そんなわけで1963年5月27日の早朝にレコーディングされた
「Witchcraft (恋の魔術)」の話題になるんですけど
ここ数か月、私はほぼ毎日といって良いほどこの歌を
飽きずに聞き続けていまして、おそらくこの数か月で言ったら
世界で最もこの歌を聴いている人間ではないのかと・・・
別に自慢になる話でもありませんが
「The Spiders」のカバー曲「Witchcraft (1955)」が
「Tippie & the Clovers」のカバー曲「Bossa Nova Baby (1962)」と
カップリングされ、1963年10月1日発表のシングル盤になった経緯に
そもそものエルヴィスの音楽志向と、この頃に提供される作品に充分な満足が
出来なかった傾向を感じておかなければイケナイのかもしれません。
エルヴィスは3テイクで「Witchcraft」を完成させるのですが
「The Spiders」のオリジナルには無い「Aha-aha(-aha)」の
「ひとり合いの手」をテイク1から入れていました。
テイク1ではエルヴィスが3番の歌詞の部分で2番の歌詞をもう一度
歌ってしまうなど「Try-Out Take」然としたものになっており
(「The Spiders」バージョン同様に)イントロ部分にサキソフォンが入っていないほか、
ピアノが全く参加していないのも、とりあえず歌ってみた感じがします。
テイク2の直前でピアニストのフロイド・クレーマーが
「さあ弾くぞ!」てな感じで奏でていたのに気づくのも
テイク1にピアノが聞こえなかったという観点あっての楽しみ方と言えるでしょう。
テイク1では「Spinin'-spinin'」と「Round-round」中心だったコーラスが
他の部分にもかぶされて来ているのも「歌いながらの音作り」を感じさせます。
マスターテイク(3)になるともう「Witchcraft」は完全に
エルヴィスよる「Aha-aha(-aha)の歌」なっていて、
バンドとコーラスが「探り探り」でレコーディングを進めたのに対し、
エルヴィスはこの歌をこのように完成するのが最初から分かっていたかのような・・・
「藤井聡太棋士が何手先まで読んでいるのか」なんてな
下手な例え話を持ち出す必要もなく、
「100年にひとりの歌手」は、自らの心地の良い方向に進めば
自ずと良い結果に結びつく・・・そういった感想をもたらす「魔術」なのでした
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エルヴィスのブログでシロチンとケロチンもBeach Bird BluesてえんだからFTDだって・・ by TiBITA (タイビットA) 16 20 22 24 26 28 41
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