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世界の人権・紛争・平和

ヒューマン・ライツ・ウォッチ ウガンダ:軍が暴動発生中に非武装の人々を殺害

ウガンダ:軍が暴動発生中に非武装の人々を殺害

少なくとも13件の射殺は不必要な発砲だった

(カンパラ、2009年10月1日)-ウガンダ政府は、2009年9月10日と11日にカンパラで起きた暴動の際及びその後において、非武装の人々を多数殺害した事件について、中立的調査を行うよう直ちに命令するべきである、と本日ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチの調査は、致命的武力を行使する必要のない状況で、少なくとも13名の人々が政府の部隊によって射殺された、ということを明らかにした。27名が暴動の際死亡し、内7名は暴動行為に関与していなかった、と内務大臣は国会に報告している。

“正当防衛による発砲が1件あるものの、一部の兵士は見物人を狙って発砲したり、鍵の掛かったドア越しに銃撃を加えたりしている事実があるのを私たちは発見した。”とジョルジェット・ギャグノン、ヒューマン・ライツ・ウォッチ、アフリカ局長は述べた。“政府は今迅速に公平な調査を行う必要がある。”

ウガンダの首都カンパラでの暴動は、9月10日、この日ブガンダ(Buganda)王国の派遣団がカユンガ(Kayunga)地方を訪問するのを、警察が阻止したのを契機に始まった。カバカ(kabaka)として知られる、ブガンダの文化的王がその2日後の国民若者記念日にカユンガを訪れる予定だった。この訪問は、カバカの権威を否定する、カユンガ内バンヤラ(Banyala)民族グループ指導者から反対されていた。カバカ支持者は警察の取った措置に対して抗議するために街頭に繰り出し、直後に暴動が始まった。

カンパラの中心的病院であるムラゴ(Mulago)の消息筋は、暴動中の被害者88名が当該期間中に治療のため収容され、その殆どが銃傷を負っていた、と述べている。被害者は同様に他の病院にも運ばれていた。内務大臣によれば、暴動の際での犯罪容疑で少なくとも846名が逮捕され、逮捕は継続中だそうである。少なくとも24名の暴動参加容疑者が政府の財産を破壊したためにテロ容疑で起訴され、他多数が非合法集会と暴力扇動の容疑で起訴された。

騒乱期間中及びその後、ヒューマン・ライツ・ウォッチは50名を越える、被害者・その家族・目撃者・医師・地方政府役人・政府高官に聞き取り調査を行った。カンパラ近郊のナティーテ(Nateete)、カスビ(Kasubi)、ブセガ(Busega),ンディーバ(Ndeeba),ブワイセ(Bwaise)、ナキンユグジ(Nakinyuguzi)地域のサラーマ(Salaama)ロード、ムピギ(Mpigi)町で起きた暴動の周辺状況について、現場調査は行われた。

9月10日と11日に起きた、暴動に対処するために取られた武力のレベルについては重大な疑念が持ち上がっている。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、死亡者及び負傷者をもたらした治安部隊による発砲事件の幾つかを調査した。カンパラ全体で起きた事件の多くに、治安部隊やその他の者に対して脅威を与えていなかった者に対して治安部隊が発砲していた事を示す強力な証拠があった。

このことは一部政府高官の「実弾は街頭から抗議者を排除するため、空に向かっての威嚇射撃でしか発射されていない。」という談話に疑問を投げかけている。

しかしながらヨウェリ・ムセベニ(Yoweri Museveni)大統領は9月10日暴動発生の後、国会に対しての演説で、騒乱への対応に“当初警察はゆっくりと行動した”と強く主張した。“略奪者は発見され次第発砲される、民間人を襲撃する者も同じ目にあう。” と彼は言った。

暴動が起きた状況や如何にデモの際の警察行動を改善するのかを、調査は検証しなければならない、とヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。カンパラ暴動は事前に計画されていたという、一部ウガンダ政府高官の強い主張を裏付ける明確な証拠は、これまでのところない。ブガンダ王国政府は暴動計画への如何なる関与も否定している。確かに暴徒の一部は、とりわけ9月10日の午後、市街地における幾つかの地域の道路を封鎖するためタイヤを燃やすなど、類似の方策をとったらしい。

