スカーレットはいよいよ佳境に入ってまいりました。
八郎と重なるように寝ていた三津はかわはら工房を去り、
穴窯で思う通りの作品を作れない喜美子は、息子の進学資金に手をつけようとして
八さんと口論をする。
残り2ヶ月のこの時期に相応しい、ドラマチックな転換期ですね。
twitter上でのスカーレット関連投稿も連日盛り上がりを見せています。
みなさん洞察が深くて驚きました。
中でも面白かったのが
「喜美子は常治化している」
この発想は私には無かったのですが、
要は、借金を重ねて家族に苦労をかけた常治と
穴窯のために借金も厭わない勢いの喜美子が重なって見えるということです。
なるほど・・・その見解は思いつかなかった。
おそらく私が、借金をしたことも(住宅ローンは借りてますが)
お金に苦労したことも無いからでしょう。
それは幸せなことですし、人は自分の中に無いことに気づくことはできませんので、
自分には無い見解はとても勉強になります。
私自身がこの二日間で気になったのは、タイトルにもあったキーワード
「男ならよかった」
です。
月曜日には八さんに惚れた自分自身を許せず、かわはら工房を去った三津が、
火曜日には自分の芸術魂を周囲に理解されないことに苛立ちを募らせた喜美子が、
この言葉を呟きました。
同じ言葉を違う意味で使わせる脚本家さんの演出が素晴らしいですね。
しかし、男社会で20年間働き、いわゆる「女性活躍」に関するネタを
長年に渡り考えてきた私としては、ツッコミどころが満載です。
今日は、三津と八さんと喜美子へのツッコミコーナーを開催します。
<三津へ>
・陶芸家になりたくて全国を回って断られ続け、やっとかわはら工房に弟子入りできたのに
・「既婚者である八さんへの恋愛感情を感じたから」ってだけで、辞めちゃうの?
・「八さんから身を引いた」というよりは、「既婚者を好きになる自分が怖くて逃げた」
ように見えるけど。
・八さんは、少なくとも仕事のパートナーとしては、アナタを必要としていたよ。
・陶芸がしたいなら、こんなにいい環境は他に無いはず。
・「男ならよかった」というなら、男と同じように陶芸に打ち込みなよ。
・アナタ、本当は何がしたかったの?本当に陶芸がしたいの?
・本当に陶芸がしたいなら、惚れた煩悩と葛藤しながら修行を続ければいいじゃない。
・そうやって自分から逃げ続けても、また逃げた先で同じことが起きるよ。
・元彼のヒロシへの嫉妬から逃げたところで、かわはら工房で喜美子への嫉妬に
悩まされたのと同じだよ。
・もっと自分と向き合ってね。
<八郎へ>
・穴窯をつくることを喜美子に勧めたのは、アナタでしたよね?
・それが、一回失敗して胴元から苦言を呈されたら、あっという間に手のひらを返して
穴窯使うのを辞めろって言うんですか?
・ブレまくっていて、喜美子も混乱してしまいますね。
・また、三津はアナタの苦境を支えて新天地を見つけるヒントをくれた
仕事上の大事なパートナーですよね?
・その三津が自分への恋愛感情を持っていると分かり、彼女が罪悪感から
「工房を去る」と言った時に、止めなかったのは何故ですか?
・喜美子にバレて、咎められるのが怖かったからですか?
・アナタは「いい旦那」「いいパパ」でいることが、いい仕事をすることや
仕事のパートナーを守ることより大事なんですね。
・芸術家のメンタリティでは無いですね。
・三津のアドバイス通り、家族向けに和食器セットを作るのがアナタには似合ってますね。
・本当に三津を手放してよかったのでしょうか?
・もっと、自分と向き合ってくださいね。
<喜美子へ>
・そもそも、何で穴窯で焼きたいと思ったの?
・もともとの目標は、自分の作品で金賞を取って、八さんと喜び合うことだったよね?
・なのに、八さんに「一旦穴窯は諦めて、まずは金賞を取りに行こう」と言われた時に
何であんなにムキになるの?
・本当の目標は何か、見失っているんじゃない?
・アナタは、三津と八さんがいい感じになって、三津のアドバイスから八さんが新天地を
見つけた時から、八さんと自分とのパートナシップに自信を無くしていたんだね。
・だから、折り重なるように寝ている二人を見た時に「何やってんのよ!」と
抗議することができなかったんだね。
・でも、アナタと八さんはもともと、アナタが芸術的な作品作りをして、八さんが
それを支えるために和食器セットを作る形で新しいパートナーシップを
見つけたんじゃ無かったっけ?
・だから、その八さんが「穴窯にお金をかけるのは一旦やめよう」と言っているのなら
八さんの言葉には耳を傾ける必要があるんじゃないの?
・「男ならよかった」と言うのであれば、まずは男の八さんと同じように
たくさん作品を作って、金賞を取って、胴元に認められて、
穴窯の資金を投資してもらえるようにならないとね。
・もっと自分と向き合ってね。
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いやー長くなりました。
長年「女性活躍」について考えてきた自分にとって
「男ならよかった」というのは、気持ちはわかるのですが
自分の実力や熱意が足りないことの言い訳になるマジックワードでもあります。
類義語は「もう歳だから」「もうオバさんだから」です。
これらの言葉は、自分の成長や内省を止める強い効果を持っています。
なので、こう言いたくなったら無理矢理にでも思いとどまり、
内省できる場所、成長できる余地はないかと自分自身に問うてみることをお勧めします。
(・・・もちろん、私自身に向かって言っています!)
喜美子と八郎と三津が、自分自身を振り返り、新たなパートナシップを見つけられるよう
これからも見守っていきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
明日も素敵な1日を。