大家さんに作っていただいた梅酒代金の支
払いをしに、一階の大家さんを訪ねた。
「こんばんはー。梅酒ですけど、お幾ら支払
えばよいですか?」
大家さんは梅酒の瓶を手に持ち、「ちゃん
と美味しく作っておきましたよ」と言いなが
ら、まだ緑色の梅の実と氷砂糖が沢山入った
瓶を私に差し出した。
「有難うございます。お幾らですか?」
「2千円ちょうだい」
言われた通り、財布から2千円を取り出し、
大家さんに渡す。
「氷砂糖はね、こないだも言ったけど、前回
の倍入れてあるから」
そのことは数日前に大家さんから聞いてい
た。一ヶ月ほど前に新宿小田急デパートに売っ
ている「たむらや」のくず餅を大家さんにあ
げたところ、私が甘党だと思い込んでしまっ
たらしいのだ。
私は決して甘党ではない。甘いものは好き
だが、まったりと甘いものや濃厚チョコレー
トケーキなどは苦手である。食後の紅茶にも
砂糖は入れない。
私は「たむらや」のくず餅が何よりも好き
なのだが、中に入っている餡子というものが
あまり好みではない。「たむらや」のくず餅
の餡子は甘さ控えめなので塊の餡子が口の中
に入っても、ふわり溶けていく感じで何とも
たまらない美味しさなのである。渋谷だと東
急デパートに入っているので、渋谷へ行った
際は東急のれん街で必ず、新宿に行った際は
小田急デパートで必ず買って帰る。
食料品売り場へ行くと、あれもこれも沢山
買いたくなる。しかし胃袋にも限界があるの
で、贈答用にして知人に貰ってもらうという
のが習慣になってしまっていた。
甘いものをあげたからといって、私が甘党
であると思うのは些か安直すぎる考えではあ
るが、そう思い込んでいる大家さんに説明す
るのも面倒なので、私はそのまま礼を言った。
何にしても私はアルコールが飲めないわけだ
から砂糖が多かろうが少なかろうがどちらで
もいい話なのだ。それにしても前回少しであ
るが口にした梅酒も相当甘かった記憶がある
が、これ以上甘くするのはどうなのか。ケチ
大家さんのことだから、どうせ氷砂糖代を上
乗せして少しの小銭を稼ごうという魂胆かも
しれない。
重たい梅酒の瓶を片手に部屋に帰り、さっ
そく梅酒の置き場所を確保しようとキッチン
へ向かった。ひとまず前回の梅酒の瓶の隣に
置こうかと冷蔵庫の隣のガラス棚の中の梅酒
瓶を見た。当たり前の話だが、作りたては実
は緑色なのに時間が経つとよくもまあ梅干色
になるものだなーと関心した。実験室にある
ホルマリン漬の品々は腐敗しないわけだが、
アルコールに漬かった梅の実は色が変化する
のかと思うと不思議な気分である。
ガラス棚の一番下の段に新しい梅酒と去年
の梅酒を並べて置いた。そして私は気付いて
しまったのである。大家さんは倍の氷砂糖代
の請求のために倍の量の砂糖を使ったのでは
なく、焼酎の使用量を減らすために、砂糖と
梅で嵩を増したのだと。酒好きの大家さんの
ことだ、今頃余った私の焼酎で晩酌でもして
いるのだろう。何にしてもケチな人である。
払いをしに、一階の大家さんを訪ねた。
「こんばんはー。梅酒ですけど、お幾ら支払
えばよいですか?」
大家さんは梅酒の瓶を手に持ち、「ちゃん
と美味しく作っておきましたよ」と言いなが
ら、まだ緑色の梅の実と氷砂糖が沢山入った
瓶を私に差し出した。
「有難うございます。お幾らですか?」
「2千円ちょうだい」
言われた通り、財布から2千円を取り出し、
大家さんに渡す。
「氷砂糖はね、こないだも言ったけど、前回
の倍入れてあるから」
そのことは数日前に大家さんから聞いてい
た。一ヶ月ほど前に新宿小田急デパートに売っ
ている「たむらや」のくず餅を大家さんにあ
げたところ、私が甘党だと思い込んでしまっ
たらしいのだ。
私は決して甘党ではない。甘いものは好き
だが、まったりと甘いものや濃厚チョコレー
トケーキなどは苦手である。食後の紅茶にも
砂糖は入れない。
私は「たむらや」のくず餅が何よりも好き
なのだが、中に入っている餡子というものが
あまり好みではない。「たむらや」のくず餅
の餡子は甘さ控えめなので塊の餡子が口の中
に入っても、ふわり溶けていく感じで何とも
たまらない美味しさなのである。渋谷だと東
急デパートに入っているので、渋谷へ行った
際は東急のれん街で必ず、新宿に行った際は
小田急デパートで必ず買って帰る。
食料品売り場へ行くと、あれもこれも沢山
買いたくなる。しかし胃袋にも限界があるの
で、贈答用にして知人に貰ってもらうという
のが習慣になってしまっていた。
甘いものをあげたからといって、私が甘党
であると思うのは些か安直すぎる考えではあ
るが、そう思い込んでいる大家さんに説明す
るのも面倒なので、私はそのまま礼を言った。
何にしても私はアルコールが飲めないわけだ
から砂糖が多かろうが少なかろうがどちらで
もいい話なのだ。それにしても前回少しであ
るが口にした梅酒も相当甘かった記憶がある
が、これ以上甘くするのはどうなのか。ケチ
大家さんのことだから、どうせ氷砂糖代を上
乗せして少しの小銭を稼ごうという魂胆かも
しれない。
重たい梅酒の瓶を片手に部屋に帰り、さっ
そく梅酒の置き場所を確保しようとキッチン
へ向かった。ひとまず前回の梅酒の瓶の隣に
置こうかと冷蔵庫の隣のガラス棚の中の梅酒
瓶を見た。当たり前の話だが、作りたては実
は緑色なのに時間が経つとよくもまあ梅干色
になるものだなーと関心した。実験室にある
ホルマリン漬の品々は腐敗しないわけだが、
アルコールに漬かった梅の実は色が変化する
のかと思うと不思議な気分である。
ガラス棚の一番下の段に新しい梅酒と去年
の梅酒を並べて置いた。そして私は気付いて
しまったのである。大家さんは倍の氷砂糖代
の請求のために倍の量の砂糖を使ったのでは
なく、焼酎の使用量を減らすために、砂糖と
梅で嵩を増したのだと。酒好きの大家さんの
ことだ、今頃余った私の焼酎で晩酌でもして
いるのだろう。何にしてもケチな人である。
お付き合いがあるんですね^^
大家さんってケチなんですか?
お金持ちのヒトってケチが多いらしいですけど・・・^^;
ところで、甘い梅酒と聞いて、昔祖母が作っていた梅酒のアイスを思い出しました。アイスといってもたぶん梅酒を凍らせただけなので、正確には氷菓なのですが、夏に祖母の家でよく食べました。
それにしても小学生に梅酒のアイスって...。お酒の弱い母はそれを食べると顔が真っ赤になってました。
でもちょっとこれから作ってみようかと思います。ところで本仕込み売ってません。。。