和泉市当局は1月29日、市議会第2回病院問題特別委員会で、市立病院の新病院建設と指定管理者制度導入を柱とした「さらなる地域医療を担う魅力ある病院づくり(案)」について報告しました。
そしてそのわずか4日後の2月1日、和泉市の最高政策決定機関とされる「庁議」において、新病院計画と指定管理者制度導入を市として正式決定したとして、市議会議長あてに報告がされ、あわせて市職労に指定管理者移行に伴う勤務労働条件の変更について協議申し入れが行われましたが、具体的な内容はなく、まったく無責任な対応が繰り返されています。
以下、市職労の現時点での基本的な考え方と対応について明らかにするものです。
市当局は2月1日、当局内の最高決定機関とされる「庁議」を開催し、市立病院の指定管理者制度の導入と新病院建設を市の方針として決定を強行し、市議会第1回定例会(3月議会)に関連条例の改正について提案すると市議会議長あてに報告しました。
そして、そのことをふまえ同日、市職労と病院支部に対して「和泉市立病院の指定管理者制度導入に伴う勤務労働条件の変更について」とする協議申し入れが行われました。
しかし、市長と市当局は、市立病院がこの間の経営改善努力により一定の成果を上げており、ただちに運営形態の見直しを行わなければならない状態ではないにもかかわらず、指定管理者制度を導入すれば、救急再開や安定経営、新病院建設ができるという何の保証もないまゆつばものの考えにもとづいて、病院当局を含め庁内での十分な議論や納得もなく、身分・雇用にかかわる重大な問題であるにもかかわらず労働組合・職員をまったく無視して方針決定を一方的に強行したものです。
市民・患者に対しても説明することも意見を聞くこともなく、市議会でも新病院計画(案)が報告された第2回特別委員会の議論だけで、その3日後に方針決定を強行し、2月1日からのパブリックコメントも8日からの市民説明会も決定された方針を説明し、それにもとづく意見を聞くだけという市民・患者を馬鹿にしたやり方であまりに民意を無視したものです。
また、患者・利用者に対しても、病院内での説明もなく、説明会へ行ってくれという対応でパブリックコメントも病院では出せない始末です。
新病院の計画を含めて、住民・患者のいのちを守り、地域医療を充実するために、市民・職員の参画をもとに市立病院の果たす役割を十分議論し、その中であり方についても考えるというのが求められているにもかかわらず、平成26年度からの指定管理者制度導入という拙速さといい、今回の方針決定は市長と当局によるまったくの独断でおこなわれ、地方自治や自治基本条例の理念を蹂躙するものといわなければなりません。
また、こうした方針決定強行は、今でも看護師不足等で現状での運営が厳しい中で、今年度末での退職者補充の展望を失うもので、来年度以降の運営にいっそうの混迷をもたらすものです。現に、「地域医療と市立病院の充実を求める連絡会」が配布したビラをみて、「市立病院の看護師に応募しようと思っていたが、びっくりした」との声が寄せられたように、さらなる人材流出とともに人材確保にも支障をきたすものであることが明らかであり、医療の縮小など病院運営を危うくする当局の責任は重大です。
また、市職労に対しては、12月27日および1月13日に市長も含めた2回の団体交渉を行ってきましたが、なぜ指定管理を導入する必要があり、どうして職員の身分を奪われなければならないのか、労使合意の必要性などまともに答えようとせず、誠意ある交渉とは到底言えない内容でした。
しかし、こうした2回の交渉もまったく無視して今回、指定管理者制度を前提とした協議申し入れをおこなってきたことについては、労使対等の関係を踏みにじるものであり、到底容認できないものです。
また、正規・非正規450名の公務員身分と雇用を一方的にはく奪することに何らの雇用者責任を果たそうともせず、病院職員の公務労働者としての誇りや働きがいを奪い、職員と家族の生活に大きな不安を与えていること、そしてそれがひいては患者・利用者に不安を広げていることに対して強い憤りを表明するものです。
そもそも公務員は、憲法に規定された「全体の奉仕者」としての職務を中立・公正におこなうために身分保障があり、公務員の身分を一首長や当局の思惑だけでもてあそび左右することは許されません。こうした行為は首長や幹部言いなりでもの言わぬ奴隷のような公務員づくりにつながるもので、一方的な不利益変更をおこなうこととあわせて二重三重に公務労働者・労働組合の権利を侵害する違法・不当な行為です。
市職労は、これらのような市長と市当局による独裁的な暴挙に断固抗議するとともに、方針の撤回を求めてたたかいを継続していきます。
市が方針決定したとはいえ、指定管理者制度導入がこれで決まったわけではなく、これからも指定管理条例の議決、指定管理者の公募・選定、指定管理者の議決、指定管理協定の締結などさまざまなハードルが残されており、他市町でも応募した指定管理者が辞退するなど市の思惑どおりにすすまない事例が相次いでいます。
和泉市でも市当局がこのまま指定管理者制度導入を強行しようとするならば、市立病院そのものが破たんしかねない懸念はぬぐえません。
和泉市が住民のいのちを守る自治体らしい自治体であるために、市職労として住民と共同して、当面、指定管理条例の議決を許さない運動をすすめます。
また、労使関係においては、当局の申し入れについては撤回と直営堅持を求めて労使自主解決の立場で当局に誠意ある交渉開催を求め、職員の身分・雇用を守るために全力をあげるもので、自主解決が困難な場合は法的措置も含めて対応を検討するものです。