春烙

寒いなあ…

スペシャル企画

2009年09月27日 20時13分44秒 | コラボ企画

「やっと、ついた……」
 数分後、沓馬たちは水野家がある頂上へとたどり着いた。
 だが。彼らの目の前には、異様な空気を漂わせている少年少女たちの姿があった。
「……なんだ、これ?」
「恵? 優斗くんも」
「あ、皆きた~~」
 声のする方へ目を向けると、長椅子に座ってカキ氷を食べているジュンたちがいた。その中には、余の姿もあった。
「ゴール~」
 と、鈴を鳴らしながら、お淑やかそうな少女が近づいてきた。
「おめでとうございます。よくここまで上りきったものですね」
 お祝いの言葉を告げるが、口調が荒々しい。
「やあ、汐子ちゃん」
「沓馬先輩とスミレ先輩も、ご一緒だったのですか」
「知ってる奴?」
 少女と親しげに話す沓馬に、終が尋ねた。
「彼女は、水野汐子ちゃん。この神社の巫女をやってるんだ」
「初めまして。水野汐子と申します」
「汐子ちゃんは、翼乃ちゃんの親友で、逝和中等部の魔女なんだよ
 巫女が魔女やっていいのかと、微笑む汐子を見て思った。
「だからさー。翼乃ちゃんにあんまり近づかないでって、言ってるんだけど」
「それは私のほう!」
「二人とも、うざいです」
 優斗・恵・笑みを浮かべている少年が言い合っているのを耳にし、沓馬は汐子に尋ねた。
「汐子ちゃん。あの三人、何やってるの? バカ??
いや、バカじゃないだろっ
「実は……」
何度目の回想シーンだ

 (回想シーン)
『あら。この子って、翼乃がいっていた子?』
 と大人びた少女が、近づきながら尋ねてきた。少女のほかにも、敦司や青年たちが寄ってくる。
『そうだ』
『あっ。このカキ氷、おいしい』
『でしょ!』
 余はアスカにすすめられたカキ氷を食べていた。
『こんばんわ』
 のんびりとした少年が挨拶してきて、恵も「こんばんわ!」と元気よく返す。
『元気がいいね』
 と、優しそうな青年が言う。
『たしか、こいつだろ? 神に懐いているのっては』
『そうだけど。てか仕事場に行かなくていいのか、連?』
やる気がなくなった
あっそ
うっ!……
頭にきくぅ~
 アスカと余は冷たさが頭に響きながら、カキ氷を食べていた。
『瞳と通も、やる気がないのか』
行くのが面倒だわ
『ぼくは、どっちでもいいよ』
『じゃあ、手塚とタカさんは』
『疲れてきたから、休んでいたよ』
『行っても良いが。あいつが……
 メガネをかけた青年が鳥居にいる少年に目を向けると、翼乃たちは「ああ…」と同じように視線を向けた。
『……不二か』
『まあ、あいつはここにいてもいいんじゃねえのか。なんか似合ってるし
何が似合ってるの?
 と、突然鳥居の方で海斗に叱られていた少年が、翼乃の後ろに現れてきたのだ。
うわっ!?
キャ!
 恵は驚いて、翼乃に抱きついた。
『不二! 突然現れるなと、言っているだろ!!
そうじゃなくて!
『……ねえ、翼乃ちゃん。この子、誰?
 不二は翼乃に抱きついている恵を、なぜか睨みつけながら聞いてきた。
『前に話しただろ。最近知り合った』
『天風恵です。中2です』
 と、恵は不二を睨み返しながら言った。
ふーん……。僕は不二周助っていうんだ。翼乃ちゃんと同じ、中3』
 と言って、不二は翼乃の後ろから抱きつく。
『翼乃お姉様と同年なのですか? 私、てっきり2年だと思ったー
 と言い、恵は翼乃に強く抱きつく。
『へぇ。翼乃ちゃんの事を、「お姉様」て言ってるんだ』
 と言って、不二は恵を翼乃から離す。
『そうだよ』
 と言い、恵は翼乃の腕に絡みつく。
『君、翼乃ちゃんから金魚貰ったんだってね?』
『うん、そうだよ。アスカ君と余くんと、一緒にね』

何。取り合い??
中断させないで下さい
 年下が微笑みながら注意すると、零は怖くなって謝った。

先輩から離れてくれませんか
 とそこに、優斗が近づいてくると、翼乃の周辺にドス黒いものが流れ始めてきた。
え。やだ
ヤダ、じゃありません
 優斗は、翼乃の空いている手を掴み引っ張る。
『ちょっと、優斗くん! お姉様を取らないでよ!!』
 と言って、恵は反対の腕を引っ張る。
『取らないでほしいのは、君のほうだよ』
 と、不二は翼乃の後ろから引っ張りながら告げた。
『二人ともです!』
てめぇらが放れろ――!!

