。

 そんな素敵な気持ちがあたしたちを包んで……

「前から、好きだったんだ。真由美ちゃん……」

 あたしもです……先輩……

 そして、赤い光の中、あたしたちは、一つになった。



     そして、山野真由美の世界は暗調する。


 続く。

楽しい小説講座

2006-11-28 16:17:17 | 小説
 この世のつまんない小説の多さに絶望したので。まあ、適当に。


  →承前
 さて、ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、この世には楽しく分かりやすく素晴らしい(エクセレント!)な「しょうせつのかきかた」というものがいっぱいあります。山ほど。海ほどあるかどうかは微妙なとこでしょうが。
 そんな供給過多な業界に参入するにあたって、フツーのやりかたじゃだめです。もっと独創的なのを。つーわけで、あるようで無かった一つの小説の製作過程を追いながら、解説をいれていくことにします。
 ま、プロットも碌に立ててないんで、楽しい小説になるかどうかは運しだいでしょうが。
 そんなこんなで。はじまりはじまりー。


  →テーマ
 さて、小説(というか物語全般)を創るにあたって、まず設定する必要があるのがテーマです。テーマというのはここでは物語の目標、指標みたいなもんだと思ってください。ですので「現代における若者の価値観とそれのよるべく世界」やら「動物化するポストモダンを踏襲した人間像の至る先」やら難しいテーマじゃなくてけっこうです。やりたいならやってもかまいませんが。このひねくれもの。
 まあ、そういったことで、わかりやすいテーマとは例えば恋愛ものが書きたい気分なら「恋愛」を基本に、学園ものがやりたいなら「学園での恋愛」、ヒロインを宇宙人にしたいなら「学園で宇宙人と恋愛=ラヴ」とか。まあ、そういった風に広げていけば問題ないです。ただ、この段階で細かいとこまで設定する必要はないので、本当に、大体の方向性、といったとらえかたで問題ないでしょう。
 ただし、このテーマというものは厄介なもので、物語を創っている最中に、変質していきます。テーマが物語りに耐えられなくなってしまうのです。なので、あまり深いことは考えずに、テーマの設定の段階では思う存分、妄想を楽しんでください。妄想を楽しめるのはこの段階だけなので。

 さて、それではこの小説作成講座で使用することになる小説のテーマを決めてみましょうか。そうですね……ライトな方向のほうが判り易いでしょうから、ライトノベルみたいな感じにするとして、それではファンタジーにしてみましょうか。ファンタジーといえば魔法ですね。ハリィの人気に便乗するかたちで「魔法学園」にしましょう。まあ、ライト分はこれくらいにして、意外性を狙う形で「ハードボイルドな魔法学園」としてみますか。そしてハードボイルドと来たら「ハードボイルドな魔法学園ミステリ」でしょう。
 よし。テーマが決まりました。「ハードボイルドな魔法学園ミステリ」


  →ストーリー
 ストーリーを先にするか基本設定を先にするかでは、意が分かれそうですが。というか、正直テーマからストーリー、設定までは同時進行でやるようなもんなんですが。判りやすく行きましょう。
 ストーリーの創り方ですが、まずは一から創るか、もしくはお話作成テンプレートに乗せるか、それを変質させるかを選択します。お話作成テンプレートとは、まあ、簡単に言えば王道のことです。ミステリならば人が殺されて、捜査して、解決、大団円。ホラーだったら不思議なことがおこって、幽霊なり何なりが出て、何とかしたいできなかったりして、ギャーで終わり。まあ、そういった感じのもんです。まあ、これに沿って物語を作成するのが一番楽な方法ですね。
 それでは満足できないひれくれものなあなたには、これ。一から創りましょう。これは先ほど説明したような流れを全部自分で作成しなくちゃなんないので、正直いって泣くほど面倒なのですが。まあ、一応方法だけでも。
 まず、起承転結を作成します。別に起承転結じゃなくても転結起承結とか起承転結転結とか、まあ、なんでもいいのですが、分かり易く起承転結としておきましょう。次に物語のテーマに沿って大体起こることを割り振っていきます。先の「宇宙人と学校で恋愛」だったら、結は結ばれるor振られるでしょうし、転はそこに至るようなものでしょう。起承は馴れ初めと通常生活くらいが適当でしょうか。まあ、ここでヒロインをたこ型宇宙人とかにしてラストを地球制圧とかんにすると意外性は高いと思います。面白いかどうかはさておき。ただ、上の例で作成したものは多分すでにテンプレートとして存在しているので、そっちを使ったほうがいいでしょう。だから、まあ、一から創るなんて相当文学性の高いものか、相当凝ったテーマの場合しかないので、あまり使うこともないでしょう。
 というわけでテンプレートをそのまま使うのは嫌だけど、一から創るのも面倒くさいという欲張りなあなたにはこんなものが。テンプレートを変質させちゃえばいいのです。ミステリだと実は語り部が殺人犯だっとして、結に転をもってきます。まあ、正直これが一番難しいのですが。
 ただ、テーマのところでいいましたが、相当長いものを書くのでもない限り、最低限決めたら後は適当で問題ないです。その場になったらアイデアが浮かぶもんなんで。浮かばなかったら浮かぶまで待ちましょう。

