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(憲法共同センター声明)戦争の危険を高める「敵基地攻撃能力」の保有、大軍拡に強く反対する 「国力としての防衛力を総合的に考える有識識者会議」の報告をふまえて

戦争の危険を高める「敵基地攻撃能力」の保有、大軍拡に強く反対する
「国力としての防衛力を総合的に考える有識識者会議」の報告をふまえて


11月22日、内閣総理大臣のもとに設けられた「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」は、敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有と増強が不可欠だと結論付け、5年以内に軍事力を抜本的に強化することなどを求め、報告書を岸田首相に提出した。
 これを受け、自民党、公明党は、防衛三文書に「敵基地攻撃能力」の保有を盛り込むことで合意し、政府は年末に同三文書を改訂して「敵基地攻撃能力」保有を盛り込み、「武力行使の新3要件」や専守防衛の理念、反撃能力を使う場合の法的な枠組みなどの検討を進めるとしている。
 現行憲法のもとで政府は、他国から攻撃を受けた場合に必要最小限度の対応や範囲での反撃、自衛の措置は可能とする専守防衛に徹するとしてきた。そのことが、自衛隊は憲法9条2項に規定する「戦力」ではないとする根拠ともなってきた。
報告書は、憲法との関係には一切ふれずに安全保障環境の厳しさをくり返し強調し、ミサイル攻撃などへの対処の必要性のみを列挙している。この報告書を拠り所に、「敵基地攻撃能力」保有を前提とした制度、仕組みづくりや、自衛隊装備の拡充、強化、必要財源の論議を行うことは許されない。憲法を逸脱する決定を政府が行うことは許されず、防衛三文書の改訂論議は断じて行わないよう強く求める。

 報告書は、自衛隊の装備、能力等の強化にとどまらず、「防衛力の抜本強化」を口実に、NATO規模を参考に「必要な予算措置を5年間で講じること」を求め、「研究開発」や港湾、空港などの「公共インフラ」なども防衛力整備と整合性をとるよう求めている。
軍事のために、マンパワー、資材、資源を投入するよう求める内容であり、軍事優先の政策、予算執行への懸念を抱かせるものである。憲法は政府に対し、市民に平和的生存権を実現することを最優先で求めている。憲法の理念にも反する報告書の具体化はやめるべきである。
 報告書は、巨額な軍事費を恒常的にまかなう必要性にふれ、「国民全体で負担する」との立場から、「幅広い税目による負担」という大増税に言及している。その際、「企業の努力に水を差すことがないよう」にと付言して法人税率引き上げへの消極姿勢を示している。
法人税を除くとなれば、所得税や消費税の増税に的を絞るものであり、庶民増税による大軍拡の意図を隠そうともしている。
 すでに税、社会保険の国民負担率は48%(2021年)に達し、所得が増えないもとでの物価高に市民のくらしは日々悪化している。くらしの実態をみない増税の押しつけは断固拒否する。

 報告書は、抑止力強化のみを強調し、紛争回避のための外交努力には一切言及していない。中国や北朝鮮を「仮想敵国」とし、「抑止対抑止」、「力対力」の対抗では、国民の安全なくらしは実現しない。食糧自給率・38%(カロリーベース)、エネルギー自給率・11.8%という日本社会の現状一つをみても、戦争回避の努力にこそ政府の力を集中させるべきである。
 始まった戦争を収めることの困難さは、ウクライナの現状からも明らかであり、憲法遵守の立場での外交努力を政府に求める。「敵基地攻撃能力」保有や大軍拡に反対し、憲法を守る政治の実現を求めて奮闘する決意を表明する。

2022年11月25日
戦争する国づくりストップ!憲法を守り・いかす共同センター
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