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09年から米国で集中治療の指導医をしています。
すでに自分の限界が見えていますが、無事に元気でやっています!

COVID-19 最前線−3

2020-05-11 | associate professor
当院では患者数のピークをすでに超えており、いかにして以前の通常業務に戻るか?という出口戦略が語られています。

先月中旬の悲惨な状態からすると、にわかに信じ難い状況まで改善しています。
仮設ベッドがどんどん撤収されています。
院内のスターバックスの再開店も間近だそうです。

参考までに、日本からメールで連絡を頂いた先輩への返事を一部編集して掲載します。

「「
連絡ありがとうございます。
70歳前後以上で呼吸器管理となった場合は、3人に1人ほどしか助かっていないような印象です。もちろん気切をして一応助かった、という意味です。抜管できるのはせいぜい50歳台までの、ラッキーなケースのみです。5人に1人抜管できればいい方ではないでしょうか。

生死をさまよっている危篤状態の人が半数を占めています。呼吸不全、敗血症性ショック、続いて腎不全を来してどんどん悪化していきます。ヘパリンかエノキサパリンを初期から投与しても、D-dimer値が下がるのに時間がかかり、DVTや微小PEが多発しています。消化管出血などで抗凝固を数日止めるだけで、D-dimer値がすぐに二桁まで上昇します。透析してもラインがすぐに詰まるし、CVVHを始めても機械がすぐに目詰まりすることも多いです。腹膜透析を導入された患者も複数います。重症PEを前提にt-PAを投与された患者も多数いますが、一定の割合で脳出血を起こした症例が出たので、かなり適応が制限されました。
全身に微小血栓が散らばっているような印象です。脳梗塞、肺塞栓、心筋梗塞、腎梗塞、DVT、動脈血栓などなど。。

患者層については、保険の有無に関わらず病院にたどり着いたら患者として面倒を見ねばなりません。当然、人種は多種多様です。当院にもShelterから運ばれてきたりする薬物中毒まみれの無保険者も普通にやってきます。さすがに路上生活者はあまり見ませんけど。

多数で宗教活動を行うユダヤ人、狭い部屋に何人も連れあって暮らしている貧困層のヒスパニックやアフリカンが多いです。日々の生情報に疎いためか、情報格差も多分に影響しているものと思われます。特にヒスパニック系がICUで半数を占めています。Outbreak初期には肥満患者が半数を占めていたように思われましたが、現在は普通の体格の重症者ばかりです。

ちなみに毎日19時から数分間、医療従事者への応援として、NY中のあちこちの部屋から「オー」という声や、ラッパの音などが鳴り響きます。病院には、患者家族や近隣のレストランから昼食、夕食の差し入れが沢山運び込まれて来ます。病院玄関前の路上には、チョークで沢山の感謝の言葉が書かれています。

日本では医療従事者への誹謗中傷などが多いと聞いています。
そんな事するのは、日本を含めたほんの僅かな無知な国民だけです。

礼儀正しい人々はどこへ行ってしまったのでしょうか?
同じ国民として、非常に恥ずかしいです。 」」



この流れは、主に日本のTVや新聞などのマスメディアが煽っているとしか思えません。

こちら米国では、「医療従事者◯◯名が感染」などと、日本のように職業内訳を逐一報道しません。

どうして他の感染者の職業は伝えないのに、医療従事者のみ伝えるのでしょうか?

ある意味での職業差別であると、憤りを隠せません。

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