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早春 俳人永尾宋斤

祖父で「早春」を大正15年2月に主宰・創刊した永尾宋斤の俳句・俳語・俳画などからひもといています

定本宋斤句集  夏 4

2018-05-30 | 永尾宋斤の句集:宋斤 思い出の記・定本宋斤句集






定本宋斤句集  夏 4

梅 雨 いまごろの洛北思ふ梅雨椿
    梅雨畳漁讀いちめんひろがりて
    梅雨はれや河鹿の蠅を大漁す
喜 雨 喜雨のなか草のなか飛ぶ蛙かな
梅雨出水梅雨出水朝のこころを欄に置く
五月浪 さ浪原島かたむいて船を退く
夏の用 夏の川谺をわたる蝶々かな
    夏川や船も我が家も白き干す
     赤目の滝
瀧    瀧詣り蝉とんぼうのひやゝかに
泉    鳥啼いて雨中あふるゝ泉かな
夏の露  夏の露ひとの垣内をなつかしむ
植 田  植田空浮雲ひとつ大いなり
     名張
青 田  青田中桔槹あげて家遠し
早乙女  早乙女やこもこも立ちてまぶしがる
     雨なめて早乙女の唇さめ居たる
水中花  あさはかの夏を見するや水中花
蚊 帳  蚊帳賣の浮世ぬからぬ口甞めり
     山暮れて青きは蚊帳の燈りけり
     ふるさとにまこと歸りぬ㡡の中
     早春社移転
蚊 火  去り来れば蚊火の大物なつかしも