夢を見るのは ただ だから。

 ~Shizen放浪記~

あの味

2012年02月26日 04時52分23秒 | Weblog
「ふむぅ………………。」





最近、コンビニで変わった食べ物を見掛ける。
それは別に全く知らない銘柄では無いのだが………………俺からすると本来飲み物のハズがヨーグルトであったり、キャラメルがプリンであったり、キャンディーがジュースになっていたり……ちょっとした違和感を覚える。

先日も“マミーヨーグルト”なるモノを購入し食してみたのだが、確かにマミーのあの味なのだが………………それはヨーグルト。
俺は食べ終えた容器を眺めながら暫し物思いに耽った。



『マミー……………………それはとある世代にとっては高級な飲み物なんだよなぁ……。
牛乳と混ぜて飲んだりしても美味いし…。
土曜日の部活にはパンとマミーがゴールデンコンビ………かな。
マミーの巨大な1リットルパックが出現した時には軽い衝撃を受けたっけ………。』



今でこそスーパーの乳飲料売り場で他の飲料に肩を並べられてしまっているが、俺と同世代にダウンタウンで生まれ育った諸君にはマミーが別格な飲み物であった事をきっと分かってもらえるだろう。
その我らが英雄が今ではヨーグルトに………。







『やっぱ……………………飲み物だよなぁ…』



♪毎日みんなでマミー♪もぉ~りぃ~なぁ~がぁ~マミー♪

『別に進化しなくても良い物もあるんじゃないかなぁ………』
頭の中で流れる懐かしいBGMを聴きながら、そう思ったのであった。

名駅なんぞに出てみれば……。

2012年02月16日 21時06分44秒 | Weblog
「ふ~む……………………」

何やら怪しげな服装に身を包んだナナちゃん人形を見上げ、俺は思案に暮れた。








ヤボ用で名駅に来た。

さすがヤボ用なだけにそれは短時間で終了し、俺は久々に駅前をうろつく事にした。
久々………厳密に言うならば名駅には比較的よく行く。いや、通過するという表現の方が正しい。
しかし地上を歩く事は殆ど無い。



『どれどれ………どんなお店が出てるのかな…』

お店と言ってもエルメスとかカルティエとか、そういったものではない。
歩いていて真っ先に目に飛び込んで来たのは………トイレの神様みたいなギターの女の子、ホストみたいな歌うたい、アイドルみたいな女の子、色紙に言葉を書く若者etc.....といった“路上アーティスト”達。
こんな寒風吹き荒ぶ中、頑張って活動している諸君もいるではないか。
果たして内容はともかく、その心意気だけでも大したもんだ。
俺を見てみろ。
引きこもりをヤメて外に出たかと思えばすぐ風邪を引く。
家の中でも階段を上るだけなのに膝がバキバキと音を立て、重い物を数秒間持っただけで筋肉痛になる……。





ジジイですがん………。





すっかり“お爺ちゃん症候群”にかかった俺は最近、友人とのメールのやり取りでも「日和った」を決まり文句の様に使っている。



…………………いかん。話が逸れた。

今までどんな些細なアーティストを見掛けても、大なり小なり刺激というものを受けて来た俺にとって、今回の何だか分からない鈍い感覚は初めてだ。
心の中で『そういうもの』に対してシャッターが閉じてしまっているのか、はたまた達観しているのか………………それは自分にも分からない。

ただ、色々な意味で期待した“モノ”が無かった事だけは確かだ。






『我が成す事は、我のみぞ知る………………か。』

気持ち良さそうにアーケードの光を浴びるナナちゃん人形を眺めながら、最近常に頭にこだましているその言葉をボリューム0で口ずさんだ。

場所は名駅、心は上の空。



焦る気持ちを、無力さにうちひしがれる自分を、抑えなだめて…………………今日は家に帰ろう。

“ゆ”印木工房

2012年02月14日 10時48分12秒 | Weblog
“パシッ!”

