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明日また陽が昇るなら −カウンセラーもり あずさ(もるも)のブログ−

最期まで自己完結なロックマン -夏目漱石「こころ」より4-

こんばんは。

アナタに明日への希望をお届けする「情熱の女」カウンセラー もるもです。

 

昨日までの3日間、夏目漱石の「こころ」に登場するロックマン「K」について取り上げてきました。

 

本日は最終回となります。

 

恋敵である友達に迂闊にも自分の恋心を吐露してしまい、当然のように友達に先を越されて彼女を奪われた「K」は

 

なんとその数日後、自殺してしまいます。

 

この話は事実ではなくあくまで小説です。

 

現実にあった話であれば絶望に打ちひしがれて、何もコメントできませんが

 

以下、あくまで小説であることを前提に突っ込み気味に書きます。

 

「好きな女の子にフラれたのでこの世を去る」

 

・・・こんなことを友達が言おうものなら

 

キムタクでなくても「K」に対して

 

「ちょ、待てよ!」

 

と言いたくなります。

 

失恋したからって死を選ぶ??

 

しかも、意中の彼女とは付き合っていた訳でもなく

 

自分が一方的に惚れていただけなのに?

 

友達と思って信頼していた「先生」に裏切られたから??

 

マジか・・・

 

・・・そんなことで命を捨てるようだったら

 

「101回目のプロポーズ」で100回フラれた武田鉄矢さんは

 

100回命を捨てなければいけなくなりますよ?(例が古いw)

 

しかも「K」さん。

 

アナタはお寺の息子さんですよね?

 

お寺って、こう言う衆生の色恋の煩悩を包み込む場所では無いのですか?

 

そのお寺で育ったアナタが、ただの一度の失恋で命を投げ出すって

 

アナタは一体お寺で何を教わってきたのですか?

 

・・・そう突っ込まざるを得ません。

 

「K」は遺書の中で「先生」への今までの感謝とともに

 

「自分はもっと早く死ぬべきだったのに、今まで生きてきてしまった」

 

と書いています。

 

その遺書を読んだ恋敵である「先生」は

 

そこに「お嬢さん」に絡む自らの裏切りについては一切書かれていないことを発見し

 

安堵するとともに、猛烈な罪悪感に苛まれます。

 

そりゃそうです。

 

自らの恋路に「K」が侵入してきたことに焦りを感じ、慌てて結婚を決めただけなのに

 

まさかその「K」に自殺されるなんて・・・。

 

こんなことは「先生」でなくても、誰も想像できません。

 

「K」のナイーブぶりは凡人の想像を超えています。

 

もともと「K」はお寺の息子でしたが、医者に養子に出され、医者になることを命じられて帝国大学に入学しました。

 

しかしどうしても医学に興味を持てず、養子先の親とも折り合いが悪くなり、困窮して腐っていたところ

 

「先生」に声をかけられて同じ下宿に暮らすことになります。

 

「先生」の取り計らいで「奥さん」や「お嬢さん」とも交流ができるようになり

 

結果として「お嬢さん」に惚れてしまい

 

無邪気にその思いを、恋敵とは気づかず「先生」に打ち明けます。

 

この一連の流れから「K」は無限の愛を求めていたと推察されます。

 

「仕送りを止められた自分は、親から愛されていない」

 

「医者になりたく無い自分は、親の期待に応えることができない」

 

「よって、自分の存在は無意味であり無価値である」

 

・・・典型的なロックマンの発想&思考の流れです。

 

そんなロックマン「K」にとっては

 

「先生」の友情は心に染みたでしょうし

 

「お嬢さん」を好きになったことで、親から得られなかった無限の愛が得られるかも知れない

 

・・・そう感じていたのだろうと推察します。

 

しかし、その期待は見事に裏切られました。

 

この出来事により、ロックマン「K」の無価値感・愛情枯渇感はピークに達し

 

衝動的に自殺を選んでしまったと推察されます。

 

しかし、本件があくまで物語であることを前提にさらに突っ込みますと

 

最期まで「K」は自己完結です。

 

「K」の心の世界に「他者」は存在していません。

 