国連の「法執行官による力および火器の使用に関する基本原則(UN Basic Principles on the Use of Force and Firearms by Law Enforcement Officials)」に従うよう、ヒューマン・ライツ・ウォッチは警察その他治安部隊に強く求めた。この原則は、国家的非常事態に対処する軍部隊を含む法執行官に対して、武力行使に訴える前に非暴力による手段を適用すること、対処する違反行為の重大性に均衡の取れた武力を使用すること、命を守るために厳しく限って致死力のある武力を使用すること、を求めている。武力及び銃火器の恣意的使用若しくは乱用は、各国の法律で刑事犯罪として罰せられることを政府が保証すると、同原則は又規定している。

“多くの関心が先頃起きた事件を取り巻く政治に焦点化されているが、本当の悲劇は、全く不必要な状況の中で家族が最愛の者を失ったという事実である”とギャグノンは述べた。

暴動と対処

9月10日のデモの初期段階、カンパラの幾つかのエリアにおいて一部の抗議者が、少なくとも車5台・乗り合いバス1台・配送用トラック1台に放火、タイヤやガラクタを燃やして主要道路を封鎖、商店略奪、警察官と武装軍部隊員への投石、などを行い暴力を振るった事実があるのをヒューマン・ライツ・ウォッチは明らかにした。ナティーテでは抗議者が警察署を焼き討ちした。ブワイセでは、工場が1棟放火された。どちらの火災でも負傷者は報告されていないし、地元病院も火傷をした被害者がいたことの報告をしていない。対暴動用装備を施された一部の警察は、街の幾つかのエリアで催涙ガスを使用していた。

ウガンダ警察長官(IGP)カレ・カイフラ(Kale Kayihura)少将はヒューマン・ライツ・ウォッチに「9月10日午後4時頃、憲兵と大統領近衛旅団が警察を支援するよう彼の指揮下に派遣され、その後に歩兵が支援に派遣されてきた。」と述べた。これらの部隊は暴徒を追い散らすため空に向かって実弾を威嚇射撃した、とカイフラは語っている

治安部隊は銃火器の使用を正当化されるだろういくつかの状況に直面していた、とヒューマン・ライツ・ウォッチの調査は指し示している。ある目撃者は9月10日カンパラ・バスセンター(Kampala Bus Park)の近くで1人の暴徒が民間警備保障会社の警備員の銃を盗み、警官1名の足を撃ったのを見た様子を話してくれた。カイフラは治安部隊による銃火器使用が正当化される他の2事例について説明した。ナティーテとスセタ(Sseta)で暴徒が治安部隊に対して発砲した事件だった。それら2事件で負傷者が出たのかについては不明であり、ヒューマン・ライツ・ウォッチは当該事件を調査していない。

カイフラはヒューマン・ライツ・ウォッチに、政府の全部隊は最低限の武力を使用するよう命令されていたものの、ゴム弾や催涙スプレーなど致死力のない武器は、全ての警察官詰め所に標準装備されているものではないと述べた。治安部隊は空に向かって実弾を威嚇射撃する以外に選択するすべはなかった、と彼は主張した。警察内の事情通である他の消息筋はヒューマン・ライツ・ウォッチに、警察では催涙ガスのストックが少なくなっており、当局は銃火器を使用する以外に街の安全保障を確保する手段がないことに懸念を抱いていた、と語った。

致死力のある武力が不必要だった所

9月10日午後早くブワイセで、暴徒の放火で火災があったのだが、その消火活動中の消防隊を見物に集まった、地元住民に対する武力行使については重大な疑問が起きている。軍装甲兵員輸送車1台が群集の脇に乗りつけ、乗員兵が発砲、銃弾はフセイン・ムジューカ(Hussein Mujuuka)の後頭部に命中、即死させたのである。その発砲で他に少なくとも10名が負傷した。幾人かの目撃者がヒューマン・ライツ・ウォッチに、地元住民はブワイセとカンパラ間の道路に沿いタイヤを燃やして対応した、と述べた。軍による発砲はブワイセで夜間ずっと続き、多くの人が負傷した、と彼らは語った。同日、軍の銃撃による死亡事件は、カウェンペ(Kawempe)、ナクラバイ(Nakurabye)、ムラゴ(Mulago)、そしてカンパラのンディーバ地区でも発生した。

