スポーツ科学の最先端を行くアメリカでコーチングやトレーニングに関連する事を勉強していく
につれ「なぜアメリカは強いのか?」「なぜ選手寿命が長いのか?」理解する事ができるでしょう。
今回は「文武両道の国アメリカ」を私なりの経験論を踏まえながらご紹介したいと思います。
アメリカはフィットネスに対する認識が非常に高く生活の一部になっています。
ご存知の通り、車社会ですから必然的に歩く時間が少ない事や、医療保険制度も日本ほど確立
されておらずケガや病気に対する経済的負担が大きいのでフィットネス産業は膨大なマーケットに
なってきています。
特に西海岸方面では「自分を良く見せたい」という国民性も大きく「男性は男性らしく、女性は
女性らしく」ということでビーチ沿いのカフェやストランド(ビーチの遊歩道)には鍛え抜かれた
体の男性に、これでもかという服装でメリハリボディーの女性のカップルたちがごく自然に振舞って
います。もちろん自分の体型を省みず「自分が座れる椅子がない!」と映画館を訴える身の程知らず
の例もありますが、これは例外中の例外です。
そのアメリカにはNCAA(全米学生体育協会)という学生スポーツを統括する団体があり、
学生アスリートたちの殆どはそこに所属しながら競技生活を続けていきます。
注目すべき点は、NCAAがスポーツ障害を未然に予防するためと大学の各クラブの練習時間を
均一化するために規定の練習時間を超えないように細かくチェックをしています。
ここで求められるのが組織の合理性と個人の自己管理能力なのです。すでにアマチュアの段階から
プロフェッショナル意識を植えつけられている様は驚愕の一語に尽きます。
また学校の成績にも非常に厳しく規定のGPA(グレードポイントアベレージ=全国共通の各教科
平均成績)をクリアーしなければ、どんなに優秀な選手でも試合に出場できないルールがあるので
レギュラーの座を掴んで奨学金を得たい。またドラフトに掛かりたいと思えば必然的に学生たちは
しっかりと勉強しますし、GE(ジェネラルエデュケーション=一般教養)の他に選択教科の中には
当然のようにスポーツ生理学やトレーニング論、コーチ学などが含まれています。
例をあげるとNBAのスーパースターであるスコッティー・ピッペンやソウル五輪男子バレーボール
金メダルチームの指令塔ジェフ・ストークは「キネシオロジ-」というスポーツ身体運動学を専攻
しています。ですから、たとえプレーヤーとして成功しなくても将来引退後に指導者としての能力が
養われ、また指導される選手側も共通の知識があるだけに成果も向上します。
それが名選手でなくとも名監督が多い所以といえるでしょう。
「アスリートとして」というよりも、一学生として卒業するために必ず選択しなければならない
必須科目があります。それは「スピーチ」です。私事で恐縮ですが、かれこれ10年以上前の話に
なります。卒業を控え一番苦労した科目であり、ただでさえスピーチは未経験なのにましてや英語で
90分となるとそれこそ先述したコルチゾールの風呂に浸かっている状態が続きました。
まず英語に間違いはないか。話す内容がアメリカ人に理解できるのか。そして説得力があるか。
90分間飽きさせないように拙いジョークで少しでも笑いがとれるか。そのようなことを考えながら
構想に与えられた1ヶ月もの間に数年分の白髪を見つけたものでした。
「Like tide comes up or goes out, one life could be the same way・・・」
潮の満ち引きと人生には共通点があるという人生観を汗だくになりながら90分終えた瞬間に何とも
言い表せない充実感があり、「小異を捨てて大同につく」の通り小さなミステイクよりもしっかりと
話が伝わっているかを意識するにつれ自然とジョークも出て笑いも取れてくるものです。
大仕事をするにはしっかりとした準備、構想が必要で、行き当たりばったり、出たとこ勝負では
長くは続きません。「大勢の人々の前で自分の意思をはっきりと正確に伝える」その経験こそが
指導者として生きていくための基盤になったことは言うまでもありません。
つづく・・・
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