2015年春アニメの感想の続きです。
◎「プラスティック・メモリーズ」(全13話)
総合評価3点(5点満点)
寿命が近い女子との恋物語というのはありふれていますが、簡単に言えばそういう物語。
1話から泣かせることが目的であるかのようなつくりが少しあざとく、その割になぜ寿命があるのかや寿命になると暴走しかねないとかや寿命が来たら自動停止にしないとかの設定が謎のままで、一方、約9年4ヶ月(81,920時間)が寿命とは誰でも知っているのに、ギフティア(心があるアンドロイド)のアイラの寿命が近いことに気付かないツカサの鈍さや自分勝手さに少しイラつき、評価を低くしています。
その辺をもう少し詰めた物語にしてくれれば、派手にせずに落ち着いた最終話を含め、終盤の数話は4点くらいの良さだったのですけれど。
それでも、アイラがいなくなったのに、代わりにアイラの外見のままでプラスティック・メモリーを代えたギフティアとパートナーになったように想像させる描写は、アイラの中身ではなく外見が好きだったのか、と思えてどうかと思いましたが、それとて幼さと思えば不思議なことではありません。
水柿ツカサ(cv内匠靖明)、アイラ(cv雨宮天)、絹島ミチル(cv赤﨑千夏)、ザック(cv矢作紗友里)、桑乃実カヅキ(cv豊口めぐみ)、コンスタンス(cv日野聡)、縹ヤスタカ(cv津田健次郎)、シェリー(cv愛美)、課長の山野辺タカオ(cv飛田展男)など。
放送前の新聞全面広告。

アニメジャパン2015にて。




アニメジャパン2015のときの国際展示場駅にて。横に何メートルもあるポスターと普通のポスター。


○ 1話。泣かせることが目的であるかのような物語。少しあざとい。9年位で寿命となって、そのままだと暴走して人を襲いかねないという設定の理由次第かなあ。
メモリーを変えればロボット自体は続けて使えるということなので、メモリーの寿命が9年位ということなのでしょうが、であれば回収のたびに持ち主を説得するなんて面倒なことはせずに、9年位で自動停止するように最初からプログラムしておき、停止してから回収すれば良いのに。
○ 2話。アイラの寿命があと2000時間だとラストで。ツカサはまだ知らず。けっこう優秀なギフティアだったはずなのに1話からドジばかりで回収をややこしくしていましたから寿命が近いことは明白でしたが、逆に、ツカサが気付いていないことが変。周囲の人がツカサに言っていないことも変。
○ 3話。パートナーなので一緒に暮らす規則だということで、アイラの部屋へ(会社の宿舎。)。思い出を作らないように他人と関わりたくないアイラ、部屋の椅子でいつも黙って寂しそうなので何とかしたいし、かまいたいツカサ。
でも、お茶を入れるくらいしか取り柄がないアイラなのに、アイラから言ってきたのに断ってはダメですね。その時点でアイラのことを何も分かっていなかったし、分かろうともしていなかったということになります。結局は、一緒に買ったお茶を入れてとお願いし、微笑むアイラ。
○ 4話。笑顔の練習をするもののぎこちない表情のアイラが可愛いというか楽しいというか。ツカサは、いまだにアイラの寿命に気づいていない様子ですが、それほどコメディではないのにさすがに鈍すぎでしょうに。
5話。偽の回収業者に連れて行かれ、寿命が来てマーシャ(cv能登麻美子)が暴走してワンダラーに。ラストはアイラがやられた感じでしたが、ここで死ぬとは思えないので、どうなることやら。
6話。アイラはメンテナンスが必要であるものの無事。マーシャを無事に連れて来るとの若苗ソウタ(cv福圓美里)との約束が果たせず、ソウタに責められて更に落ち込むツカサ。
それはともかく、アイラの寿命があと1000時間くらいだと知らされて、初めて認識したかのように驚くツカサというのは何なのだか。思い至っていなかったということですが、これは、主人公キャラは大事なことは耳に入らないという、アニメによくあるやつですね。
○ 7話。寿命を知って動揺したのでしょうし、慰めるという建前でしょうけれど、アイラをデートに誘うツカサ。行く場所をアイラに丸投げとは想定外でしたし、前日まで決まらないのも想定外でした。
前のパートナーだったカヅキとよく行った遊園地のベンチを希望し、そこに座りますが、他の遊具で遊んだことがないと聞いたので、イロイロと回る2人。モジモジのツカサでしたから、観覧車で並んで座るとは想定外。過労でアイラの胸に倒れこむための位置取り?。ついでに、並んだ方が描きやすそうですし。
○ 8話。メモリーを変えても記憶が残ることがあるのか、という話。入れ替えるのですから、理屈上はないですね。アニメでも実例もないと言っていましたし。
で、打ち上げ花火の中、「俺は、アイラが好きだから」と告白するツカサ、ED曲後、真っ赤になって「無理です」と叫ぶアイラ。いい雰囲気が一転してコメディに。アイラの照れ隠しであり、寿命が近いアイラですからツカサへの気遣いでもあって。
9話。ツカサが真っ白に燃え尽きていました。アイラはどうしたら良いか分からなかったから断っただけで、引き続きどうしたら良いか分からないまま。
ラストでパートナーを解消するとカヅキが言っていましたが、2人に冷静に考える時間を与えたということ。
それしても、ミチルまでもアイラの寿命を聞いて驚くとは、ご都合主義も甚だしいです。ミチルはかなり前からいたのですから、具体に何日までと聞いていなくても、いつ頃かは推測できるでしょうに。
○ 10話。寿命が近いので遠慮していたアイラは、パートナーを解消されてツカサの存在について考え、ツカサに緊張の告白。めでたしめでたし。寿命に気付かなかったし気付こうともしなかったツカサらのことを思うと、勝手にラブコメしてろよ、という気はしましたが。
11話。アイラとツカサの初々しいラブラブっぷりで終始するとは思いませんでしたが、2人の永遠の別れの前に一花咲かせたといったところでしょう。これはこれで楽しかったです。
12話。2人のイチャイチャもありますが、同僚ともからみながらのイチャイチャもありますが、11話と違って悲しげな雰囲気を漂わせながら。11話とうまく対比させていて、11話がより生きてきました。
○ 最終13話。アイラ最終日、いつもどおり仕事に来た2人を同僚が追い出して、することがなくなった2人は遊園地デート。
2人は遊園地で楽しそうでしたからこれで良かったのでしょうけれど、別に最後まで仕事をしても良かった気も。アイラのアイデンティティはお茶くみからツカサに代わっていったということでしょうから、それを示したかったということなら、遊園地デートで良かったですけれど。
派手にせずに落ち着いた演出がジワリときて、良い感じでした。

【shin】