 さて、「ハードボイルドな学園ミステリ」ですが、これはテンプレート変質型を使うことにします。テンプレートはミステリで。ハードボイルドは主人公に押し付けましょう。舞台は魔法学園ですので、ハードボイルドな野郎がいるには相応しくありません。というわけで起は主人公が学園にやってくるところです。そして同時に起に人が死ぬというのを持ってきます。人が死ぬのを転ではなく起に持っていき、転での解決、結でのメタ的解決という二段構えにしてみましょう。だとすると承は捜査です。
 ふむ、ハードボイルドでミステリですが魔法学園が入りませんね。そちらは設定と描写で味付け程度に使いましょう。
 まあ、そういった話になりそうです。


 今日はここまで!

探偵さんはいないけど

2006-06-12 13:12:39 | 小説
 今晩は、tahiriです。

 最近の状態を簡潔かつ明瞭に表すならば、関口巽。ああ、目眩がする――。
 だめな人です。もうほっといてください。何のことか分かんない人は、ミステリマニアのお巡りさんに向けて機関銃を撃ってみましょう。それどころじゃなくなります。

 では、解答用紙編をどうぞ。なんのことやいな? て人は問題用紙編をどうぞ。

 習作/ミステリ/問題
[問Ⅳ 次の設問に答えよ。解答用紙]

 結論から言おう。犯人は「0」である。

 1+1=2という完全な公理は、登場しない「0」による、「2」の抹消という形によって終わりを迎えた。蓋を開ければ、なんのこともない、つまらないトリックだが、もったいぶる意味も込めて、少しだけ引っ張ってみよう。もしかしたら、答えを書く以前に誰かが気づくかもしれないからだ。教師にとってそれほど嬉しいことはない。
 1+1=2、これのうち密室に包まれた2が消された。事件の概要はそれだけだ。とはいえ、完全に2という数値が消されたわけではない。変換が起こったのだ。2以外の数への。そこには、前述の0、そして共犯として1が関わっている。シンプルで冷たい綺麗な公式に。
 1+1=2事件。ここまで読んで真相が分かった賢明なるものもいるだろう。だが、もう少しだけ文章を続けてみよう。犯人である「0」は、我々の住むどこにでも潜んでいる。コンピューターの中等といった所謂仮想現実だけでなく、物質世界、引いては我々の精神世界に至るまで。「0」という何もない、それだけを現す記号は有効なのだ。しかし、その「何もない」は、そこに少しだけ――「1」を足すことによって、世界を表現できる。この世総ての記号を相手にとることができるのだ。「0」と「1」の不思議な世界。――さあ、もういいだろう。お開きの時間だ。
 1+1=2、2が殺された、0が犯人。断片は揃った。答えはしょうもないものだが、明かさない訳にもいかない。それでは、最終解たる式を最後に、この解答用紙を終わろう。

 0001+0001=0010

 つまりは、二進法だ。
 証明終了。


「……さっきの解等みた?」
「ああ、ありえないよね。なにあれ?」
「うん。何でも、2死ん法だから、らしいけど……」
「そんなオチかよ!」

 終わり。

 こんなオチだよ。
 何気に前回も含めて解答用紙編の最初と最後以外、段の始めが1+1=2にまとめられてたり。誰も気づいてくれないから自分で言った。
 感想くれたら嬉しいんじゃないんでしょうか?

