古書業界関係者、利用者なら先刻ご承知のこととは思うが、先ごろ「昭和前期蒐書家リスト」なる書物?が刊行された。
詳細は他の紹介記事に譲るとして、特筆すべきは在来の辞典等にまず載らないであろう「一般人」が多数収録されていることである。
たとえば、「上法香苗」である。彼は私の大叔父にあたるが、一般の知名度はまずないといっていい。
秋田の古い神社の神主の末弟として生まれ、代用教員からスタート、地元の小中学校校長を経て、最後は県史編纂委員を務めた、いわゆる「郷土史家」というジャンルに属する人だ。
私は高校生の時に一度会っただけだが、古いことなら何を聞いても即答えが返ってくるのに驚嘆した。
リストの元になっているのが古本探究者の目録なのだから、こういう人がたくさん登場するのは当然だろう。
彼について調べようという方は、著書が国会図書館の蔵書にあるので参照されたい。
「み山路の歌」だったか、退職記念に自費出版した歌集があるはずだ。
ついでに言えば、彼は自由民権運動初期の激化事件の主体「秋田立志社」の中心的人物の「上法篤兆」の孫でもある。
軍事もの専門の芙蓉書房の創業者・上法快男(元大本営参謀)は彼の従弟にあたる。
(続)
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