9月11日に実弾を使用した治安部隊は、更に多くの負傷者と少なくとも6名の死者を出した。目撃者と被害者はヒューマン・ライツ・ウォッチに、カンパラの殆どのコミュニティーは前日の騒乱の後通常の生活を取り戻そうとしているところだった、と述べた。にもかかわらず、街の一部地域に大量に派遣された歩兵や装甲兵員輸送車上の兵士は実弾を発砲した。幾つかの事例では兵士が、デモや騒乱に積極的に関与していない人々を故意に射殺若しくは負傷させた証拠がある。

例えば、軍部隊、その内の一部はその朝にンディーダに派遣された警察部隊に伴われていたのだが、明らかに路上にいる人々に対して家に帰るよう命令した。数時間で、兵士は1名を射殺、2名に重傷を負わせた。どのケースでも被害者は自宅か働いている場所に入った後に撃たれている。目撃者は兵士が人々を主要道路から数百メートルを明らかに追いかけ、鍵のかかったドア越しに銃を発射した、と話している。しかし正式な外出禁止令は出されていない。

キナールワ・スセドュラーカ・ジャクソン(Kinaalwa Sseddulaaka Jackson)はンディーダトムサンゲ(Tomusange)地区にあるマサカ(Masaka)ロードから100mほどの所にある洗濯屋の主人だが、軍の装甲兵員輸送車がンディーダに入ってきて、乗っていた兵士が発砲を始めたので、奥の倉庫に隠れ、後ろのドアに鍵をかけた。数分後、1人の制服を着た兵士が同地区を歩いて通り抜け、所持していたAK47をスセドュラーカの背面にあったドアに向かって発砲、彼を即死させた。ヒューマン・ライツ・ウォッチ調査員はそのドアに2箇所の銃弾であいた穴と、加えて他に5箇所の弾痕を近所のドアや壁で確認した。

ナティーテ市場に同日の朝派遣された兵士と警官は、市場が食料品の行商と買い物客でいっぱいであるにも拘らず、メインゲートを閉じた。目撃者はヒューマン・ライツ・ウォッチに、一部は憲兵の赤いベレー帽をかぶっていた制服を着た兵士が、杖や警棒で人々を襲撃し始め、街をきれいにして家に帰れと命令した、と述べた。マトケ(料理用バナナ)を売っていた数名の女性は、逃げようとした際に暴行された時に出来た、大きな打撲傷と擦過傷を、ヒューマン・ライツ・ウォッチに見せた。

兵士たちは次に銃を発砲し始めた、それは空に向かっての威嚇射撃と群集を狙っての両方だったと、目撃者は語った。買い物客1名が殺害され、もう1人が負傷した。ある女性行商人はヒューマン・ライツ・ウォッチに、銃弾がお尻をかすり治療が必要となった場所を見せてくれた。ヒューマン・ライツ・ウォッチは市場の壁に3箇所及びトタン屋根に3箇所の弾痕を確認した。

屋根のない店と屋台で混雑しているブセガ(Busega)では、兵士が同日の朝、別個の事件で2名を射殺した。前日その地区の暴徒は火で道路を封鎖し、車でカンパラに入ろうとする者に金を要求していた、と住民や当局者は報告している。暴徒はコカ・コーラの配達車両を略奪し、放火した。事態は同日午後7時までに沈静化し、道路沿いの店は再開していた。同地区は次に日の朝、軍の装甲兵員輸送車及び軍と警察のトラックが通り過ぎて、一部が人々に街をきれいにして家に帰るように伝えるまで、静かなままであった、と目撃者は述べた。輸送車に乗っていた兵士が実弾を発射し始めたので、大急ぎで店々を閉めたが、13歳のダウディ・スセントンゴ(Daoudi Ssentongo)は隣家の冷蔵庫に当たって跳ねた一発の銃弾が頭部に命中し、家族の店の中で死亡した。少年の死は更なるデモの引き金となった、地域住民は道路でガタクタを燃やし輸送車が当該地区に再度入ってくるのを阻止しようと試みた。

