皆と一緒に県政を

県政を県民のために「井原すがこ」は一人会派ですが頑張ります。

県政の「変」を質す

2013年07月01日 | 議会一般質問

                   6月定例会一般質問 (平成25年6月20日)                                         

                         井原 すがこ(草の根)


はじめに

 早いもので、県議会のお仲間に加えていただいて2年が経過し、任期の半ばを過ぎました。初めての経験で、議員のみなさまや行政職員の方々にはご迷惑をおかけしたことと思いますが、お蔭さまで何とかここまで来ることができました。この場をお借りして、心から感謝を申し上げます。

 議会での質問は、県民のみなさまの前で県政を質し、自らの意見を述べることが、議員にとって大切な職務の一つだと思い、毎回欠かさずその時々の課題を取り上げてまいりました。

 しかし、議会の取り決めで今回から、一人会派の私の質問時間は従来の45分から30分に、15分も短くなりました。言うまでもなく、議員は、会派に関係なく、一人ひとりが県民の代表であり、その質問時間が大きく削減されることは、主権者たる県民の声が県政に届きにくくなり、大変残念に思います。それでも与えられた30分間を大切にしたいと思いますので、執行部のみなさんにもぜひわかりやすいご答弁をお願いします。

 私は、市民が主体となる市民政党「草の根」のメンバーの一人として活動しており、これまで、岩国地区を中心に県政報告会をしてまいりました。その回数はこの2年間で120回を超えました。先月山口市において初めての草の根集会を開催し、今後、県東部や下関でも開く予定です。一旦選ばれれば、山口県全体のために働き、勉強していくのが議員としての本来の仕事だと考えておりますので、これからも岩国地区だけでなくいろいろな地域で「草の根」の集会を重ねていきたいと思っております。

 そうした集会では、原発や基地問題、地域の道路事情、教育や福祉、さらに政務活動費や議会のあり方など実に多くの課題が出てまいります。最近では、知事の健康を心配する声も少なからずあります。今回は、それらの中から、県民の関心の高いいくつかの課題を取り上げたいと思います。


1. アベノミクスに対する知事の取組について

 
最近の株価の急落により、あれほど勢いのあったアベノミクスにもかげりが見えかけてきています。私の乏しい経済知識から考えても、お札をどんどん刷って株を上げれば景気が良くなるというのは、あまりにも安易で経済の常識を外れていると思います。外国の投資家などが大きく関係するいわゆるマネーゲームに巻き込まれ、国民が犠牲にならないことを祈るばかりです。

 金融緩和に続く二本目の矢、「機動的な財政出動」に関連して、質問いたします。
 国では、補正予算と今年度予算を合わせて大規模な公共事業予算が組まれています。安倍総理のお膝元だからどんどん予算をつけてもらおうと考えがちですが、それでは逆に、安倍首相の足を引っ張ることになりかねないのではないかと懸念いたします。総理大臣は国民全体に責任を負う立場であり、地元のことを気遣わせるのではなく、思う存分国のために仕事をしてもらうことが、本意ではないでしょうか。この点について、知事はどのようにお考えか、お聞かせください。

 先日、県の観光振興に大きな役割を果たしている「ちょるる」の関連事業に国の震災復興予算が使われていることが、全国放送で大々的に取り上げられました。「ゆるキャラ・グランプリ」で堂々の2位になり、これから多方面で活躍が期待されていた矢先に、イメージダウンになり大変残念です。

 全国で、次々に信じられないような復興予算の流用が明らかになっていますが、各省庁の官僚にとっては自らの役所の予算を増やすことが至上命題ですから、そのためにへ理屈を考えることなど優秀な官僚にとってはごく簡単なことなのでしょう。一方地方は、国がくれるからと喜んでもらっていては、予算の無駄遣いの片棒を担ぐことにもなります。今回の「ちょるる」の一件は、そのことを象徴しているのではないでしょうか。国の予算も私たちの貴重な税金であり、本来の趣旨を逸脱した使い方は慎むべきであると考えますが、この点に関する知事のお考えをお聞かせください。