「おぉ~!スゲェ!!」

乾いた音と共に輪ゴムがビスケットの箱に当たる。
そしてその度に、子供になった大人達の歓喜の声が部屋中に響き渡る………。










ちょっと前、ひょんな事がキッカケで木工家具職人と懇意になった。
彼は現在、理由あって勤めていた家具屋さんを辞め親の仕事を継いでおり、純粋な木工家具職人として生きてはいない。
しかし夢を棄てた訳では無く、自ら自宅に工房を作りコツコツと製作活動をしているらしい。

「コレ………お近付きのしるしに。」

たまたま同席したとある宴会を終え外に出た俺に、彼はハンドメイドの“ゴム銃”をプレゼントしてくれた。
わざわざその日を見越して製作してくれたのだという……。

嬉しいじゃないか………。

その日の宴会の後、俺達2人はすっかり意気投合し翌日の昼までカフェで語り合った。
同年とは思えないほどの純朴さを持った彼の心は例えるならば限りなく透き通った水、または大吟醸と言ったところだ。
それに比べれば俺なんて食える物なら何でも入っていそうなドロンドロンのミックスジュースだ。

そして、『どんな職業にも“サラリーマン”と“芸術家”が存在する』という俺的な理論からすると彼は“芸術家”。
つまり、アーティストだ。





半端じゃない出来の………彼から頂いた素晴らしいゴム銃は俺の部屋のリビングに飾られ、訪れる人々を童心に帰している。

家具……特に椅子を創る事が好きだと言う彼だが、それだけには捕われず自由な発想のもとに玩具も製作している。

基礎を重ねた上での遊び心は重要。
それを実践している彼は、そして彼の作品は魅力的だ。



“ゆ”印木工房



作品のどこかに“ゆ”印の焼き印が捺してある事から俺は勝手にそう名付けた。
“ゆ”はおそらく彼の名前の頭文字だろうが………それは夢という文字の頭文字でもある。

これからも機会が有れば彼を、そして彼の作品を紹介していきたいと、思う。

ポカリ大作戦

2012年02月09日 02時14分40秒 | Weblog
「酒だ!酒を持って来い!!」

俺の中に沢山たくさん住んでいる小さな小さな俺・・・・・・その中でもひときわ荒くれ者の“勝シzeン”はそう叫んだ。
だがショボショボの冷蔵庫に貯えられていたのは、パチンコの余り玉でゲットした2リットルの緑茶と1.5リットルのポカリのペットボトルだけだった・・・。










どうやら風邪を引いたようだ。
インフルエンザが大流行しているこのご時世、そうではない事を願うが、どうやらそうではないようだ・・・・・・と、自分で勝手に決めて現在治療に取り掛かっている。
熱が続くなら、いつもの『烏龍茶大作戦』で大丈夫なのだが、今回は何やらちょっと違う。
高熱が出る訳で無し、鼻水がダラダラ流れる訳で無し、咳やクシャミが出る訳でも、無し。
要するに、『何か変だな』というのがもはや数日続いているだけなのだ。



だから、風邪。



「ビタミン不足じゃネェのか?」
と、脳ミソが勝手に言ってくるので食事はウサギの様に野菜や果物を摂取している。
そのうち耳が伸びて来るはずだ。
次に、飲み物。
まず試したのが爽健美茶だったのだが・・・・・イマイチ。
彼は名前に“健”の文字が付いているものの、人の身体を風邪から一気に健康にしてくれる飲み物では無いらしい。
だったら・・・・・・・・・酒。



「こりゃあもう・・・・・・・・・飲むしかネェぞ!」



と、今度は自分勝手に思い込み、ショボい冷蔵庫を開けてみると・・・・・・・・無い。
無いじゃん・・・・・酒。

“有ると飲む 無いと飲みたい 酒、タバコ。”

そんなしょ~もナイ川柳、“Shi川"柳”(しぜんりゅう)を思い浮かべながら仕方なく手に取ったのが、ポカリ。
『でもコレって・・・・・・・二日酔いのお薬でしょ?』
脳ミソの中の優しい、でもちょっと頭の弱い女性が話し掛けてきた。
『いやいや、こりゃ風邪にも効くかもしれんよ。点滴みたいな色しとるしね。』
俺は優しく、分かり易く彼女に返答した。
まぁ、そんなこんなで数秒間の心の葛藤?は有ったものの、今回の風邪を捻じ伏せる主役はポカリスエットに決定した。
緑茶との倍率2倍の難関を勝ち抜いて・・・・・。



“ポカリ大作戦”決行。



これでいいのか?

これでいいのダ。





ちなみに上の川柳、『無いと』に『夜(ナイト)』が掛かっていたんですネェ・・・・・・・・・・気付いたかな~??

