シドニーの風

シドニー駐在サラリーマンの生活日記です。
心に映るよしなしごとをそこはかとなく書き綴ります…祖国への思いを風に載せて。

モリケン

2009-03-30 11:05:20 | あれこれ
 29日に投・開票された千葉県知事選で、森田健作さんが初当選されました。今年1月には、自民党の支持基盤が強い保守王国・山形県で、自民党が支援する現職の知事が敗北したばかり。今回は、自民党県議の約半数は森田さんを支援したそうで、支持が割れて自民党としては自主投票を決めたため、自民対民主の対決の構図になったとは言えませんが、民主党はじめ4野党が推薦した対抗馬が敗北したということで、政権交代への第一歩にしたいと考えていた民主党には大きな痛手となりました。
 モリケンと言っても俄かに通じないかも知れませんが、1970年代初頭にはブロマイド売上NO.1にもなった青春ドラマの大スターだったのは皆さんご存知の通り。私の世代にとっては懐かしい元祖「アイドル」ですが、政治家に転身してからの彼のことは、正直なところ余り印象に残っていません。それでも、今回の選挙戦では都市部の無党派層の支持がカギになる中、抜群の知名度を生かし、小沢一郎代表の公設秘書逮捕にまつわる問題が追い風になって、政党色を強く打ち出さない方が票になるかもしれないという事前の予想を裏付けるような結果でした。今の政治状況を象徴しており、ちょっと寂しくもあります。
 政治の最大の使命は所得の再分配にあるわけですが、野党が野次るとおり、地方を基盤として開発型の発展を主導してきた自民党政治の賞味期限が切れているのは言うまでもありませんが、他方、民意を問うことばかり主張する野党、とても民意を得ているとは言えないほどの微々たる支持率の弱小野党はもとより、民主党・小沢代表にもかつての政治理念が見えず、物足りなく思うのもまた正直なところです。これから反小沢の動きは更に活発化し、政局は益々混沌としそうで、国の舵取りの方は大丈夫なのか、なんだか心許なく思わずにはいられません。
 以前、出生率のことに関連して触れましたが、今、日本を覆う閉塞感は、地方、もっと言うと私たち一人一人を含む地元コミュニティが活性化していくことが鍵になると思います。江戸時代にも「お上」と呼んでいたのかどうか知りませんが、「お上」は「お上」として、江戸時代の庶民の生活の方がよほど気ままで自由闊達で自立していたのではないかという気さえします。それがいつしか、開国し、世界の一等国となるべく、敗戦の挫折はあったものの、中央集権で経済成長を遂げる中で、私たち自身は国に甘え(あるいは国に収奪され)、自分たち自身の自由や遊びが少ない社会になってしまいました。もし「お上」が自ら変われないのであれば、私たち自身や地方が変わり、「お上」が「お上」のお題目に集中せざるを得ないよう、「お上」に圧力をかけたいものです。森田さんも、掛け声だけは「政党ではなく、600万千葉県民のための政治を行う」「中央とのパイプで千葉を変える。千葉から日本をリードする」と勇ましい。政治の難しさは、民意に拠りながらも、時に長期的な視点で短期的な民意の反発を排してまでも指導力を発揮するところだと思いますが、宮崎県知事や大阪府知事に続き、森田さん自身の今後、さらには森田さんに続く今後にも、ちょっと期待しています。


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