2014年8月13日~15日 参加者:S原、S藤、I間
入山前、天気がイマイチの予報でしたが、幸い小雨程度の崩れのみで、池ノ谷~剣尾根上部~剣~早月尾根、という周回コースに行って来ることができました。
13日 晴れのち曇り
馬場島8時-白萩川取水口9時-白萩川10時-小窓尾根取付10時半-1600m12時-池ノ谷12時半-二股14時
茅野4時発、馬場島で前夜発のS藤と合流。計画書を提出して白萩川沿いの林道を行く。高曇りでそれほど暑くなく、北方稜線や小窓尾根が望める。
<馬場島にて>
取水口横からしっかりした高巻きルートに入り、30分ちょっとで池ノ谷が正面に見えるコルへ。樹林中で湿度高く汗びっしょりになる。
<取水口・「池ノ谷」のペンキマークに従って巻ルートへ>
<コルから池ノ谷ゴルジュ>
コルから白萩川へ急降下、池の谷正面に降り立つ。水量はそれほど多くなく、タカノスワリもそのまま来れたかも。しばらく右岸沿いに踏み跡を辿り、雷岩手前のペンキマーク辺りで流木を利用して川を渡る。
<左:白萩川、右:池ノ谷ゴルジュ>
藪の中に「池ノ谷」の道標がある。ここから急登だが、トラロープも随所にフィックスしてあり、迷うことは無い。
ここから樹林中で風も無く、暑くて3人ともシャツからパンツまで汗でびしょびしょになる。
<1600mから池ノ谷>
傾斜が緩むと1600m。積雪期は小広い快適なテントサイトだが、この時期はただ暑い灌木と藪の尾根。正面に池ノ谷全景が望まれる。
池ノ谷へ降り立つと、三重(と奈良?)から来たという二人Pと行き合い、言葉を交わす。剣尾根とチンネに登るとの事。
<池ノ谷雪渓を登る>
二人Pに先行して雪渓を二股目指して登りはじめると、空は雲に覆われ、涼しくなる。
雪渓は切れ目なく続いており、ハイキングシューズのS原は滑るのでアイゼンを履いて登る。
今回二股付近に適当な幕営地は剣尾根末端の台地のみ。後続の二人は雪を削って雪渓に設営していた。
<剣尾根末端のテント場>
この日は我々の他には二人Pのみ、池ノ谷は静かに暮れていった。
今回は軽量化の為、乾燥食品中心で通した。今日のメニューは卵スープ+ふかひれスープかけごはん。それなりに旨い。
持ち上げたアルコールを軽量化の為飲み干して就寝。高度が低いせいか暑い上に、傾斜地でマットの上で滑って寝苦しかった。
14日 曇り一時小雨
二股4:45-R8付近5:45-池ノ谷尾根末端7時-R2取付7時半-コルB8時半-長次郎頭13時半-剣14:40/15時-早月小屋17時
今日は全装備を背負って剣尾根上部を登り、剣岳を経て早月小屋までの長丁場の予定。
明るくなるのを待ってアイゼンを着け、左俣雪渓を登る。高曇りで涼しい。
<行く手に三の窓が見える>
次回?の為にルンゼを数えて登るうち、1時間ほど登ったR8と思われるルンゼに後続の二人Pが取付くのが見えた。
その後、左俣は幅を狭めてくるが、雪渓は三の窓直下まで切れ目なく続いていた。(Rいくつか?は結局最後には良くわからなくなってしまった)
傾斜はそれほど急ではなく、同行の二人も問題なし。池ノ谷尾根末端で小休後、右の支雪渓に入り、R2へ。
<R2チョックストン>
R2自体には雪は無く、ガラガラ・グズグズの登りとなる。
1か所チョックストーンのある所でロープを使用。ザックが閊(つか)える。まだ新しいダブルロープの残置あり(懸垂用?)