2.オスプレイに対する県の姿勢について

 オスプレイの飛来についてお尋ねいたします。
 昨年、普天間基地に配備されたオスプレイ12機は、その後、頻繁に岩国基地に飛来し、そこを拠点に昼夜を問わず低空飛行訓練を行っています。各地から、目撃情報が寄せられていますが、その実態は必ずしも明らかではありません。そこで、お聞きいたします。

 知事は以前から、オスプレイの訓練については、事前の情報提供を国に求めてきておられますが、すべての訓練について事前の情報提供が確実になされているのですか、もしそうであれば、訓練の日時、ルート、機数などその内容を明らかにしてください。また、その情報を県民に周知する必要があると考えますが、どのように対応していらっしゃるのでしょうか。

 市街地の上空を飛行しない、夜間の飛行はしないなどの日米合意が守られているのかどうか、さらには県民の安全安心のためには、県自ら、その実態を把握し、必要があればものを言うべきではありませんか。各地の自治体ではすでに騒音測定装置の設置が始まっています。山口県としても、測定装置の設置など具体的な対策を講ずべきだと考えますがどのようにお考えでしょうか。

 また、来月には、再びオスプレイ12機が、岩国に陸揚げされ試験飛行が行われる予定になっていますが、日時など現時点でわかっていることを教えてください。またこれに対する県の対応をお伺いいたします。

 防衛政務官が来県し、「岩国基地には専用の港があるから、那覇港に比べてより安全・円滑に沖縄への配備が可能となる」と伝えました。これだけでは、わざわざ何百キロも離れた遠方の岩国に陸揚げする理由には到底なりません。やはり、沖縄は反対が強いが、岩国は国に協力的であるという地元自治体の姿勢の違いが決定的な要因ではないかと思われます。平たく言えば、岩国市や山口県は甘く見られているのではないでしょうか。知事として、この点についてどのようにお考えか、お伺いいたします。

 政務官の説明に対して、知事は、「岩国市と意思疎通しながら、しっかり対応していきたい」と答えられたそうですが、これで、今回の陸揚げについては、すっかり容認されたということなのですか、知事のお考えをお聞かせください。

 このまま事態が進行すれば、合計24機ものオスプレイが普天間に配備され、岩国を拠点とする訓練もさらに激しく行われることになります。そこで、もう一点、確認しておきたいことがあります。
 従来から、岩国基地に関して「これ以上の基地機能の強化には反対である」という県の基本原則があったと思いますが、その考えに変わりはありませんか。もしそうであるとすれば、ここで言う「基地機能の強化」の具体的な判断基準を明らかにしてください。

 オスプレイが飛来し岩国を拠点に訓練を行うことが常態化しています。さらに、その数が2倍になれば、危険性や騒音など地元の負担が大幅に増加することになり、まさに、「基地機能の大幅な強化」に該当するのではないですか。


3.上関原発建設予定地の埋め立て審査延期への疑問

  「フクシマの事故を経験した日本だから、世界一安全な原発を輸出することができる」、安倍首相はこうした旨のことを言われておりますが、原因さえ究明されず、未だに何万という人たちが避難生活を強いられているという悲惨な現実を思うと、このことを聞いて被災者の方々に申し訳ない、そして恥ずかしいという思いが交錯いたしました。

 先日の成長戦略の中にも、原発の再稼働が当然のごとく盛り込まれています。
 経済最優先を考えている政府の方針としては、原発の推進は既定路線のように思われてとても残念ですが、上関原発も、このままであれば、いずれ建設が再開されることになりそうです。

 フクシマというあの悲惨極まりない事故を経験した私達だからこそ、被災者のため、そして未来の子どもたちのために、原発のない安心な国を作る責任を負っています。もちろん、上関のような新規の原発は、絶対に建設すべきではありません。これが県民の本当の思いであるということを是非知事にはご理解いただきたいのです。