少年が死亡した付近では歩兵が、明らかに暴徒を逮捕若しくは抑制する目的で、主要な環状交差点から人々を追い払っていた。兵士は逃げる若い男性を追った。同地区の魚の行商人に氷を売っていたロナルド・カサッガ(Ronald Kasagga)は、兵士に至近距離から胸を撃たれ死亡した。兵士は“止まれ”と叫び、カサッガが振り向いた時に、発砲した、と目撃者は語った。

9月11日午前11時頃、カスビ(Kasubi)の第4地区で、暴徒は付近の兵士をヤジリ、主要道路にある近くのガソリンスタンドに投石をしていた、と目撃者は語った。兵士が追いかけると、暴徒は丘に駆け上り、ステラ・カバシングジ(Stella Kabasinguzi)の家の前を通り過ぎた。彼女は3人の子どものパンを求めて、短時間の外出をしていた。兵士が彼女の家に近づいて来たので、カバシングジは急いで両手を挙げたが、一人の兵士が子どもたちの目の前で、彼女を撃った。彼女は病院に搬送途中で死亡した。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、暴動が起きた主要道路から100m以上離れている第4地区にある他の家で3箇所の弾痕を見た。目撃者はヒューマン・ライツ・ウォッチに、一人の歩兵が人々に自分の家の中に入るように要求したが、一部が躊躇したときにドア越しに発砲した、と述べた。

9月11日には市内全域で、暴徒ではと疑いを掛けられた者の所在についての情報を得るため、兵士と警官が人々に暴行を加え脅迫していた。ンディーバにある自分のレストランの外でお茶を飲んでいた一人の女性が、制服を着てAK47を携行した兵士に質問された。数人の人々に別個に行った聞き取り調査によれば、彼女が質問に答えなかったので、兵士は熱いお茶を彼女の背中にかけ、次に銃身を彼女の口に突っ込んで、暴徒が隠れている場所について知っていることを話せと要求したそうだ。彼女は居合わせた人が兵士の注意を逸らしてくれてやっと難を逃れた。

ナイル放送通信社(Nile Broadcasting Services)は9月11日、警官と軍が地域をパトロールし、カゾ(Kazo)にある民家の近くで座ったり立ったりしている人々に暴行、警察トラックに放り込む映像を放送した。当局は彼らを逮捕する前に、名前や身分証明書の提示を要求していなかった。一つの事例では、自宅から強制的に連れ出されたことに抗議したある男性が、繰り返し殴られていた。警察はトラックいっぱいの容疑者をカワンペ警察署に連行した。ヒューマン・ライツ・ウォッチ調査員は同日午後サラーマ・ロードで同様の行為を目撃した。

9月10日、政府高官はテレビ局に、暴行のライブ映像を放映することを止めるよう伝えた。一部の事例では、政府部隊が強制的にテレビ局からビデオ映像を持ち去り、ジャーナリストのカメラとビデオテープを巻き上げ、遺体の写真を消し去った。何人かのジャーナリストは、起きている事件を報道しようとして暴行を加えられた。国営新聞社であるニュウ・ビジョンは、9月11日にンディーバで暴徒が市民2名を焼き殺したという不正確な報道をした。ンディーバの地方当局者と事情に詳しい情報筋はヒューマン・ライツ・ウォッチに、暴徒は誰も市民を焼き殺していないと知らせてくれた、しかしニュー・ビジョンはまだ訂正記事を出していない。

警察説明

警察長官カイフラはヒューマン・ライツ・ウォッチに、警察は9月10日の事件のスピードと地理的な広がりに対応する能力に欠けた、と語った。従前の騒乱はカンパラの中央ビジネス街を中心にしており、近郊の人口密集居住地区に広がることはなかった。ウガンダ憲兵、大統領近衛旅団、正規軍部隊は騒乱に対応する装備と機動力の両方を所有していた、と彼は語った。彼は又、憲兵は文民警察と同様に暴徒コントロール訓練を受け、又暴動が起きている郊外周辺に部隊を動かすのを助ける装甲兵員輸送車が配備されていた、とも述べた。ウガンダ軍は、“テロ及び反乱と戦う”ために使用可能な、それらの車両のうち4台(2台はギラ、2台はマンバという対暴動用車両)を所有している、と彼は言った。