もし「K」が他者である「先生」や「お嬢さん」の気持ちを考えることができたとすれば

 

自分が衝動的にこの世を去ることは「先生」の立場からはどう見たって「報復」にしか感じられないことに気づくでしょうし

 

自分が「他人の愛」に気づくきっかけとなった「先生」や「お嬢さん」の住む下宿を

 

その愛をくれた人々が最悪の思いに浸る場所へと変えてしまいます。

 

そういう、自分にとって重要な「他者」の気持ちに全く思いを馳せる余裕も無く

 

自らの無価値観と愛情枯渇感で頭が一杯になってしまい

 

「お嬢さん」を巡る「先生」の裏切りについて遺書に書かないことで「先生」に気を遣っているつもりでいる「K」は

 

どこまでも自立・自己完結型のロックマンです。

 

「先生」からすれば、むしろ「K」から

 

「お前裏切りやがったな、覚えてろよ!」と啖呵を切られた方が

 

よほどスッキリしたのでは無いかと思います。

 

そうして感情を押し殺し、自分の感情を他人に見せずに自己完結して人間関係を切るロックマンたちは

(この小説では一番極端な「自殺」でしたが、「音信不通」「逃避」などの行動も心の動機としては同じです)

 

自分の行動が重要な他者を深く傷つけていることには全く頭が回っておりません。

 

「K」の自殺の後に「先生」と「お嬢さん」は結婚しますが

 

「お嬢さん」の後ろに常に「K」の亡霊を見てしまう「先生」は「K」を自死へと追いやった罪悪感に苛まれ続けます。

 

結果として、仕事にも「お嬢さん」への愛にも真っ直ぐになれず

 

何も事情を知らない「お嬢さん」は「なぜ夫は私をまっすぐに愛してくれないのだろう・・・?私が何か悪いのかしら・・・?」と自分に自信を無くし

 

幸せに結婚生活を送るはずだった二人は罪悪感と自己否定のデスロードを歩み続けます。

 

そして最後に「先生」は、明治時代を象徴する乃木希典の自殺の報に触れ、自らも自殺を選びます。

 

「K」の自死は、時間を経て「先生」の自死をも誘発し

 

「お嬢さん」をこの世にたった一人にしてしまいました。

 

ロックマンの自己完結は、結果的に彼にとって重要な他者2人をも不幸に引きずりこみました。

 

もちろん、100年前の当時と今とでは状況が違います。

 

100年前に「先生」がした「友人への裏切り」およびそれによって手に入れた「恋」に対する罪悪感の強さは現在の比では無かったと思います。

 

100年後の今は、ミスチルが「無邪気に人を裏切れる程 何もかもを欲しがっていた 分かり合えた友の 愛した女でさえも」と歌っても

 

ただの歌詞の一部にしか聞こえない時代です。

(あ、でもこのミスチルの"tomorrow never knows"すらすでに26年前の歌ですけどw)

 

ですが、この話に突っ込むべきところは時代背景の違いではなく

 

ロックマンのような自己完結して孤独な精神世界に生きる男性は

 

今も昔も普通にいるということです。

 

流石に現代においては、フラれたからって死を選ぶロックマンはそんなにいないとは思いますが

 

彼らがそれくらい愛情に飢えていること

 

ショックに弱い、脆い感情を抱えて生きていること

 

その感情を感じないために極端な行動を選択しがちなこと

 

その自己完結ぶりは他者から見ると意味不明なこと

 

そして、こういう人に関わってしまうととてもめんどくさいけれども

 

それでも不朽のベストセラー小説の主題となるくらい

 

人々の関心を呼んでやまない存在であること

(「こころ」というタイトルに象徴されていますよね)

 

それらを理解すること・感じることが大切なのだと思います。

 

小説「こころ」に見られるロックマン分析は以上でいったん終了します。

 

ロックマンに悩まされている女性の皆様

 

ご自分が「ロックマン」「ロックウーマン」じゃ無いかとお悩みの皆様

 

そんな皆様のご参考になりましたら幸いです。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

素敵な土曜日の夜を。

 

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