まずは美しい孤島の風景に目を奪われながらも、登場人物たちの会話がまるでこじらせ病の中学生みたいなぐだくだでそのギャップが面白かったというか、ある日突然“お前のこと嫌いになった”とか友人に言われるなんて言う方もおかしいけど言われた方もムキになって修正しようとしてさらに傷口を広げていく様子からも目が離せなくて、不思議な面白さの作品だった。
コリン・ファレルやブレンダン・グリーソンもアカデミー賞にノミネートされただけあって味わい深い演技だったけど、「聖なる鹿殺し」でも出てきただけで嫌な不安感を呼び起こされたバリー・コーガンが今作も不安要素満載だったのも印象的、というかそういえばやはりコリン・ファレルと共演していたのを思い出した。
マーティン・マクドナー監督作品といえば、2018年の2月に観た「スリー・ビルボード」もそういえば、予測できない展開にゾワゾワ、いったん火がついた怒りがどうなるのか、その行方を見届けたくて最後まで画面から目が離せなかったりしたけど、今回もこじれた関係の2人のその先がどうなるのか興味津々からの、思っていた着地点とは違うところが似てるかも。
終わってみれば、対岸で行われていた内戦を寓話的に描いたようにも思えた、ロバや犬の扱い方も好きかも。
☆あらすじ☆
1923年、アイルランドの小さな孤島イニシェリン島。住民全員が顔見知りのこの島で暮らすパードリックは、長年の友人コルムから絶縁を言い渡されてしまう。理由もわからないまま、妹や風変わりな隣人の力を借りて事態を解決しようとするが、コルムは頑なに彼を拒絶。ついには、これ以上関わろうとするなら自分の指を切り落とすと宣言する。
※映画.comより
キャスト
コリン・ファレル
ブレンダン・グリーソン
ケリー・コンドン
バリー・コーガン
ゲイリー・ライドン
パット・ショート
ジョン・ケニー
シーラ・フリットン
監督
マーティン・マクドナー
原題 The Banshees of Inisherin
114分
PG12
T・ジョイPRINCE品川4 18:10〜観客20人程/119席