コルBは狭く、ここから剣尾根上部の登攀開始。この頃からガスが辺りを包み、周囲が見え隠れする様になる。
<コルBからのリッジ>
リッジはホールドも多く、ルートを選べばⅢ級レベルの愉しい登攀。ただ今回は荷物が重いので、慎重に。
2Pで岩峰基部へ、ここで左へトラバースし、7m程のチムニーへ。ザックが邪魔だがなんとか外へ出てクリヤ。この後はブッシュと岩稜歩きになるが、視界も無く岩も湿り気味だったので、しばらくロープを使用。
2Pロープ使用後、ロープを仕舞って踏み跡をしばらく辿ると岩場に出て、踏み跡は左にトラバースしている。
踏み跡を行くと最後に崩れた様なルンゼ状で踏み跡消滅。上の岩場に抜けるのかハーケンがあったが、急なスラブだったので戻ってリッジを登る。この頃はガスで周囲が全く見えず、現在地がわからない状態。
岩場を登りきると再び踏み跡が出てくるが、その後またリッジが崩壊したようなところに出て、ここは少し戻って左下にハイマツ帯を下り巻くことができた。
どこがコルAかわからないまま行くと、その後は岩峰を右から巻き、リッジを登るとピークに至り、縦走路に出て、長次郎の頭に到達したと知る。核心を抜けた後もロープを出したり、尾根上部で右往左往したため、想定したよりも大分時間がかかってしまった。易しいと言われる剣尾根上部だが、崩壊しているところもあり、やはり甘くはなかった。
装備を解き、休憩していると、剣方面から人が来て、「本峰はこちら方面ですか?」と北方向を指さす。聞くと八つ峰を登攀後北方稜線を南下してきたはずが、ガスで方向を失い、反対方向に行こう(逆行)としていたらしい。
この5人Pに続き、縦走路を南下、懸垂点へ。言葉を交わすと5人のうち3人はA田労山Pとのこと。ロープをお借りして懸垂(ありがとうございました)。
濃いガスの中、南方面のガスが切れ、一瞬本峰らしい姿が見え、ようやく確信をもって本峰を目指すことができた。
小一時間、ガスの中を登り、静かな剣岳へ。3人で握手を交わす。
<早月尾根を下る>
頂上で小休後、早月尾根を下る。よれよれになって早月小屋へ到着、設営。小屋で仕入れたビールで乾杯、格別な一杯だった。
<早月小屋前から沈む夕日を見る>
今夜は卵スープと乾燥野菜入り麻婆春雨。ご飯にかければ美味。
I間が割り当てのα米1袋では足りず、自分の予備食1袋を持ち出して食べ、彼のパワーの源泉は食い物、と納得。
15日 曇りのち雨 早月小屋6時-馬場島9時
夜半からの風が吹く中、雨が降る前に下山。
今日も樹林帯で汗びっしょりに。この3日間、実にたくさん汗をかいた。
3時間で馬場島着、車周辺にブヨがたくさんおり、あちこち刺され、逃げるように車に飛び乗り上市へ。走り出してすぐに土砂降りになる、という絶妙のタイミングだった。
上市の「アルプスの湯」(620円)で汗を流し、帰途についた。
今回、同行の2人は全装を背負っての登攀は初めてだったが、特に問題になるような事は無かった。やはりクライミングのトレーニングを積み、体力のある人達は強い、と実感。
コルBから上部のⅢ級程度のピッチには要所に残置はあるものの、カム・ハイマツ・岩角でのランニングを多用した。
登攀具:8mm×50mロープ2本、ビナ・スリング:ランニング12箇所分、カム2個
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帰宅後:
①富山県警から問い合わせの電話あり。何かと思えば、下山途中のガイドパーティが池ノ谷二股に不審な無人のテントを見た、という事で、情報収集との事。
13~14日に行き合った二人Pについて僅かながら情報を伝えた。何事もなければ良いのだが。
②下山時、馬場島の駐車場でブヨに刺された跡が翌日腫れ上がってしまい、まいった。
いろいろ良い経験が出来ました。
また、宜しくお願いします。