シドニーの風

シドニー駐在サラリーマンの生活日記です。
心に映るよしなしごとをそこはかとなく書き綴ります…祖国への思いを風に載せて。

北朝鮮問題ふたたび

2009-05-27 14:39:14 | あれこれ
 北朝鮮が25日に2年半振りに地下核実験を行った上、地対空短距離ミサイルをこの二日間で計5発も日本海にぶち込んで意気盛んです。明白な国連安保理決議違反であるとともに、このテロの時代に核拡散を防止しようと躍起になる諸外国の神経を逆撫でする暴挙に、世界各国・各機関から非難の合唱が始まりました。やりたい放題のこの身勝手さ、不埒な悪行三昧は、桃太郎侍に退治して欲しいところです。
 もとより国際社会は一枚岩ではなく、またしてもポイントは中露の対応、特にいまだに北朝鮮に対して経済援助を続ける中国になりそうです。前回(2006年10月)の核実験の際、中国は北朝鮮との国境地帯に検問所を設けて贅沢品や軍需品の輸出禁止などの経済制裁を始めながら、長くは続かず、今に至るまで経済援助の規模は拡大する一方だと言われます。さすがに今回は、国際社会に対話を強調し続けた中国のメンツが潰された形で、中国共産党の機関紙「人民日報」の傘下にある国際情報紙「環球時報」でも怒りを露わにしていますが、中国外務省報道局長の定例記者会見では、国連安保理で検討中の追加制裁に関しては、「朝鮮半島の非核化推進が中国政府の一貫した立場」と述べるにとどめ、慎重に対応を検討していることを示唆したことが報道され、どこまで本気なのか分かりかねます。
 そんな中、朝日新聞の昨日の社説には、「北朝鮮の核実験―米中の連携で暴走止めよ」と題して、以下のような記述があり、目を見張りました。
 (引用)...中国の役割もはっきりしている。米国とともに東アジアの長い目で見た安全保障がどうあるべきかを考えてもらいたい。世界同時不況の中で米中の戦略的な連携が重みを増している。朝鮮半島の安定はそれを生かすべき最たる領域ではないか。...(引用おわり)
 なんという安穏さ。もはや現実の些事にはいちいち目が届かなくて、大所高所から差し障りのないアドバイスをするだけで半分眠っているご隠居さんのようなお気楽さです。いまだに中国に対してこれほど善意でいられること、ナイーブであることには、(ある程度日本人に特有のものでもありますが)今さらながら驚かされます。中国にとって東アジアの安全保障は重大関心事に違いありませんが、それ以前に国益を守ることが優先するはずです。
 歴史上かつて、今の北朝鮮ほど国力(経済力)が乏しいにもかかわらず軍事的突出を続ける国が成功したためしはありません。恫喝外交を続けて支援を引き出す一方、陰でドル紙幣を印刷したり麻薬を売って外貨を稼ぐほどの狡猾さがあれば、そのことを理解しないはずはありません。国の経済的疲弊、自身の健康問題、後継問題を抱え、やむにやまれぬ断末魔の叫びとも受け取れなくはありません。くれぐれも暴発することのなきよう、慎重な対応が求めらます。


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