そして、取っ組み合いが15分も続いた後のこと……
『『(まだあるのか……)』』

『翼乃ちゃん!』
だ、だぎか……
 3人に解放され倒れている翼乃の所に、一人の青年が近づいてきた。
『て、大丈夫?』
見ればわがるだろうが………
『なんだか、絞められた状態で話しているようだわ
『すぐに治るだろ。それより、なんでここにいるんだ、滝?』
 翼乃の代わりに、連が滝に尋ねた。
『実は、理菜ちゃんが!』
『! 理菜がどうしたんだ!?』
 翼乃は立ち上がり、「な、言ったとおりだろ」と連は滝に言った。
たしかに、言ったとおりだけど……
『それで。理菜がどうしたのよ』
『理菜ちゃんが、変な人に連れて行かれちゃったんだ!
『……滝。変な人って、一体何が変なのか言えよ
夏だというのに、黒いスーツを着ていた
夏用のスーツがあるよ?
『健次くんが、その人たちは人間じゃないって言ってた
 それを先に言え!! と全員が滝に突っ込みを入れた。
『妖魔かな?』
『あいつら以外いるか?』
『『いません』』
『夏祭りぐらい、来るなよな』
それは無理な話だろっ
 とジュンが近づいてきて、言った。
『泳地たちから伝言。自分でやれ、だと
ずるいだろ、自分達だけっ』
『落ち着けって』
落ち着けと言いながら触ろうとするな――ッ!!
 翼乃は胸を触ろうとするジュンを、力強く殴りつけた。
また力を上げたようだな
『それでどうする? 理菜をほっておくと大変なことになりかねないわよ』
『確かに。あいつをそのままにしておくと、周りに被害がまねかねないからな
どういう事?
 一人だけ、滝は翼乃たちの会話についていっていなかった。
『そうか。滝は理菜の秘密を知らなかったんだよな』
『あの子、一人で長くいると大変なことになるのよ
『見てみたいなら俺と来い、滝。他は理歌の所に行ってくれ』
『理歌の所にですか? なぜですか??』
『俺が理菜の所に行くと、かならず理歌の方にも送るだろ。あいつ今、柳と赤也と一緒にあの場所にいるから』
『そうか。あの場所なら、翼乃ちゃんはむやみに手を出せないから』
『ああ。俺と沓馬兄ちゃんとバ海斗は、あそこじゃ無理だ。むやみに技を使うと点火してしまうから』
略すな!』
 と海斗が言ってきた。
『海斗も一緒に来い。ジュンは理歌の所に行ってくれないか』
『ああ、いいぜ』
 いつの間にか、翼乃に殴られたジュンが回復していた。
回復、早っ!
慣れているからな
『汐子。お前は一応残っていてくれないか。あの三人が気になるからっ』
『ええ。私も気になりますので、あの三人に』
『頼んだぞ。全員、行くぞ!』
『『了解ッ!!』』
 (回想終了)

「……ということですので」
ずいぶん、長い回想だったな
「てか。あいつら、いつまで睨みあっているんだ?」
 翼乃(たち)がいないというのに言い争っている優斗・恵・不二の三人を指しながら、零は言った。
気がつくまででしょうね
わぁ。俺も一緒に行きたかったなぁ~
 なぜか嬉しそうに笑っている沓馬。
「(黒怖っ!)」
 と終が思っていると、沓馬が黒い笑みをしながら振り向き。
今、思ったことを言えよ
すみません!!
「水野」
 と目を細めた青年が汐子の方に近づいてきた。
「柳くんですか? どうしてここに??」
「飲み物を取りに来た。他の奴らはどうした」
「不二くんはあそこで後輩たちと争っていて。翼乃と海斗くんと滝くんは理菜ちゃんの所へ、他は理歌ちゃんの所に行っていますよ」
……何かある確率、97.6%
 データ分析!?と柳を知っている者以外は驚いていた。
「そうだとしたら、飲み物を取って戻らないとな。面白いデータが取り損なってしまう
なんだか面白そうだから、一緒に行くよ
「「「「面白そうって!!?」」」」



 ~ 9へ ~



コメントを投稿