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院長からのメッセージ

院長談話 『治に居て乱を忘れず』 2018年10月

2018年10月03日 | メッセージ
院長談話   2018年10月

    「治に居て乱を忘れず」 

                          院長 村田 宣夫


江戸時代の俳諧師松尾芭蕉に「暑き日を 海にいれたり 最上川」という句がある。
夏の日中は極めて暑い。
奥の細道を旅した芭蕉は最上川の河口で日本海に沈む太陽を見て、同時に涼しい風を感じこの句を作ったのであろう。
陽が沈むと日中に比べて気温が下がり、暑さを凌ぎやすくなったのである。
翻って近年のわが国では夏は昼も夜も気温の高い日々が多い。
特に今年は夜間でも気温25℃以上のいわゆる熱帯夜が非常に多かった。
暑さに弱い私は毎夜エアコンをつけっぱなしであった。

時代が変わったのである。

よく言われるように地球温暖化だけが原因なのどうか分からないが異常気象の時代になった。
この夏には日本列島のあちこちで豪雨、猛烈な台風、高波が襲い、大阪や北海道では大きな地震が発生した。
自然災害により山崩れ、土石流、家屋倒壊などが多発している。
亡くなった方々は多く、お気の毒なことである。
更に自宅が災害に会い、避難所生活を余儀なくされた方々も千人を超えている。
大阪、北海道の地震では停電が生じて自宅に居た人々も辛い日々を過ごしたと聞いている。
幸い長期には亘らなかったようであるが、夏の暑い時期に停電が起こるとエアコンも、扇風機も、冷蔵庫も使用できず、難儀したことであろう。

秋になり、涼しい風(冷たい風?)が吹き始めている。
喉元過ぎれば熱さを忘れる、というが、今年の日本列島の夏の災害を誰もが忘れてはならないだろう。
来年も同じような夏が来て台風、豪雨、地震が起こり、山崩れ、土石流、家屋の倒壊が発生するに違いない。
先日下野新聞で斎藤美奈子さんが「国や地方自治体は時代遅れの避難所の環境改善を考えることが必要だ。
世界的な避難所基準であるスフィア基準を満たしてほしい」と提言している。

佐野は災害の少ない地域だと言われているが油断してはならない。
我々は自治体にすべてお任せするのではなく、佐野市民として一人一人が自然災害に備えておくことが大事である。
特に停電対策だと思う。
停電になると暗くなるだけでなく、テレビは見られず、エアコンが使用できず、情報伝達・通信に欠かせないスマホの充電もできなくなる。
その他、地震対策、食料の備蓄など佐野市民一人一人が災害対策を立てておく必要がある。

佐野市民病院では地域の拠点病院の一つとして災害時の負傷者受け入れだけでなく、避難民の受け入れなどどの程度の貢献ができるか、さまざまなリスクマネジメントを考えておくのは大切なことではないかと考えている。



                                   以上