蘇る気持ち

2014年08月12日 | 3
2014.5 KANAZAWA


両親と姉と僕の四人で祖母の法事のため石川県に行った。

出発の数日前から法事で着る服を親戚の家に送るとの事で「早くしろ」「早くしろ」としつこ過ぎるぐらい言っていたオヤッさんは、毎度のように僕の心をざわつかせた。
性格が真逆な親子だから、理解し合うなどとは望んでもいないけど、相変わらずの暴走が相次ぎ、行くのを断念しようかと思ったくらいだ。
そんな気持ちを吹っ切って、いざ出発。
羽田までの道中も驚くほど身勝手だったけど、飛行機が離陸する頃には、故郷への沢山の思いがふとした表情に表れていて、オヤッさんの生い立ちと重ねると何とも切ない気持ちになった。

到着してからは、親戚と久しぶりに会えた事が嬉しくて、楽しい数日を過ごした。

祖母の法事後、従兄弟のY兄ちゃんが金沢の町を案内してくれた。
車に乗せてもらっての移動途中、ものすごく懐かしい気持ちが蘇えった。
もう、何年も忘れていたような安らぐ気持ちだ。

僕が幼い頃、オヤッさんの姿など見たこともなく、周りは女の人ばっかりでいつも女の中に男が1人状態。
窮屈な気持ちで、幼いながらに好ましくない環境だと感じていた。
当時、大学生で東京に住んでいたY兄ちゃんはよく我が家に来てくれた。
優しくしてもらったこと、遊んでもらったことはもちろん覚えているけど、なによりも異性ではない人が近くにいるということで、物凄く安らいだ。
再会して蘇った気持ちは、Y兄ちゃんに与えてもらったあの頃の安らぎ感なのだろう。
もう35年くらい前のことなのに、幼い頃の自分と現在の自分が重なり合ったような不思議な気分。
とにかく心地よい時間に浸たってしまった。
再会しただけで蘇る心地良さ、人付き合いに疲れた今日この頃、与えてもらうことばかりでなく、自分もそんな心地を与えられる存在であれたらと思った。

大事なことを気づかせてくれた、Y兄ちゃん、そして再会のきっかけをくれた、おばあちゃんに感謝、感謝の旅だった。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする