さようなら ありがとう

いつかは来ると分かっていた

ここ最近は毎日が怖かった

それが近づいているのが分かっていたから

それは突然やってきた

いつもと変わらない金曜日の朝

違っていたのは別れの時が来たという事実だけ

覚悟はできているつもりだった

でも涙がとまらなかった


ともに歩いてきた十数年の時に終わりがきた

思い出が走馬灯のように駆け巡る


二人であてもなく家を出たあの日

二人で夜をすごした公園


良く頑張ったね

俺が一人前になるまで見守っててくれたんだね


定職についた

結婚した

3LDKの新居に引っ越した


苦しかった？

もう少し早く俺が一人前になっていたら

もう少し早く楽に慣れたのかもしれないね


ごめんね


寿命はとっくにすぎていたのに

俺をずっと見守ってくれてたんだね


ごめん


もう大丈夫だから

俺のことは心配しないで安らかに眠ってね


さようなら　そして　ありがとう　カンタ