脅迫は精神的な苛めです

2006-06-05 22:23:43 | 小説
 更新しろ、と脅されたので、何か書いときます。電車の中で京極堂さん読んでる時に思いついたミステリ風味とか。〆切、どうしようかなあ……。

 習作/ミステリ/問題
 [問Ⅳ 次の設問に答えよ。問題用紙]

 1+1=2である。これは絶対的公理であり、証明が為されていようといまいと、世界が世界であり続ける限りにおいては1+1=2であり続けるであろう。
 1+1=2、これを見るとき、おそらくは誰も「1に1を足したら2である」等という計算はしない。1+1=2という事実を知っているものにとっては、それは「1」「+」「1」「=」「2」という式ではなく、もはや「1+1=2」であるという記号と成り果てているのだ。だからそれはもはや結果ではなく、前提となる。それを踏まえて考えてみよう。もしも、1+1の解が、2では無かったら? いや、何者かによってその解が2ではなくならされたとしたら?
 1+1=2という事実は人間にはどうしようもない。よってその2という解を奪った――その解を殺したものは、人間ではありえない。したがって犯人は記号であろう。記号は記号にしか左右できない。記号を生み出すのはヒトだが、記号を使い式を編むことはできても、記号を動かすことは出来ない。犯人は記号だ。それは間違いない。しかし、どうやったのだろうか。
 1+1=2。登場人物(記号?)は実に単純だ。「1」「+」「1」「=」「2」。これだけである。このうち、「+」及び「=」は単に式を編むものであるから、除外しても構わないだろう。すると残ったものは「1」だけとなるのだが、これにも犯行は不可能だ。「1」と「2」は「=」によって隔てられている。つまり、「2」は謂わばイコールの密室によって守られているのだ。直接的どうこうするのは不可能だ。間接的に殺すにしても1+1=2の完全性が崩れてしまう――いや、「1」が犯行に及んだ時点で、それは儚く崩壊してしまう。だが、2は殺されたのだ。
 1+1=2、その完全性は崩れない。しかし「2」は殺されてしまう。何故か。それを証明しなさい。(配点60点)


