少し前に観た「アンコール!!」みたいなハートフルドラマと思ったら、不協和音だらけの辛口人間模様で、どうやって軌道修正するのかと思いながらも、“それこそがベートーベン隠れた名曲のテーマ”と気づいて、ベテラン俳優陣の掛け合いに最後までひきこまれた。
弦楽四重奏団の実際も知ることができてよかった、本物のソプラノ歌手の声も聴けて、クラシック好きにはたまらないかも!
ベートーベンの隠れた名曲「弦楽四重奏曲第14番」というのは、全7楽章を途切れることなく演奏すべきと言い遺したとのことで、チューニングなしで狂っていく音程の中で演奏するという、人生そのものを重ねた物語ということで、チェリスト役のクリストファー・ウォーケンの視点からの“老いと引け際”についての物語でもあるような気がした。
《ダニエル、ロバート、レイチェル、ピーターの4人は、弦楽四重奏団を結成して25周年を迎えようとしていた。しかし、 チェリストのピーターがパーキンソン病を患っていることが発覚。ピーターは引退を申し出、残されたメンバーは動揺する。そのことをきっか けに憤りや嫉妬、ライバル意識、それぞれの家庭の問題など、それまでに抑えられていた感情や葛藤があふれ出し、完璧なはずのカルテットに 不協和音が鳴り響くが…》
音楽はデビッド・リンチ作品でおなじみのアンジェロ・バダラメンティ。
◆CAST
フィリップ・シーモア・ホフマン、クリストファー・ウォーケン、キャサリン・キーナー、マーク・イバニール、イモージェン・プーツ
原題:A Late Quartet
106分
角川シネマ有楽町 19:00~観客30人程/257席


