吹く風ネット

念力1 (2005年5月25日付)

 ぼくが小学6年生の頃、親戚の家に、立つことが出来ずに寝たきりになっている子犬がいた。
 その子犬は先天的に立てないのではなかった。ある事件以来立てなくなったのだ。

 その事件とは、その母犬と兄弟犬が犬さらい(保健所?)に連れて行かれたことだ。その光景を、子犬は隠れて見ていたのだと思う。その時のショックが、子犬を立てなくした。

 ぼくが親戚の家に遊びに行くと、いつもその子犬は段ボールの箱の中でうずくまっていた。伯母が食事を与えても、少し口を付けて、あとは残してしまう状態だった。そのため、元々痩せていた体はさらに痩せ細り、ほとんど骨と皮だけになっていた。

 誰もがその子犬のことを心配したが、手のつけようがない。
「かわいそうだが、このまま死ぬのを待つしかないなあ」と伯父は言った。
「病気なんかねえ」
「精神的なものだとは思うけど…」
「立ったら治るんかねえ」
「そうやなあ。立ちさえすれば、何とかなるかもしれん」
「ふーん。じゃあ、立たせてみようか?」
 
 ぼくがやったこと、それは念力だった。それ以前に念力のことを本で読んだことがあったのだが、それをやってみようと思ったのだ。

 その本に書いてあったとおり、マジシャンのように手の指に力を入れて子犬の上にかざし、「立て、立て」と言って念を送ってみた。
 最初子犬は、ぼくのそんな行為を無視していた。しかし、ぼくは諦めずにずっと念を送り続けた。
 やっているうちにぼくの中に自信のようなものが湧いてきた。

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