「……さっきのテストできたー?」
「全然。つーか、何あの四番」
「ああ、先生がミステリーに嵌った挙句できたらしいよ。配点が虐待だけど」
「……死ねばいいのに」

 終わり。

 解等編もありますが、あまりにもくだらないので公開するかどうかは微妙。いくらミステリといっても記号化しすぎるのはよくありません、ということで一つ。

エイプリルウィーク・完結編。

2006-04-24 16:28:56 | 小説
 前回から続き。

From:thairi
Subject:---
本文:明日九時にK公園にて。


 私が待ちに待ったメールは、このようなものでした。私はただなんでもいいから、そこで物語が終わるような、もうどこにも続かない、腐った夏の風のような。そういった返答をこそ望んでいたのです。何にも続かなくていい。そこで停滞しているような。
 もちろん、こういった考えには異論を唱える諸氏が大勢いらっしゃるでしょうし、普段の私でも「何を保守的な」と、鼻で嘲笑うような考えです。しかし、この時の私は、何よりも終わりにしたかったのです。熱病に浮かされたようにメーラーをチェックする日々。かつての友人を疑い、疑心暗鬼に陥っていく自らの弱く、繊細ながらも邪悪な心。何の確証も、論理的帰結も得ぬまま、自分ですら得たいの知れぬ感情で動く自分自身。その総てに決着を付け、いつ果てるとも知れぬ、ただ悪夢のみが存在するような、まるで春の陽気が全てを偽っているような――そのような日々からの脱出。それだけが、私の望みであり、全てでした。
 心の奥に潜む焦燥と困惑の魔物、それを排除するため。その衝動のみが私がK公園へと導くことになったのだと思います。K公園は、私とTがよく遊んだところでした。私は学舎で彼と学び終わると、共に学校の近くにあったK公園に足を運び、夜の帳が総てを隠すまで遊び続けました。おおよそ、子供の思いつくような遊びはほとんど彼と遊びました。前も書きましたが、彼と私はよき親友であり、K公園は私にとってそれを象徴するような場所でした。
 そのK公園を指示したということは、やはり謎の”thairi”はTなのでしょうか。おそらく、そう考えるのがもっとも合理的なのでしょう。しかし、彼を疑えと大合唱していた私の親愛なる無意識は何も答えてくれません。いくら自分の裡に、可能な限り冷静な、公正なる鏡の瞳を向けて、徹底的に走査しても、そこにあるのは凡庸なる灰色、暁に沈む月の色のみでした。
 行くべきか、行かざるべきか。この哲学的とも、即物的とも取れるようなまるで中世の戯作家が残したような問題に、私はたったの一晩で決着をつけなければならなかったのです。眠れませんでした。安息は訪れず、苦痛とただそこにある悪夢が私を捕えて放しませんでした。どれほどの水を飲もうと乾きは癒えず、どれだけの暖をとっても寒さは止まることはありませんでした。
 しかし、それだけ太陽を忌避しようとも、朝はやってきます。私は何も決められないままに、どんな覚悟も抱え込むことができずにK公園に向かい、thairi――Tと会うことになったのです。
 果たしてTは、十分ほど遅れて姿を現しました。この時の私の内面は、とても言葉では言い表すことはできません。Tを信頼していました。信用していました。好きでした。友情を感じていました。彼を疑う自分を何より疑いました。私を裏切らないと、確証もなく信じ込んでいました。大好きでした。愛していました。この瞬間、私の中で友愛が確実に一つ消えたのです。
 泣いた気がします。糾弾した覚えがあります。怒りをぶちまけたような気もしたかと思えば、友情を語り合い、共に笑いあったような気もするんです。しかし、会話自体は何の重要性もありませんでした。大事なことは、全て言葉に包み込まれてしまいましたが、それを悟るだけで十分だったのかもしれません。朝の空気の中Tを見て、私の怒りも萎え、ただ穏やかな空虚さのみが場を支配していました。
 私はTにこのようなことをした理由を訊ねました。
 Tは答えました。ただ、「never more」とのみ。
 またとなく、意味はない。冥界の大鴉の名前。昔の詩歌の一節であり、理由でもなんでもありません。私は納得しました。理由なかったのでしょう。それは、可愛らしい悪戯とか、少し悪質なジョークとか、そういった話ですら無く、世界に対する挑戦やら、メタ世界の顕現とか、そういったものですらなく、ただnever more。またとなく、どうしようもなく、意味もない。そういったもので、言語で現すのは不可能に近くて、でも、どうしようもない。
 きっと、私にはTの行為を理解することは不可能でしょう。五秒後の私には、私が今書き記して、感じていることを理解することも不可能になるでしょう。never more。さようなら。

 終わり。

 あー……いい加減冗長になったんで、プロットを死ぬほど省略して、無理やり終わらせましたが、やはり意味不明な感じに。一応意味はあるのですが、発信者の側に受け取らせようという意図が大して見受けられないんで、スルーしたいいです。おやすみなさい。tahiriでした。
 あ、そういやこの小説のタイトルがエイプリルウィークなのは、当初一週間で終わらす予定だったらしいですよ?
 後、次から三月とかの調子に戻ります。次がいつかはしりませんが。

エイプリルウィーク

2006-04-10 22:43:00 | 小説
 今日は、私の身に起こったことを話しておこうと思います。自分でもまだ信じることが出来ないようなことなんですが。
 ここをごらんの皆さんならお分かりいただけると思いますが、四月一日こらこっち、このブログは変な感じでした。tahriiとtahiirとなのる人物が出現。勝手に更新がなされていきました。
 私以外のものが私の日記を書いている! いったい、これ以上の恐怖があるでしょうか。それは、私を容易く偏執狂に、疑心暗鬼に陥らせるのに十分なほどの悪夢でした。一体、誰が私のブログを書いているのか。実は、このブログのパスワードは私の本名(もう変えましたが)だったので、私を知っている人間ならアクセスしようと思えばできるのです。
 あいつだろうか……。いや、あいつかもしれない……。結果的にそんな想いに私は取り付かれ、手当たり次第に心当たりに連絡をつけてみましたが、芳しいものではありませんでした。
 そんな折、thairiと名乗る人物からメールが届きました。ここに、全文を掲載します。

 From:thairi
Subject:ブログの件ですが。
 本文:初めまして。thairiと申します。さて、貴女様のブログを観覧させてもらったのですが、この数日の日記内容について、心当たりがあります。連絡頂けないでしょうか?

