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ごきげん日記

シンガポールから日本へ。何気ない日常を綴ります

アップルパイ

2021-02-28 12:08:00 | 日記
2月も今日で終わり。
濃密な月だった。一生忘れられないだろう。

日本は桜の季節がやってくる。去年マスクして新宿御苑に花見に行ったのを思い出す。

故郷北海道の桜もいいけど、東京の桜には毎年心癒されていた。今年は見れないんだな。

退院して体調もずいぶん良くなったので、初めて外食してみた。毎度毎度の鼎泰豊。
食べ始めてちょっとしたら異常なほどの汗が出てきた。寒いぐらいの冷房なのにやっぱりまだおかしいんだろうな。

楽しげにもりもり食べてる人たちがとても健康そうで羨ましく見えた。卑屈な自分がほんと嫌になる。

だんなさんと買い物してちょっと歩いただけなのに人混みを避けながら歩くことで疲れが倍増したようだった。

私の凹み具合を知って、だんなさんが
なんとアップルパイを作ってくれた。
りんごを煮て、冷凍パイシートに包み焼く。私がアップルパイが好きなのを覚えていたんだろう。






シナモンを入れるタイミングを間違えたと悔やんでいた。
焼きたての熱々アップルパイは本当に美味しかった。
今までやる機会がなかっただけで、彼の潜在能力はとても高いのだ。食品ロスもないし、見習わないといけないポイントがたくさんある。

夕飯はたこ焼きとお好み焼きが融合したもの。たこ焼き器がないからフライパンでチャレンジしたのだろう。これはこれで美味しかった。
マヨネーズはやはり日本のが美味しい。


粉骨砕身。私のためにありがとう。
元気だけが取り柄だった自分の体。
今は甘える時間なんだろう。
いつの日か、「あの時は本当にありがとう」と元気に笑って言えるように
治療を頑張るしかないのだ。

そして、いつか日本に帰れたら
大好きなアフタヌーンティーカフェのアップルパイを絶対食べにいこう。

明日は腫瘍内科のクーDr.のところに初めて行く予定。緊張する。




人と話す

2021-02-26 16:13:00 | 日記
1ヶ月ぶりに美容院に行ってきた。
前回は帰りしなに「次はカラーもしに来ますね」と言ったのを思い出した。

美容師さんは日本人の女性で関西人。わたしのことを覚えていてくれて、今日はカラーですね?って言ってくれた。

来月からの治療で脱毛する可能性が高いのでベリーショートにしておきたいと話すと、私の意をすぐ汲んでくれて、関西の人らしく楽しい会話と共にチョキチョキ切ってくれた。

仕事柄、わたしのような境遇の方とも接する機会が多いようでいろんなことを教えてくれた。人とおしゃべりするってやっぱり楽しい。体の細胞が話したいと飢えていた感じだ。

頭も心もスッキリ。
彼女は「髪が抜けるということは抗がん剤がよく効いているということですから励みになりますよ」と言った。

悪いことばかりじゃない。

半年後生えてきたらまた来ますと言って店を出た。

その時が楽しみだ。

髪を切りに来ただけで体力を消耗したので、寄り道しないでとだんなさんに言われていたけど
珈琲一杯だけ飲んだ。甘い甘いコーヒー。一杯1.7 $



首がスースーした。
病人だけど病気にとらわれすぎないように
自分をしっかり保っていこう。
ついつい頭の中が悪い方に行ってしまう前におもしろいことを考えよう。

幸いなことに私にはおもしろいことを言ってくれる友達や子供がたくさんいるのだから。


今日もシンガポールは暑い。
日本のみんなが風邪などひかないよう念を飛ばそう。






一日一生

2021-02-25 10:31:00 | 日記
読んでる小説にのめり込むと現実と小説の中の世界がごっちゃになることがある。

昨日は終日そんな感覚だった。

QDr.に検査結果を主人と聞きに行ったのが午前10時。
私のガンはものすごく早いスピードで短期間に成長したものでステージとしては3C。そのあと二人で頑張って英語での説明を耳ダンボになって聞いたが全部理解できなかったので、日本人のNDr.を午後再度予約した。
帰宅する前に、スーパーで買い物をし、なんか地に足がつかないふわふわした感じで、おこわ屋さんで五目おこわを買い帰った。友達が送ってくれた即席モナカのおすましとともに、心を鎮めるためおこわを頬張った。

午後の予約までオンライン会議をする主人の邪魔にならないように一人でYouTubeでミルクボーイや和牛の楽しい漫才を観て気を紛らした。

3時にNDr.に説明を受けに行った。
日本語でしっかり、途中私たちの質問にも懇切丁寧に答えながら、淡々と、でも突き放すわけでもなく、変に励ましたり慰めたりは全くない潔い返答をしてくれるNDr.