That's 駅弁。

2012年02月08日 04時14分55秒 | Weblog
『久しぶりだなぁ・・・・・・・・』







実は先月末、所用で東京へ行く機会があった。
周りには内緒で長期放浪を目論んでいたものの、そんな時に限って外せない予定が入り、あいにく2日間のみの出張?となった。

ピチピチの若者だった頃、ごく短期間だが新宿に潜伏していた事もあり、ある程度の土地勘もある東京なのだが・・・・・それも今は昔。
当時日本中に名を轟かせた“サンシャイン60”が他の高層ビルに埋もれ始めた今日び、俺の土地勘もただの古地図になっているに違いない。

そんな事を考えながら、分不相応な新幹線なんぞに乗り込むやいなや・・・・・俺はある物を机の上に広げた。



“なごや”



That's 駅弁。
それも名古屋駅弁界では泣く子も黙る超老舗の『松浦商店』のやつ。
個人的に言えば同社の“こだま”の方が好きなのだが・・・・・・・・購入の時間が無かったので手近な売店で売っていた“なごや”に。
愛想もビジュアルも悪い売店のオバサンに閉口しながらも、早くも気分はデパートのおもちゃ売り場でウルトラマンの人形をゲットした子供の様な上機嫌に・・・。

ポツポツしか客のいない自由席、そしてポツポツと車窓に当たる冬の小雨・・・・・。
たった2時間足らずの車内だが、情緒はオッケー。俺的には『いい旅夢気分』だ。


しかし・・・・・駅弁って奴は何でこんなに美味いんだろう。。。
正直、“美味しんぼ”の白髪のオッサンが唸ったり、“ミスター味っ子”のジジイが口から火を吐く程の高級素材や、気の遠くなる程の手間ヒマを掛けている訳では無いと思う。
ただ、ゴトゴト電車に揺られながら窓の外を眺め、温かいお茶と冷めた弁当を食べるだけなのに。



“なごや”は美味かった。



やっぱり駅弁は、美味しかった。
体の大きな俺には小さめの容器に入ったそのご飯を、ゆっくり・・・・・・・・本当にゆっくり食べたつもりだったのだけれど、最後の焼き魚を食べ終わるまでにそんな時間はかからなかった。
その間、車窓の景色は名古屋のビル群を抜け、緑の多い三河地区を抜け、もうすぐ静岡を映そうとしていた。

子供時代・・・冷や飯の嫌いだった俺は、もちろん駅弁も好きではなかった。
それはまだ『情緒』という言葉を知らなかったからだろう。
そんな子供も今では電車の旅と聞くと、駅弁を真っ先に思い浮かべる。
『新幹線よりもローカル鉄道の方が美味しいだろうな』・・・・・とも思う。





食事の後、軽く睡眠をとる間に新幹線は滑る様に静岡を、そして神奈川を抜け東京に入った。
思えばこの新幹線とて既に、俺の知っている形ではなくなっている。


便利になった。



しかし駅弁は無くならないだろうな・・・・・・とも、思う。

“単(シンプル)”~2012 謹賀新年~

2012年02月04日 18時38分43秒 | Weblog
年が明け早やひと月が過ぎ・・・・・時は2012年2月。
全国68名のShizenさんファンの皆さま、あけまして・・・・・・・いや、明けてしまって申し訳ございません。
昨夏よりセミの脱け殻のようになっていた私にようやく魂が戻ってまいりました。
またしばらく、人間やりたいと思いますのでよろしくお願い致します。










結局、思ったような1年では無かった。
たった1年間でさえアーティスト然としていられない俺は、力が無い。

競争社会の原理で言えば、人の心を打つ絵を描く貧乏よりも、腐った絵しか描けない大富豪の方が『力が有る』のは間違いない。
勉強さえすればテストで80点取れるが60点しか取らない奴よりも、必死こいて勉強して70点取ってる奴の方が『勉強が出来る』のは間違いない。

そういう意味で、自分は力が無い・・・と思う。



以前、ブログ上で『活動を下方修正するぐらいならヤメる』というような事を書いた。
それは今でもハッキリ憶えている。
結果、当の活動は下方修正どころか途中で頓挫をするという体たらくに終わった。

未開の荒地に旗を立て、多くの仲間を巻き込んで始まった“YUMETADA。”の、団体としての活動は当分ヤメようと思う。
今の俺にはそこまでの『力』が、無い。
ただ、個人としての活動は細々と続けて行こうとも思う。
それだけの『力』は、何とか・・・・・ギリギリ持っているだろう。
細々とした個人活動でも、続けてさえいれば“YUMETADA。”復活のチャンスはゼロでは無いのだから・・・。



自分の小さな1年未来予想図から僅かに軌道が外れ始めた昨夏から、ずっと考え続けていた事が1つだけある。

『いったい俺は何がやりたいんだろう・・・。そしてそれは周りの皆に伝わっているのだろうか、それを聞く人が理解出来る様に・・・果たして分かり易く説明出来るだろうか。』

