SWORD中央ラボ分室

『アストロミゼット』HPブログ出張版
自企画の紹介が主ですが「小サイズ可動フィギュア」の可能性も広く研究しています。

【開発記録】汎用ドロイド『モノグラス』製作・11

2023-07-01 01:13:34 | Laboratory
レジン無垢のままジョイントとABS棒埋め込みジョイント、それぞれメリット・デメリットがあります。

レジン無垢の場合、まず一番懸念されるのが強度の問題。確かに「思っているよりは」レジンは強靭でごくごく僅かなテンションや細かい造形、薄手の造形にも十分に耐えられるようにはなっております。
ですが、手流し注型の際にはどんなに気を付けていても内部に細かい気泡が残ってしまうもので、それがジョイント軸に発生していた場合強度は著しく低下します。
また、強靭と言ってもそれはあくまで「思っているよりは」のレベルで、また「捩れ」に対しては案外脆く、ジョイントの渋みをきつめに設定してしまうとさすがに信頼性の心許無さは否めません。
更には、複製時の収縮というのも無視できません。
このサイズであれば収縮率の影響など微々たるものなのではないか?と思われるかも知れませんが、これがなかなかどうして、同じ型から複製した成形品でさえ微妙な差異があったりするのです。

一方ABS棒埋め込みジョイントの場合、軸そのものの強度・耐久性…特に捩れに対する強度はレジンの比ではありません。
実際これまではこの方式を全面的に信頼し、製作物に多々用いてきたものですが、やはりこちらにもデメリットはあります。
一つはABS棒を固定するためには土台のパーツにある程度の深さのスパンを設けて抵抗で軸を固定する必要がある点です。
これが十分に稼げないと軸そのものは捩れに強くとも、土台の方が抉れてしまい軸が外れてしまいます。
今までは5㎜のABS棒を用いた比較的固定スペースに余裕のあるパーツ構成だったためそうした心配はごく僅か(0ではありません)だったのですが、今回の様な3㎜ジョイントを前提とした小サイズの関節の場合には不安があり、かつて『グラニ』のスティード(馬形態)モードの膝関節や各種のビークルのハンドルバーにもそれでずいぶん苦労した記憶があります。

今回の場合、そうした条件を鑑みつつここ数日検討してきたのですが、その結果一部強度保持が必要な部分にのみABS棒の埋め込みジョイントを使用し、特に肘や膝の小振りな関節部に関してはレジン無垢のジョイントでゆこうと考えました。

幸い小サイズのフィギュア故に重量的な負荷があまりかからず、肘膝に関してははレジンのままでも強度の不安はさほどないだろうと確信できましたので商品的にはこの仕様で問題は無いと考えます。
また、レジンの収縮率問題に関しては今後経験値を重ねて原型出力時に微調整してゆく方向になります。デジタル原型制作はそういった点では便利ですね♪

…で、課題は残しつつもひとまず今回はこれで十分に商品足りえる仕様となったと判断いたしました。
それでも念のため、関節を動かす際にはTOP画像の様に動かす箇所の根元部分(赤矢印の箇所)を保持し、パーツ分割面と可動方向に逆らわない様に動かして頂けますとより安全にポーズを変えることが出来る事と存じます。

まぁ、デジタル造形初心者の手探り状態故、心配性であれこれ書きましたが、普通に遊ぶ分にはどうやら問題は無さそうです。

いよいよ複製~生産作業に移ります…。

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