頭の中の霞のようなモヤモヤした感じがパーっと消え去り、ある意味事務的にも聞こえる先生の口調のおかげで、むくむくと力が湧いてきたのが不思議だった。

私が戦うガンは卵巣ガンの中でも漿液性ガンといって抗がん剤がとてもよく効くガンなのだそうだ。半年間通院で点滴による化学療法を頑張ればほとんどが寛解すると聞いた。

幸運にも他臓器に転移はなくお腹の中でとどまってくれていたため、卵巣からは飛び出ていたが先日の手術で目に見えるものは全て取ってもらえた。
目に見えない悪いものを化学療法でやっつける。これしかない。

抗がん剤というのは言うなれば毒みたいなもので、「毒をもって毒を制す」から健康な細胞にも若干影響を及ぼす。これが副作用なんだそうだ。がん細胞と毛根の細胞の成長速度が同じぐらいだから抗がん剤で脱毛するのだそうだ。

「たぶん髪の毛は抜けます」by NDr.
ここまではっきり言ってくれると心の準備がしやすいというもの。はじめての体験だろうからショックだとは思うが、生きてればまた髪は生えてくる。

「三蔵法師みたいになるのかな」と私。
「え?夏目雅子みたいになるってこと?」とだんなさん。
いやいや元がちがうけどさ。二人で笑った。

夜、私の両親、娘、息子、お義母さんの順で電話で報告した。ものすごく心配で何も手につかなかったと息子に言われたのが一番こたえた。喋れなかった。だんなさんに全部説明してもらった。ごめんね。

みんな心配してる。私が元気になること以外、みんなの心配を払拭することはできないんだな。

夕飯後、二人で「サンドイッチマンのお風呂いただきます」という番組を見ていたら、築地本願寺の安永雄玄宗務長さんが、「人間いつ死ぬかわからない。でも確実なのは今だ。今できること、やりたいことをすぐやることだ。一日一生だ。」と言っていた。

私の不運と幸運ほ宿命なのだから
今を大事に生きよう。

シンガポールは今日も快晴。30度超えだ。もう少し体力が戻ったらウォーキングから始めよう。








一歩ずつ

2021-02-23 14:09:00 | 日記
スーパーでの買い物や、人混みに一人で出るのはまだお許しが出ていない。

家から歩いて3分ぐらいのところにあるセブンイレブンまでだったらゆっくり歩いて行っていいよと言われたので、行ってみた。

シンガポールの人は歩くのがとっても遅い。暑いから急いで歩くと汗かくからかなと思っていた。日本人が速すぎるのかもしれないけど。

おなかに力が入らないので、私の歩みも一歩ずつゆっくりゆっくり。

シンガポールにしては今日は風が強くて心地よかった。ベンチで少し一休み。


とても気持ちがいいお天気。

ちょっと歩いただけで息が切れる。
体力落ちたなー。

セブンイレブンでジュースとアイスを買った。


ハーゲンダッツのアイスは日本の倍の値段。普段なら買わないけれどたまにはいいよね。夜だんなさんと食べよう。
家について少し横になった。
3時間炎天下テニスしてても大丈夫だった体が、まるで別の人間の体にすり替わってしまったような気分だ。

昨日、だんなさんが作ってくれたのは
ポトフ。


YouTubeでレシピ動画を見て野菜を焼き付けてから煮込んでいた。圧力鍋で3分、火を止めて放置。これだけでニンジンもジャガイモもキャベツもやわらかくなることに感動していた。
テーブルの上には四つ折りになったクックパッドで検索したらしい「圧力鍋で時短ポトフ」の紙があった。

とても優しくあったかいポトフ。
今まで食べたポトフの中で一番美味しいと言ったら、褒められたと笑っていた。

この分だと私がいかに手抜きしてたかバレてしまいそう。まずいまずい。




江戸時代

2021-02-22 14:04:00 | 日記
Amazonで取り寄せた本を定期的に日本の娘が送ってくれる。
佐伯泰英さんの江戸時代シリーズがとても好きで、娘からの定期便が待ち遠しい。

シンガポールに住み始めて半年はテニスばかりしてきたのでなかなか読めなかった。

しかし自宅にいる今は時間が沢山ある。

強くて優しい絶対負けない武士の話。
居眠り磐音決定版も残すところ3月に刊行される3冊で完結する。とても寂しい。


江戸時代だったら私の病気も助からなかったものの一つなんだろうな。

こんな素晴らしい本を書いてくださった佐伯泰英さんに感謝したい。人と人との絆や縁を大切に生きる市井の人々が生き生きと描かれているのがとても好きだ。

休日出勤した主人が夕飯に作ってくれたのは餃子。朝方再放送していた「サラメシ」で北海道の夕張で高速道路を除雪する作業員の人たちが作って食べていた餃子を見て
思わず「おいしそう」と私が呟いたのを覚えていたのだろう。


買い物して、野菜を刻み肉と混ぜ、味をつける。
皮に包み焼く。餃子は美味しいけれど結構手間がかかる。

退院して一週間。毎日手作り料理を作ってくれる。決して気を遣っているわけではないが、感謝を伝えるための語彙力が少なくて申し訳なくなる。

彼は「楽しんで」と言った。
今のような時間を楽しんだ方がいいと。

家族や人のために使ってきた時間を、今は自分のためだけに使ってもいいのかな。

もし、逆だったら
自分がして欲しいことを相手にしてあげようと思うはず。
きっと彼もそういう気持ちであるのだと思う。
ありがとう。