この間道を歩いていると、猫にリードをつけて散歩している人がいた。基本二次元を動く犬にリードをつけて歩いている人は普通にいるが、三次元を動き回る猫にリードをつけて歩いている人を見たのは初めてだ。きっと大変だろうな。
猫を連れているといえば、前に勤めていた会社でこんなことがあった。
ある若い男性客が飼い猫を抱いて買い物にきていた。そのお客が、ぼくの売場の前を通りかかった時である。手が疲れたのか、猫を床におろした。その瞬間だった。猫が小便をしたのだ。
その客がポケットの中を探っていたので、てっきりポケットティッシュを出して、後始末をするものだと思っていた。ところがだ。何とそのお客は何もせずに、素速くその猫を抱えその場を立ち去って行った。
ぼくは、追いかけて行って一言言ってやろうと思ったが、そのまま濡れた床を放っておくわけにもいかず、キッチンペーパーを持ってきて、拭き上げた。
後でその客を探してみたが、そのまま出て行ったようで、もう店の中にはいなかった。
まあ、ペットを連れてくる人のほとんどは、こんなマナーのない人ではない。中には、
「すいません。犬がおしっこをしたので、何か拭く物を貸して下さい」と言ってくる人もいる。
そういう人は、こちらから「手伝いましょうか」と言っても、「いいえ、うちの犬がやったことですから」と、ちゃんと自分で後始末をやる。
ペットは人間性を映す鏡だとも言われるが、ペットに己のマナーの悪さを語ってもらうのも、寂しいものである。