Brahms: Symphonie No. 4 / Carlos Kleiber, Wiener PhilharmonikerJohannes Brahms, Carlos Kleiber, Vienna Philharmonic OrchestraDeutsche Grammophonこのアイテムの詳細を見る |
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ブラームスは生涯に交響曲を4曲しか作曲しなかったが、そのいずれもがドイツロマン派の頂点と呼ぶにふさわしい完成度を誇っている。この第4番は50歳を過ぎたブラームスの枯淡の境地が憂いに満ちた旋律を巧みに用いて表現されており、終楽章におけるバッハのカンタータ主題のシャコンヌ形式による変奏もその見事な構築美が聴く者の胸を打つ。
演奏機会も多い名曲であるため、名盤といわれるCDも数多く発売されているが、なかでもこのクライバー/ウィーン・フィル盤は燦然といぶし銀の光を放ちつづける名演である。あたかもこの最後の交響曲を作曲しつつあるブラームスの心境に迫ろうかとでも言いたげなほど、過度な演出を一切廃し、淡々と、速いテンポで演奏が進められていく。
晴れわたる冬の青空を想起させるようなスケルツォから一気にフィナーレの終止和音を叩きつけるまでの10数分間は、ほかの演奏では決して味わうことのできない爽快感が感動的だ。(奈良与志雄)