暴動の際に殺害されたと報道されている27名の内7名は、死亡当時暴動に関与しておらず、“流れ弾”に当たった、とカイフラは述べた。彼はヒューマン・ライツ・ウォッチに死亡事件は不幸なことであり遺憾であるが、治安部隊は今回の騒乱への対応で抑制を示した、と語った。2名の警官がカスビで空に向かって威嚇射撃した容疑で逮捕された(カバシングジ殺害とは無関係のようである)と、彼は言った。暴動の際に起きた全死亡事件の状況に対して調査が行われるだろうと彼は述べたが、一方警察が暴動を“克服するために合理的で必要な全ての武力”を行使しうる、そして、警察は“それらの武力を行使することで、人々に危害を及ぼし若しくは人々を死に至らしめることを引き起こしても、そのことによって刑事若しくは民事訴訟手続きで責任を問われることはない。”と規定しているウガンダ刑法第69条にも言及した。

ニュー・ビジョン紙に引用されていた、軍スポークスマン、フェリックス・クライイギエ(Felix Kulayigye)の声明によれば、軍の部隊は、ウガンダ国民防衛軍は“非常事態の中で文民当局と協力し”、一度派遣されれば、“警察長官の指揮の下に行動する”と言明している、憲法第209条b項に基づいて派遣されたそうである。クライイギエは、状況は“戦争”だった、暴動には“虐殺的傾向”があった、と強く主張した。彼は死亡事件を暴動の首謀者の責任としたが、“銃弾が銃身を離れた瞬間に、状況を越えて何が起きても不思議ではない。”ということを認めた。

クライイギエの声明は、この先デモ隊と対峙する際、治安部隊員に不必要で非合法な致命的打撃力を持つ武力行使を促すことになる、とヒューマン・ライツ・ウォッチは大きな懸念を抱いている。

ムセベニは9月15日の国会緊急会議で、政府は財産と車を失った者に損害賠償をし、又家族を失った者を支援していくつもりであると、述べた。

勧告

ヒューマン・ライツ・ウォッチはウガンダ政府に以下の行動をとるよう強く求めた。

  • 治安部隊員による非武装の市民に対する先頃の発砲を公式に認め非難すること
  • 9月の暴動の際に人権侵害を犯したと疑われている兵士及び警官の全ての行動に対する中立的で公平な調査を行うこと。国際的に公正な裁判の基準に沿った十分な証拠がある者を訴追すること
  • 人命を保護するため厳に不可避である場合にのみ致命的打撃力を行使するよう、警察活動に関与する全ての政府部隊に明確で公式な指示を発すること
  • デモや抗議運動への警察及び軍の対応における致命的打撃を与えない選択肢を模索すること、及び、それらの選択肢を警察署での標準仕様とするのを確保すること

Human Rights Watch urged donors to the Ugandan government, especially members of the Partners for Democracy and Governance Working Group, to take the following actions:

  • Publicly express concern about human rights abuses committed by members of the military and police during the September riots.
  • Urge government leaders to hold accountable, in accordance with international fair trial standards, members of the security forces implicated in human rights violations.
  • Support the police in acquiring non-lethal options for riot response and ensure that relevant personnel from the police and military receive adequate training.

 

ヒューマン・ライツ・ウォッチはウガンダへの資金提供国、とりわけ「民主主義&ガバナンス作業部会のためのパートナー(Partners for Democracy and Governance Working Group)」のメンバー国に対して、以下の行動をとるよう強く求めた。

  • 9月の暴動の際に軍と警察によって行われた人権侵害に対して公式に懸念を表明すること
  • 政府指導者に人権侵害に関与した治安部隊員に対して国際的に公正な裁判の基準に沿いつつ責任を問うよう強く求めること
  • 暴動対応における致命的打撃を与えない選択肢を獲得するよう警察を支援すること、及び、警察と軍の関係要員が適切な訓練を受けることを保障すること

 

Background

The role of cultural royalty such as the kabaka in Uganda has been the source of debate historically. President Milton Obote outlawed all cultural leaders in 1966, but Museveni permitted them to return in 1995. Under the constitution, cultural leaders are barred from politics, but they still wield influence over their communities. The kabaka is the king of the Baganda people, the largest ethnic group in Uganda and a key constituency in the upcoming 2011 elections. Since independence, some Baganda political leaders have argued that the Buganda kingdom should be a federal state within Uganda.

