白芙蓉

たたらふむ芙蓉は白く吹かれをり

秋の夕日

秋夕日はるか光芒曳きにけり

処暑

　　　


蒼穹の山家に処暑のみどり濃し

風白し

真葛原ましろき風がふきわたる

秋の空

なあ癌よなあ肺癌よ秋の空

葛の花

あらはにも濃き色にして葛の花

葛の花

葛の花むらさきだちて吹かれけり

赤トンボ

赤トンボひょいとやすみて草の末

秋風

生きてゐることの幸せ秋風ふく

ピアノ

ピアノ弾くうなじ遥かや秋の雨

南瓜

南瓜なる花目艶めく九月来る

月明り

神なせる命の果ての月明り

晩夏

ふと思ふ寂しとおもふ夏果つる

虫の音

真闇なる洞の底ひや虫の音

夏今宵

月円し心もまろし月今宵