毎年、誕生日が過ぎてひとつ歳を重ねるたび、身辺整理をとタンスを開けるのですが、結局また元に戻しという繰り返しでした。
さすがに今年は色々あって、何とかしなくちゃと思い立ち、手始めに亡き姑が残した古いブリキ(?)の衣装函を開けてみることに。
姑様が自身の身の回りの小物とか普段着を入れて、季節が変わるたびちょこちょこ出し入れしていたのを思い出す。
大正元年生まれの彼女は、和裁が得意だったこともあり、70代くらいまで年中着物で通していました。
なので、亡くなったときタンスの中の着物は、大切に手入れされていましたが、十分着尽くされた感ありしみなどありで、状態の良いもの、思い入れのあるものは娘二人と嫁二人が一着ずつ形見分けとして頂き、あとは全て業者さんに引き取ってもらいました。
ブリキ缶のは、浴衣やら手拭やら手紙類やらがごちゃごちゃ入っていて、そのうち処分しようとそのまま放置してあったのです。
今回開けてみると、女学校の卒業証書、祖父(舅)の弓?の免状?夫の小学校の時の工作の賞状と卒業証書‥‥。これらに交じって、浴衣と普段見覚えのある着物が何着か出てきました。
情けないことに着物無知なので、これがどのくらいのものなのかわからず説明できませんが、改めて付属の残り布の証紙を見てみると、大島紬、結城紬、○○紬‥‥。袷も単衣も正絹100%つむぎ、紬。
ちょうどNHKの「ブラタモリ」で、奄美大島の特産大島紬の魅力を伝えていました。独特の色と文様の成り立ちを知り日本人の技術力と美意識に感動しました。
姑の着物はあんなに高価な豪華なものでなく、仕立て直ししながら補修しながら何年も着こんだ様子がうかがえます。
羽織ってみると、軽くて暖かくてスッとからだに馴染んで動きやすい。みな50年以上経ったものなのに古臭さが感じられない。どころか、ますますからだに馴染んでいつまでも着ていたくなる。
写真の着物は紬ではなく単衣の夏用の絽か紗(?)で、花が透かし織り(?)のように織り込んであり、その部分に銀が塗られていたようですが(酷い説明ですね、すみません)今はすっかりはげ落ちていました。盛夏の外出用としてつくったようですが、あまり着る機会がなかったのでしょう、どこも痛んでませんでした。
これ、着てみたい!と思いました。
長襦袢は自分用に揃えた「夏用喪服セット」についていたものを引っ張り出して、帯締め帯揚げは手持ちの中から選んで。
帯は夏用など持っていませんし新品の名古屋帯を買う余裕はありません。思いついて、ヤフオクを覗いてみることにしました。
あるわあるわ、着物から帯、小物に至るまで常時数十万点が写真付きで出ています。
(実は今年の夏このヤフオクにハマってしまってひと夏過ごしました)
数万点の中から選んだのがこれ。実物は写真で見るよりずいぶん古臭かったのですが、そのぶん締めやすく着物ともよくなじんでお買い得でした。
毎年8月の始め、実家のお寺で「盆施餓鬼」の行事があり、そこへこの着物姿で行きました。
車を運転するときだけスニーカーに履き替え。車内もお寺も冷房がよく効いていますので着物でも苦になりません。
帯締め、帯揚げ、喪服セットは実家の母が揃えてくれたもの。着物は姑。それぞれゆかりの品を身に着けてお詣りすれば、亡き方々へのご供養にもなると思います。
この日の参列者の中で着物姿は私一人。殆どジジババ世代にもかかわらず、です。
皆さんの世代なら、着物の1~2着は持っておいでのはず。タンスの中に眠らせておくのはもったいないです。
クリップを使っての帯結びなど、便利な着つけ用品がたくさん出ていますので、そういったアイデア商品を利用しつつ、わかりやすい着付けの動画も参考にして、思い切って着物を着て出かけましょう。断捨離する前に。
ということで、今年もまた元に戻しただけになりました。