背景

ウガンダにおけるカバカのような文化的権威の役割は歴史的に論争の源泉だった。ミルトン・オボテ(Milton Obote)大統領は1966年に全ての文化的指導者を非合法化したが、ムセベニは1995年に復活を認めた。憲法の下、文化的指導者は政治活動を禁止されているが、彼らのコミュニティーには今尚影響力を及ぼしている。カバカはウガンダ最大の民族、バガンダの人々の王であり、近づいてきた2011年選挙で主要な選挙区である。独立以来、バガンダ人の政治指導者は、ブガンダ王国はウガンダ内での連邦国家であるべきだと強く主張してきた。

Accounts from Victims and Witnesses of Shootings during Recent Kampala Riots

先頃起きたカンパラ暴動の際にあった銃撃事件の被害者と目撃者の談話

“It was 9 a.m. when I was returning from the village where we buried my friend Deo, who was shot and killed in Ndeeba on Thursday during the riots. When I arrived back to town, I saw a group of soldiers and men in civilian clothes with guns and sticks walking along the road. I ran to the other side of the road and to find a place to hide. The soldiers began to hit us with batons and kick us. They were beating other people in the road as well. I ran away and noticed I had a cut on my head from the baton, and I was bleeding. My friend and I went off the main road and hid by locking ourselves into a storage room near a friend’s shop. We heard the soldier’s footsteps and then he yelled, “Open the door!” I said, “But if we come out, you are going to beat us again.” He said, “You think bullets cannot reach you in there?” Then he fired his gun through the door. A bullet hit the inside of my arm and then entered my stomach and I fell down.”

– Gunshot victim in Ndeeba, September 11

“午前9時だったな、オレは暴動の時、木曜日にンディーバで撃ち殺された、友達のデオを埋葬した村から帰ってくるところだった。街に戻って来た時、兵隊の集団と民間人の服装をした男が杖と銃を持って道路沿いに歩いているのが見えた。オレは道路の反対側に走って、隠れる場所を探そうとした。兵隊たちは俺たちを警棒で殴り、蹴り始めた。やつら道路にいた他の人も殴って同じように殴ってたよ。オレは逃げたんだけど、その時警棒で頭やられたところが切れてるのに気がついた。血が出てたんだ。友達とオレは大通りから外れて、友達がやってる店の近くの倉庫に鍵をかけて隠れたんだ。兵隊の足音が聞こえてきて、その次に“ドアを開けろ!”って叫ぶ声が聞こえた。オレは“出てったら、また殴るんだろ”って言ったんだ。そしたら“お前ら、弾がそこに届かないって思ってんのか?”て聞いた。で、兵隊は銃をドア越しに撃った。弾はオレの腕の内側に当たり、貫通して次に腹に入り、オレは倒れた。 ”

―9月11日、ンディーバでの銃撃事件の被害者

“Things were calm in Mpigi that day. We heard about what was happening in Kampala and someone had lit two tires on fire, but the cars could pass. Faisal and I were standing on the veranda. The soldiers came in a government vehicle and started caning people. One soldier came carrying a stick and a gun. He threw the stick at a boy and then got out the gun. He pointed the gun towards us, and then fired at us two times. I ran and hid at a house nearby. And later, someone said that a man was killed. A bit later, I learned it was Faisal. He had been shot in the neck.”

– Witness to killing of Faisal Bukenya, September 10

“その日ムピギは静かだった。カンパラで起きた事を聞いて、誰かがタイヤに火をつけた、だけど車は通れたんだ。ファイサルとオレはベランダに立ってた。政府の車に乗った兵隊がやってきて、みんなをムチでひっぱたき始めた。杖と銃を持った兵隊が1人来た。奴は杖を少年に投げつけ、次には銃を構えた。俺たちの方に狙いを定めて、次に2発撃ちやがった。オレは走って、近くの家に隠れた。後で、誰かが男が1人殺されたって言った。それからちょっと後で、オレはそれがファイサルだって知ったんだ。首を撃たれてた。”

―9月10日、ファイサル・ブケンヤ殺害事件の目撃者

“On Friday morning, I saw the boys throwing a few rocks at the soldiers, and then the soldiers started shooting in their direction. Eventually the soldiers rounded up a group of boys and held them at the petrol station. The soldiers were forcing the boys to jump up and down as punishment for throwing rocks. When they tried to move the group of unruly boys, some scattered and the military began shooting at them again. The woman with the three children was killed just then.”