その答えを半年間、探していた。
そして最近になって、ようやくその答えは見つかった。
それは思いのほかシンプルで、同時に自分が今まで思い描いていたビジョンにさほどのブレが無かった事も再認識出来、一生懸命考えて良かったなと思う。
ただ、それを実現する為にはやはり、それ相応の『力』を身に付けステップを踏まなければならない事もまた事実。
すべてが分かっていた事と言えば、分かっていた。
でも今はそれが再結合して、シンプル。

大きく分けると、
①父親の個展
②自分の個展
③総合アートプロデューサーとしての活動
の3つ。
詳細は次回以降で説明するとしよう。

今まで難しく考え過ぎていた面も多々有るが、整理してみると内容はともかく項目数だけは意外に少ない。
「じゃあそれらは簡単か?」と問われれば答えは断じて・・・否、である。
中にはとんでもない障壁が有る物もあって、道は険しく難しいが・・・それでも一から出直そうと、思う。



というわけで今年の標題は、“単(シンプル)”。
そういえば自分の作品にシンプルって・・・・・・あったなぁ。
忘れないようにという意味も強く込めて、改めてここに書き記しておこう。





~単(シンプル)~

考え抜き苦しみ抜いて

たどりついた単純は

ただの「単純」に非ず。

それは

中途半端な「複雑」をはるかに凌駕する。

究極の複雑、シンプルの正体。










まずは桜の咲く頃。
小さな小さな2回目の個展を開こうと、思っている。

夏の日の2011

2012年02月01日 20時27分40秒 | Weblog
「今年も……………駄目だな」

遠くで打ち上がる小さな花火を見つめながら、そう思った。










盆に入った。



だが俺は昨日も今日も、訳有って出稼ぎに出ている。

盆と正月とGW………世間では人々がこぞって実家へ、そして何処かへ出掛ける時期だ。

しかしながら今年の俺には“盆休み”は無いらしい。

昨日も毎年のように足を運び、頭の真上で炸裂するのを楽しんでいる花火大会を無念の思いで遠くから見上げた。
そして同じ日の夜から、郡上八幡の徹夜踊りも始まった………。





夏の日の2011。

今年の夏は………………………憂鬱な夏になりそうだ。






















拙いながらも精一杯、携帯の中に保存を繰り返し書き綴ったブログはここで終わっている。

そして………現在に至る。



時は2012年2月。



もう既に年は明け、半年ほど俺のブログは更新されていない。
だが状況はというと、この記事を書き始めた夏と何ら変わりは無い。
全精力を注ぎ込み、やっとの事で実現した個展の後、毎度毎度のお約束の如く……力尽きた。
1つの大きなイベントを終え、ささやかな充実感に満たされ未来への希望を胸に……勇み足で人生双六のサイコロを振れば、決まって『再起不能!?』か『振り出しに戻る』、良くて『半年ぐらい休み』だ。



『お約束』かい………。

なんちゅう人生じゃ。





実は昨年8月に生活環境が大きく変わった。
それは俺の人生において、実に7度目の引っ越しが関係している。
とある目的を持って敢行された、博打にも似たその引っ越しに恐らく『次』は無く、仮に8度目の引っ越しが有るとすれば……その時の自分はほぼ間違いなく『望んでいる全ての物を手に入れている』か、『全てを失っている』かのどちらかだろう。
肝心の引っ越し先は、今までとは比べ物にならないほど素晴らしい環境なのだが………残念ながら現在はその半分も活用出来ていない。
いずれ皆にも分かるであろう今回の引っ越しの真意と全貌は、徐々に徐々に発表……とかいう事になるはずだ。





ふと気が付けば雪舞う2月。

様々な場所で、様々な人々からブログ復活の要望が届いている。
多くの人は更新されないこのブログに、毎日のようにアクセスしてくれていると聞く……。

生活に追われればアーティストとしてのモチベーションが薄れ、アーティストに没頭すれば生活が傾く。

理想と現実の間の世界。

それを面白おかしくブログを通じて伝えるのが本当の『馬鹿をやる』ということなのだろう。
水風呂に入って「冷たい」と言っているようでは、まだまだ俺は馬鹿になりきれないらしい。

人生修行が足りないらしい………。







去年の夏、花火の時期に俺は転び、ブログは凍った。

でも、やっと、起き上がった。

色々な人の声は、ちゃんと聞こえている。

新年の挨拶云々は次回の記事にするとしよう。



とりあえず………復活。








何度でも………………………立ち上がってやるさ。