諏訪山岳会公式ブログ

諏訪地域の山好き、クライミング好きが集まって、ウラヤマからヒマラヤまで四季を通じてオールラウンドに活動しています。

錫杖 1ルンゼダイレクト

2013年09月18日 | バリエーション・登攀
ルート:錫杖岳 前衛壁 1ルンゼダイレクト
日時:2013年9月14日
メンバー: 岩ひばり嬢、Ktoさん、U山
 
この朝、岩ひばり嬢とU山は3時に岡谷インターで合流し、その後Ktoさんと現地駐車場で5時前に合流。
この待ち合わせ時間、自分の勘違いで1時間ほど早く設定してしまったのだがあとあと振り返ってみればこれで大正解。もちろん一ルンゼ取り付きには一番乗りだった。
 
この日は、1ルンゼ周辺には、我々以外はリトルウィングを登るチーム錫杖(?)の二人組のみで翌日からの台風接近のせいもあってか、静かな1日であった。












一ルンゼはど真ん中

                                      

                                     <続きは右下をクリック>



準備を済ませ、まずは最初の3PをKtoさんのリードでスタート。
1P目はフェースからチムニー状を経てコーナークラックを右上する本ルート中で一番快適なピッチ。
2P目で本流(といってもフェース)を左に渡る。












<2P目>


3P目でガラ場状のルンゼを辿ってV字壁末端まで。











<3P目 
  正面がV字壁>


3P目は終了点が判然とせず残置ハーケンとカムでビレイ点を構築。1・2P目の終了点がハンガーボルトのしっかりしたものだったので、なぜ急に?と腑に落ちなかったが、それ以上に下りはどうしたものかね?と悩みの種が撒かれてしまった。

次の3P(4~6P)はU山担当。
ここから6P目までのビレイ点はいずれも古いリングボルト・ハーケンを束ねたもので、やはり1・2P目のように新しく整備されてはいなかったが、それなりの信頼感はあった。
5P目は濡れていると悪いと書かれていたが、割とよく乾いていてラッキー。
プロテクションが取れそうなところを狙って左壁側に断続的に続くクラックを直上(トポは途中から右にトラバース)。



























6P目はビレイ点からいったん直上し、そこから左にトラバースして残置シュリンゲが垂れたコーナーを目指すがこれは間違いのようで(昔のライン?)、下からの指示に従って更に左にトラバースしてかぶり気味のクラックを登る。
この2Pは、一目でラインと特定できるような際立ったクラックやコーナーがあるわけではないのでライン取りに頭と気を使ったが、ふりかえってみれば本ルート中で一番面白かった部分であり、残置物の無いルートならではの面白さだった。
 
最後の3P(7~9P)は岩ひばり嬢担当。ここからは1ルンゼ本流と同じラインを辿る。























<7P目>


岩ひばり嬢は、最近、右足に乗り込むと拇指球に激痛が走る症状が続いていて、この日も痛みに耐えながらの登りとなる。7・8の2Pでのっぺりしたスラブからハング下を右に回り込みルンゼを少し上がったところでラッペル用の安環ビナが残置されたビレイ点に到着。
 
残すところあと1Pだが、岩ひばり嬢の足の痛みが傍目に見ても痛々しいし、横断バンドもすぐ上に見えるし、なによりもしっかりした懸垂支点に誘惑されて、本日のクライミングはここまでとし、14時過ぎから下降に移る。
 
まずは、一ルンゼ本流ルート沿いに2P下降。その先は次の支点が見えないので、登ってきたラインに戻り、それに沿ってさらに2P下降。















懸案のV字壁末端はやり過ごしそのままルンゼ入口にあった立木を目指す。
 
残念なことに立木は懸垂支点としては頼りなく、かわりに打ったハーケンも信頼できるのは1本だけ。
仕方がないので、立木やカムで二重三重にバックアップを取って、1本のハーケンを支点にして一番重いU山が最初に下り、残りの二人が続く。

こういうケースでは、特に最後の人のバックアップは貧弱になるが、今回はロープが1本余っていたので、ランニングを取ってビレイしてあげればよかったなと反省。こういうことは日頃からシミュレーションをしておかないと咄嗟のときに出てこない。
 
降りたところは2P目終了点で、そこから50mダブルちょうどで取り付きに帰着 16:40。
もう少し早く戻れるかと思っていたが、3人の下降+支点づくりで思いのほか時間がかかってしまった。
 
ギアの整理後、遅い昼食をとって下山を開始。
登山道にはなんとか明るいうちに合流できたがそれから間もなくしてヘッデンが必要になる。
途中、雨が降ってきたので上下雨具+ザックカバーのフル装備になったが、それも間もなく止んでしまって、再び雨具を脱いだりしたのでだいぶ時間をロスしてしまった。

そんなこともあって、駐車場帰着は7時すぎ。あと1時間で、下山報告のタイムリミットになるところで、集合時間の1時間の勘違いがいい方向へ転んでくれた一日であった。
そして何よりも、残置物がほとんどないスッキリとしたルートのお蔭で、密度の濃い充実感たっぷりのクライミングを楽しむことができた一日であった。

 

駐車場 5:00 ~ 取り付き 7:00 ~ 登攀開始 8:00過ぎ ~ 8P目終了 13:50 ~ 下降開始 14:15 ~ 取り付き 16:40 ~ 駐車場 19:05
 

<参考>
チーム錫杖のメンバーに聞いたところによれば、一ルンゼ本流の各テラスの支点は整備されているとのことで、今回も、素直に本流を下ってくればもっと早く帰って来れたと思う。
 
また、登っているときは、何故3ピッチ目以降のビレイ点が突然古いものになってしまうかいぶかしく思ったが、正しくは、一ルンゼ本流のビレイ点が整備されていて、それとルートが重なる2P目終了点、6P目以降の終了点ではその恩恵にあずかることができると認識すべき。本流とはかさならない1P目終了点もハンガータイプでしっかりしているのは、上記からは説明できないが、このピッチが登られた時期などとの関係があるのかもしれない。




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