– Witness to the killing of Stella Kabasinguzi, September 11

“金曜日の朝、私は少年たちが兵隊たちに少し石を投げるのを見た。そしたら兵隊たちは少年たちに向かって銃を撃ち始めた。最後に、兵隊たちは少年のグループを捕まえて、ガソリンスタンドに閉じ込めた。石を投げた罰に、兵隊たちは少年たちを強制的に飛び跳ねさせていた。言うことを聞かない少年たちのグループを動かそうとしたら、一部がバラバラになり、軍はまたその子たちを撃ち始めた。3人の子どもを連れた女の人はちょうどその時に殺されたんだ。”

―9月10日、ステラ・カバシングジ殺害事件の目撃者

“She was just on the steps of her home on Friday morning. She had gone to collect some bread for the children. When she saw the soldiers, she threw her hands in the air, but he fired right at her and she fell. He was standing just a bit down from her.”

– Another witness to the killing of Stella Kabasinguzi, September 11

“金曜日の朝、その女の人は、ちょうど自分の家の入り口のところにいた。子どもたちのためにパンを少し手に入れに行ってたんだ。兵隊たちを見つけて、すぐ両手を挙げたたんだけど、兵隊は撃ち、女の人は倒れた。兵隊はほんのちょっと離れた所に立ってたんだ。”

―9月11日、ステラ・カバシングジ殺害事件のもう1人の目撃者

“I was here in the market, selling matoke on Friday morning around 8 a.m. Suddenly, the military came in and started beating people, telling everyone to leave the market. Even the security officer for the market was hit by batons from them. They even beat me very hard on the buttocks, while I was trying to run away. Some of them stole the money I had on the ground. Others started shooting into the market and a boy was hit and a man was killed.”

– Witness to killings and shooting in Nateete, September 11

“金曜日の朝8時頃、私はここ、市場でマトケ(食料用バナナ)を売ってた。突然、軍がやってきて、みんなをひっぱたき、市場から出て行けって言った。市場を守ってたお巡りさんだって兵隊さんから警棒で殴られた。私も逃げてるとき、お尻をとても強く叩かれた。奴らの中には地面に置いといた私のお金を盗ったのもいたのよ。他の連中は市場に向かって銃を撃ち始め、男の子が一人当たって、男の人が1人殺された。”

―9月11日、ナティーテでの殺害・発砲事件の目撃者

List of fatal shootings investigated by Human Rights Watch

On September 10

ヒューマン・ライツ・ウォッチが調査した射殺者リスト

  1. Hussein Mujuuka, shot through the eye by military in personnel carrier, in Bwaise
  2. Robert, Congolese national, shot by military near Qualicell Building in Kampala Bus Park
  3. John Bosco Kaagwa, shot in the back by military near Nakulabye trading center
  4. Ssadam Katongole, shot in the chest by the military at “Kubirri” – Mulago roundabout
  5. Deo Lutaaya, shot in Kabuusu by military in personnel carrier, near Petrol City, on Masaka Road
  6. Muganga Huzairu, shot in the abdomen in Nateete; died at Mulago hospital
  7. Faisal Bukenya, shot in the neck by a soldier in Mpigi Town

 

ヒューマン・ライツ・ウォッチが調査した銃撃による死亡者リスト

9月10日

1.フセイン・ムジューカ(Hussein Mujuuka)、ブワイセで兵員輸送車に乗った兵に目を打ち抜かれ死亡

2.ロバート(コンゴ人:Robert)、カンパラ・バスセンター(Kampala Bus Park)にあるクァリセル・ビルディング(Qualicell Building)付近で軍に射殺される