 行政は、強大な権限を持っていて、その権限は、法令に基づき適正に執行されなければなりません。しかし、行政は、時に真実を隠し法令を無視し暴走することがあります。そうなれば、県民は対抗するすべを持ちません。唯一、裁判に訴えることはできますが、それとて時間がかかり、その間に既成事実が積み上げられ取り返しのつかないことになる場合も多々あります。そうした行政を常に県民の立場から監視し、適正に執行されるようにすることが議員としての責任だと思います。

 こうした視点で、前回に引き続き上関問題を取り上げて質問いたします。
知事は確か、「埋め立て予定地の土地利用計画が不透明であり、現状では免許の延長は認めない」と明言されていたのに、10月に埋立許可の延長申請が出されると方針が大きく変わったかのように、会社側に補足説明を求めるとして4回も審査期間を延長し、さらに1年間も判断を保留することとされました。これは、行政手続法に基づき定められた標準処理期間を理由もなく大幅に超えることになり、県の事務処理としては、前例のない異常な事態です。背景に何があったかというと、もちろん政権交代でしょう。エネルギー政策が変わり、上関にゴーサインが出るのを待つという政治的意図が働いていると考えざるを得ません。

 そこで、いくつか確認いたします。
 24年の9月県議会において「埋め立て予定地の土地利用計画が不透明である」とされていた知     事の発言の根拠は何でしょうか。当時の国のエネルギー政策、特に原発の新規建設に関する国の方針について、知事としてはどのような認識を持っておられたのでしょうか。

 当時の「土地利用計画が不透明である」との知事の認識は、今も変わっていないのでしょうか、それとも変わったのでしょうか。そうだとすれば、いつ、どのような理由で変わったのでしょうか。

 4回の補足説明で会社側に求めた主な内容は何ですか。

 最終的に審査期間を1年間延長されましたが、この1年というのは、会社側の要望ですか、それとも、県の判断によるものなのでしょうか。いずれの場合にも、1年という長期間を要する根拠、理由は何でしょうか。

4.部活体罰のアンケートに答えられない雰囲気

 私の2月議会での体罰についての質問を聞いたあるお母さんが、体育関係の部活動をしている息子さんが、実は顧問の先生から体罰を受けている、と相談に来られました。強豪といわれているその部活では、顧問に対する学校やOBからの期待も大きいのでしょう、またレギュラーになることへの熾烈な競争があり、顧問への気遣いも大変だととても悩んでおられました。

 そのお母さんの話では、部活内では、体罰についても保護者や生徒は一様に口を閉ざし、学校はもちろん教育委員会にもその実情を訴えることができないことへのジレンマがあるそうです。

 今年2月に行われた本県の体罰アンケート調査の結果を見せていただきました。体罰と考えられる件数のうち、中学校での事例が全体の6割を占めています。体罰が起こった場面は授業中と部活動が多く、その内容は叩く蹴るなどといったものでした。このアンケートで明らかになった数字について、教育長はどのように考えられたでしょうか。私は、この数は氷山の一角ではないかと思います。

 私のところに相談に来られたお母さんに、体罰アンケートに答えましたか、と尋ねましたが、子供が部活動を続けられなくなってはいけないので正直には書けなかったと言われました。

 体罰アンケートを形式的なものだけに終わらせず、細かい体罰さえも把握できるよう風通しを良くし、大問題になる前に防ぐ対策が急がれると思いますが、いかがお考えでしょうか。また、先日のアンケートを受けて「体罰のない学校づくり検討会議」を開催され、有識者から様々な意見を聞かれたとのことですが、その内容についてもお示しください。

 先日下関の私立高校で起こった生徒間の暴力について、部活の顧問は見て見ぬふりをしていたとの報道がありました。これについては、県はどのようにお考えか、またどのような対応をされたのかお伺いをいたします。

   多くの体育指導者を輩出している日本体育大学の入学式で、学長は“体罰、暴力、パワーハラスメントは過去のこととして葬って下さい”と挨拶をされました。こんなことをあえて言わざるを得ない現状を一日も早くなくし、改善して欲しいと願います。