goo blog サービス終了のお知らせ 

川の土木

関西・東北の河川構造物を中心に紹介するブログです。
ダム多め。
河川関係の土木なら何でも対象となります。

佐久間ダム見学 前編

2020-05-05 | ダム・堰堤・水力発電所
2018年3月25日訪問

天竜川本流には多くのダムや堰があり(多目的ダムは皆無…支流にはあるが。)、その中で最も堂々たる風貌、それが佐久間ダム!(だと思いませんか…?)
もちろんダムたちをランク付けするようなことは、あまりしたくはないし不可能かもしれないが、しかしこの佐久間ダムはこの水系の王たる存在で、もはや神に思えてくるほどの存在だ。(説明不要!)

と、安っぽい表現にあふれた文章になったが、とにかく何もかもカッコいい、そんな憧れの佐久間ダムに行ってきた。
当日は年に一度の「佐久間ダム竜神まつり」の日で、何と堤体内とダム直下の見学ができるという!まぁ、それを狙って行った訳だが…

まず佐久間ダムを立地的に説明(要らないか…)。天竜川は長野県から静岡県に入ってから幾度も蛇行しつつも南流し、その浸食作用により両岸が切り立った狭隘な谷間を形成している。当然ながらそんなところに平場は無く、集落もほぼない。ダム地点の佐久間に来て初めて広く平らな場所があり、川も大きく蛇行する(下の地理院地図)。つまり水力発電所の建設という観点から見て、最も効率的な地点に上手く造られている。
※ちょっと雑で分かり難い説明だが、ここで喋りすぎると終わらないので、すっ飛ばしまーす。

また、ダム湖が異様に南北に長い。バックウォーター(ダム湖の上流端)は長野県天龍村付近にあり、実質愛知・静岡・長野の3県にまたがる巨大なダム湖を作っている。総貯水容量は国内屈指の3億2685万㎥を誇っている。


1 ダムサイトにて

佐久間の町からダムに繋がる静岡県道1号を進んでいくと、山に沿ってどんどん高度を上げていく。祭りの日は交通整理によりダムサイトへの車の乗り入れが禁止されるので、ダムにはシャトルバスで向かう。

ダム周辺にはこんな感じのちょっと怖めのトンネル(雰囲気的には「隧道」)が沢山ある。60年ほども前の工事用道路をそのまま利用したようだ。
とは言えこのダムは本格的な機械化施工が行われた日本初のダム。なので、おそらくでかい重機も通っただろうし、それなりの幅員。

と、トンネルを出てすぐ、路肩からその姿が!デカい!しかし、確かにその堤体サイズの異常さは伝わってくるが、あまりいい眺めではない。

と、直下の見学はさておき、もっといい眺望を得るために、左岸の高台にある佐久間電力館へ。
電力館までは結構な上り坂を歩かなければならないが、
こんなん(新豊根発電所のポンプ水車)とか、

でんぱつダムあるあるの「電源神社」とかがあって、楽しい。

佐久間ダムでは、アメリカから大型機械を輸入して工事に使用したが、新しい機械を買うと高くつく。なのでアメリカのPine Flatダム(1954年完成)の「おさがりケーブルクレーン」を導入した。しかしPine Flatダムは文字通りフラットな地形に立地していたが、佐久間はこんな断崖絶壁。ケーブルクレーンがかなり場所を取ってしまい、結果的に地山の掘削量がかなり大きくなってしまった。
しかし、電力館や展望台は、ケーブルクレーンの平場に建てられている。施工計画的には最悪、でも展望台を作ったと考えると、ありがたいような気もする。

展望台からの景色は、すごいの一言に尽きた。今まで10年ほどのダム人生でも、経験したことのない程の鳥肌が立った。
はい、どーん!


ローラーゲートのピアが、かなり目立っている。あの「電源開発株式会社 佐久間ダム」の文字、良いねえ…
ふと考える。佐久間ダムは堤高155.5mだが、あの天端から突き出たピアだけで18mぐらいある。だから、ゲート巻き上げ機がずらりと並んだあの空間にもしも立つことが出来れば、単純計算で155+18=173m、数字的には、あの高瀬ダムと同レベルの高さを味わえるということだ!

そんな夢はさておき、あまりの光景にしばらく放心したのち、天端に向かう。

2 天端にて

近くから見ると、やはりピアだけでも馬鹿でかい。

ダム湖も、なんと表現するべきか分からないが、底知れぬ大きさを感じる。

佐久間発電所に導水する取水設備。最大取水量は306㎥/s。

天端は、中央にちょうど県境があり、左岸が静岡県浜松市、右岸が愛知県北設楽郡豊根村。

天端からダム下流をのぞき込む。こ、これは…高すぎる…とにかく高い。写真では分からない迫力。

天端の写真が何故か少ないので、直下に下りるためエレベーターに乗るとこから。

入口左手には、鉄のプレート。これこれ。こういうのが見たかった!

色々載ってるが、目が行くのはやはり施工業者様のとこ。間♪石川島♪田原♪

いざ、エレベーター!流石スケールの大きい佐久間、エレベーターも特大。点検とかで使うからなあ。

中にはこういう案内。萌え。全部の階で降ろしてもらいたいね。

こんな図面も!エレベーターに乗る僅かな時間も退屈することがない。


ガタンという音と同時にドアが開き、外へ。監査廊は、別に普通だった。


と、言うわけで、予想以上に長編になってしまったので…その2に続く。冗長な記事だ…

~参考文献~

 ・「間組百年史 1945~1989」/株式会社間組
 ・「電発三十年史」/電源開発株式会社
 ・ 写真集「佐久間ダム」/電源開発株式会社
 ・「ダムをつくる 黒四・佐久間・御母衣・丸山」/日本経済評論社











コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。