吹く風ネット

リライトブログ2(今日の出来事)

 二つのブログをやっていくのが、だんだん億劫になってきた。ブログはスマホで書いているのだが、ログアウトしたりログインしたりと余計な作業をしなければならないので面倒だ。
 一方をアプリで、もう一方をブラウザでと分けることも出来るが、ブログも仕事もプライベートも一台のスマホでまかなっているので、いろいろややこしくなってくる。
 やっぱりこちらに上げることにします。

 ということで、移設第一弾。

2002年2月28日

 午前中、一本の電話が入った。
「もしもし、Iですけど」
 知り合いのI刑事からだった。
「署の洗濯機が壊れたんよねえ。引き取りしたやつでいいんだけど、使えるヤツないかねえ?」
「さあ?確かめてないから、使えるかどうかはわかりませんけど」
「まあいいや。うちの者行かせるから、よろしくね」

 今日は商品が大量に入荷する日で、朝から大忙しだった。気がつけば、商品の検品や荷出しをしているうちに午後になっていた。
 仕事が一段落し、ちょっと一息入れていると、
「しんたさーん、お客さまでーす」と呼び出しがかかった。
 行ってみると、体格のがっしりした坊主頭の男性がいた。
「しんたさんですか?」
「はあ・・」
「Iさんの紹介で来ました」
「ああ、聞いてます」
 そしてぼくは、坊主刑事と一緒に大型ゴミを捨ててある場所に行った。そこにはもう一人の刑事さんがいた。顔は若いが眼つきの厳しい人であった。
 ぼくの顔を見るなり、眼つき刑事は、
「あ、お世話になりまーす」と挨拶をした。
「こちらこそお世話になりまーす」と、ぼくは返した。

 そして、坊主、眼つき、しんたの三人は使えそうな洗濯機を探し始めた。
 大型のゴミ捨て場は、外部からの投棄を防ぐために金網で囲ってある。畳にして四畳半のスペースだ。その狭い金網の中を、大柄の男が三人でゴソゴソやっている図というのは、異様なものがあったにちがいない。

 この異様な風景を、遠くから眺めている人がいた。取引先の人だった。彼はぼくに気がつくと、こちらに近づいてきた。
「こんにちは。しんたさん何やってるんですか?」
「実は・・・。あ、ここではなんだから、ちょっとこっちに来て」と、他の場所に移動した。
「どうしたんですか?」
 ぼくは声を潜めて
「あの人たち刑事なんですよ」と言った。
「え!!何かあったんですか?」
「ちょっと前に、この辺で殺人事件があったでしょ」
「え、そんなことありましたかねえ?」
「あったじゃないですか」
「あ、ああ」
「それでその殺人現場になったのが、うちが洗濯機を配達した所だったんですよ」
「え、そうなんですか!!」
「その犯人がまだ捕まってないんですよ。それで、何か手がかりはないかと、事件の前にうちで引き取った洗濯機を調べてるんです」

 ぼくたちがヒソヒソ話をしていると、坊主刑事が
「しんたさーん、これ持って行きます」と言った。
「ああ、それですか。どうぞ持って行って下さい。お役に立ててよかったです。ご苦労様です」
 ぼくは隣にいた取引先氏に
「どうやらあれやったみたいですね」と言った。
「そうみたいですね」
「そういえば、あの洗濯機には髪の毛がついとったなあ・・・」
「・・・」
 取引先氏は無口になってしまった。かなり信じ込んでいる様子で、顔が引きつっているようにも見えた。それを見て、ぼくは何か申し訳ないような気分になり、
「冗談ですよ。冗談」と言い、いきさつを説明した。取引先氏はやっと笑顔を取り戻したようだった。きっと真面目な人なんだろう。悪いことしたなあ。
 

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