そうした輸入物への漠然とした憧れを、現実のものとして捉えられるようになったのは、ぼくが二十歳を過ぎてからのことで、その頃には円の力もついていて、少し背伸びすれば買えるようになった。
そこで箔付けに筋の通った一本を買おうと、楽器屋に何度も足を運んで候補を絞った。もちろん『ダヴ』や『ハミングバード』もその中にあったのだが、どうも『ダヴ』や『ハミングバード』の赤い色が引っかかる。それに加えてピックガードの鳩や鳥の画だ。
「これだと飽きが来るに違いない」と思い、『ダヴ』や『ハミングバード』はやめた。
他にもギブソンで気に入ったのがあったが、知り合いが持っていたので却下。
結局、ぼくは薄型のオベーション(グレンキャンベルモデル)を選んだ。
なぜオベーションにしたのかというと、テレビでポール・マッカートニーのオーストラリア公演を見たのだが、『ブラックバード』をやる時にポールが弾いていたのがオベーション・グレンキャンベルモデルだった。ホワイトアルバムでのギターの音色とは違う音色がそこにあり、それを聴いたとたんぼくは「これだ!」と思ったわけだ。
しかし、このオベーションには泣かされた。本体は薄くて軽いものだったが、ケースが大きくて重い。これを持って飛行機に乗ったり、新幹線に乗ったり、船に乗ったりしていたのだから大変だった。確かにソフトケースにすれば、そこまで苦労しなくてもよかったのだろうが、何せぼくにとっては貴重品だ。ついつい慎重になり、純正の大きなハードケースに入れて持ち運びしていたのだ。
とはいえ、その後買ったマーティンは、わりと乱雑に扱っていた。年を重ねるにつれ、ギターはぼくにとっての貴重品ではなくなっていったのだろう。
ちなみにそのマーティンギターで、ちょっとした事件(ぼくにとっては大事件)に巻き込まれることになるのだが、それはまた別の話。
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