3.ジョン・ボスコ・カーグワ(John Bosco Kaagwa)、ナクラビエ(Nakulabye)交易センター付近で軍に背中を撃たれ死亡

4.スサダム・カトンゴレ(Ssadam Katongole)、ムラゴ(Mulago)環状交差点の“キビッリ(Kubirri)” で軍に胸を撃たれ死亡

5.デオ・ルターヤ(Deo Lutaaya)、マサカ・ロード(Masaka Road)上のペトロール(Petrol)市付近で兵員輸送車に乗った兵に撃たれ死亡

6.マガンガ・フザイル(Muganga Huzairu)、ナティーテで腹部を撃たれ、ムラゴ病院で死亡

7.ファイサル・ブケンヤ(Faisal Bukenya)、ムピギ(Mpigi)町で兵士に首を撃たれ死亡

 

On September 11

  1. Ronald Kasagga, shot in the chest by military on foot near Busega roundabout
  2. Kinaalwa Sseddulaaka Jackson, killed by military on foot in Tomusange zone, Ndeeba
  3. Mustaifa Basajjabalaba, shot by military in Kitaka zone, Kibazo road, Busega
  4. Daoudi Ssentongo, killed by military in Busega roundabout
  5. Stella Kabasinguzi, killed by military in zone 4, Kasubi
  6. Customer shot by military in Nateete Market

Other deaths:

  1. Kakooza Hussein, beaten by the police in Nakamiro zone, Kazo, on September 11; died on September 17

Other fatal shootings reported in the media:

  1. Unnamed private security guard working for Saracen Security Company
  2. Patrick Kaijamurubi, military police, from Masindi, killed by a stray bullet shot by another military policeman while Kaijamurubi was fixing tire on his vehicle in Ndeeba
  3. Geoffrey Andama, high school student, shot at Shop Rite Supermarket, near the Clock Tower junction
  4. Benjamin Atere, 2 years old, died from gunshot on Mawanda Road in Mulago
  5. Frank Kafuma, sustained gunshot wounds at Nabweru in Kawempe division, died in Mulago
  6. Yawe Wesige Mukama, shot in Kawempe

 

9月11日

8.ロナルド・カサッガ(Ronald Kasagga)、ブセガ(Busega)環状交差点付近で歩兵に胸を撃たれ殺害される

9.キナーラ・スセッデュラーカ・ジャクソン(Kinaalwa Sseddulaaka Jackson)、ンディーダのトムサンゲ(Tomusange)地区で歩兵に殺害される

10.ムスタファ・バサッジャバラバ(Mustaifa Basajjabalaba)、ブセガのカバゾロード、キタカ(Kitaka)地区で軍に射殺される

11.ダウディ・スセントンゴ(Daoudi Ssentongo)、ブセガ環状交差点で軍に殺害される

12.ステラ・カブシングジ(Stella Kabasinguzi)、カスビ(Kasubi)第4地区で軍に殺害される

13.買い物客、ナティーテ市場で軍により射殺される

他の死亡事件

  1. カコーザ・フセイン(Kakooza Hussein)、9月11日にカゾ(Kazo)のナカミロ(Nakamiro)で警官に暴行を受け、9月17日に死亡

メディアで報道された他の射殺事件

15.匿名、サラセン・警備保障会社(Saracen Security Company)で働く民間警備員

16.パトリック・カッジャムルビ(Patrick Kaijamurubi)憲兵、ンディーバで自分の車のタイヤ修理中に別の憲兵が撃った銃の流れ弾に当たって死亡

17.ゲオッフレイ・アンダマ(Geoffrey Andama)高校生、クロックタワー(Clock Tower)交差点近くのショップ・リテ・スーパーマーケット(Shop Rite Supermarket)で射殺される

18.ベンジャミン・アテレ(2歳:Benjamin Atere)、ムラゴ(Mulago)のマワンダ・ロード(Mawanda Road)で銃撃により死亡

19.フランク・カフマ(Frank Kafuma)、カワンペ地区のナブウェル(Nabweru)で銃撃により負傷、ムラゴ(Mulago)で死亡

20.ヤウェ・ウェシゲ・ムカマ(Yawe Wesige Mukama)カワンペで射殺される

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