 言う間でもなく、怪しいメールです。普段なら、スパムメールの一種として即座に放棄してしまうようなものなのですが、この文章には奇妙な説得力がありました。というのは、私がこのメールを見たとき、一人の人物が私の脳裏に過ぎったのです。まだ、私が今付き合っている友人のほとんどと出会っていない頃、私にはTという一人の友人がいました。私のハンドルネームは、このTからとったものなのですが、その際いくつかの腹案が出されたのです。tahrii...tahiir...thairi...! 間違いない。彼だ。私はすぐさまメーラーを立ち上げ、君はTではないのか。ならば、何故このような悪戯をするのか。といった旨のメールを慌しく書きあげ、推敲する間もなく返信しました。何故か、私の胸に宿る奇妙な確信が、そうさせたのです。曰く、急いだ方がいい。取り返しのつかないことになる前に。
 何故、私がそのような確信を抱いたか。それは当の私にも分かりません。Tは仲の良い友人であったし、今でも時々町で出会って噺をするくらいのことはします。気のいい奴で、こんな下らない、しかも悪質な悪戯をするような奴ではないのです。私にはそれが分かっていました。しかし、私の、意識のもっと下、人の識域の触手が決して届かぬ深淵に位置する何か。その何かが、私に語りかけてくるのです。急げ。信用するな。糾弾せよ。例え昔の、という冠詞が入るにせよ、友人を信じることができないのは恥じ入ることです。そのような輩は人間としては、最下層に位置するでしょう。私自身、いつだって可能な範囲で友人を信じ、隣人を愛し、善良なる一市民として生活を送ってきました。私にはTを疑う、論理的な根拠なんてこれっぽちもないのですから。しかし、声が……闇から響く声が、私のもっとも卑しき部分が響くのです。急げ。信用するな。糾弾せよ。急げ。信用するな。糾弾せよ。
 当然、メールの送信ボタンを熱に浮かされたような焦燥で押した後は、なんの装備もせずに北極海に飛び込んだようでした。後悔しました。なにせ、thairiがTという確証は私の不確な記憶と、それ以上に不安定な”厭な予感”ただそれだけだったのですから。常にメーラーを起動し、一時間ごとに確認する。しかし、来るのはスパムメールばかり。彼(もしくは彼女)からの返信は、私を嘲笑うかのように全く帰ってきませんでした。
 一日が何年にでも感じられ、もう何日待ったかも分からないくらいに、私が自己の不安と嫌悪感で押しつぶされそうになっていたころ、やっとメールが届きました。もう目的も忘れ、ただ待望のメールが来たという喜びから、きっと私の期待する答えが返っているに違いない、少なくとも、これで焦燥に身を焼かれることもあるまい、例えどのような答えでも……、と期待と一筋の諦観の混じった私はさっそくメールを開きました。
 しかし、その中にあったものは、私のそんな予想を遥かに超えていたのでした――!

 続く。

 眠いんで、ここまで。

万愚週万歳!

2006-04-02 20:16:56 | 小説
 えーと、今晩は、tahiirです?
 あー、私、tahiir、ですよね……?

 えーと、いや、なんつーか……昨日の九時ごろ日記が更新されていますが……おかしいなあ……私、あんなもん書いた覚えが無いんですが……。
 一瞬乗っ取られたかなとも思いましたが……IDすらかわってねえしなあ……。まあ、私が更新しといてすっかり忘れてるだけかもしれませんが(笑。
 一応IDは変えとくにしても、気持ち悪いなあ……。

 つーわけで、乗っ取った人、素直に名乗り出てください。今なら、四月馬鹿つーことで先生ゆるしちゃいますから。