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劇場アニメ「君の膵臓をたべたい」感想。泣けるから良い映画とは限らない

【ネタバレ】

◎劇場アニメ「君の膵臓をたべたい」

総合評価2.5点(5点満点)

「僕の春の思い出。彼女の一生の思い出。」

2018年9月1日公開、牛嶋新一郎監督・脚本、住野よる原作、108分。
実写映画が2017年7月公開、TVドラマが2018年8月放送ですが、いずれも見ていませんし、CM以上のあらすじも知らずに見ました。

泣いている人は結構いましたし、私も涙ぐみましたが、泣けるから良い映画とは限りません。
因みに、あざといと言う程ではない物語です。

「僕」(志賀春樹)(cv高杉真宙)、山内桜良(cv Lynn)、
恭子(cv藤井ゆきよ)、隆弘(cv内田雄馬)、ガム君(cv福島潤)、「僕」の母(cv田中敦子)、「僕」の父(cv三木眞一郎)、桜良の母(cv和久井映見)など。





○ 序盤中盤は単調で退屈、終盤は普通でした。ごく簡単に言うと、浅い物語だった、といったところです。

病気で死ぬのかと思ったら、通り魔に殺されるという・・・少しの間は目が点にはなりましたが、そういう物語もあっていいと思うので、それはそういうものとして。

犯人は示されなかったと思いますが、(本当に通り魔という事も考えられはしますが、)序盤で当たり屋をしていたのを桜良が止めに入ったときのチンピラか、桜良がフッたクラスメイトの元カレ(桜良に執着してストーカー気味だった。)かも、と思いました。


○ 桜良は病気のことを他人に隠しているのに、書棚の陰に誰がいるか分からない/近くに人がいる図書館でも通常の大きさの声で病気のことを春樹に話していました。実は小声で話しているという設定なのかと最初は思いましたが、他人に聞こえるからと小声で話すシーンもあったので、聞こえるとおりの大きめの声で話していたという事になります。

病気の話を気軽にできる「友達」ができたのでついつい嬉しくて声量のコントロールができないという事であれば理解はできますが、静かな図書館であの声であの距離に生徒がいれば聞こえていないわけがありません。そこは意味不明でした。

桜良が明るく大きめの一本調子で不安感や不安定さが感じられない声なのは、(本音の弱さを見せるシーンも少しある事から、)死ぬ病気であるという感じを出さないための演技なのでしょう。元々明るい性格のようですが、演技だから無理をしていつでも明るくしていて、無理をしている部分があるから一本調子なのでしょう、と善意に解してはいますが、故に感情移入がしにくいです。

明るくふるまうのは強さではありますが、無理はいつまでも出来るわけではありません。

春樹との出会いは、無理を打ち消してくれる良い出会いでもあったわけです(同じクラスで、桜良は元から気になっていたと春樹に言っていましたが、話をする仲になったのは「共病文庫」の件から。)。

友達以上、恋人未満の関係。春樹にとっては実質的に恋だったのかも知れませんが、たぶんそれは、女子と親しくなるとそう勘違いしがちな思春期の男子というだけでしょう。


・桜良にとって医者は真実しか言わないし、家族は気を使ってくれてありがたい面もあればそればかりなため日常がないので疲れもするので、病気のことを知っていて日常も与えてくれる春樹(単に他人に興味がないから、死ぬと知っても大して気にしない/気にならない、いつも通りにふるまえる、というだけですが。)と一緒にいたいという意味のことを言う桜良の心情というのは、十分に想像できるところです。

桜良は、いわゆる「普通」でいたい、死を忘れられる時間を一時的にでも欲しいのでしょう。ありていな言葉で言えば、自分らしくいられる時間が欲しいのでしょう。
医者の前でも家族の前でも本音を見せにくいのでしょう。

春樹には、泣いて死にたくないと言っていましたし。


親友の恭子は、桜良を大切に思っていますが、それが桜良に気を使い過ぎることになると思っているから言わないという意味のことを桜良は言っていましたが、死んでからの事を思うとその通りですね。
とは言え、死期がある程度見えて来たら言うつもりだったでしょう。桜良も恭子を大切に思っていることは確かです。


○ 桜良が春樹を気になっていたのは自分と正反対だから、というのは理解できるとしても、他人に興味がない、関わろうとしない春樹ですから、直ぐに嫌になっても不思議ではないのに、最後まで親しく。
そこまでの魅力は春樹に感じませんでしたが。

(春樹は少しは言いますが、)ほとんど文句も言わずに話を聞いてくれる人が、女子には必要な場合が多いというのは分かりますが。

桜良には春樹が魅力的に見えたという事ですが。

春樹が桜良を通して、自分の魅力と、自分が変わった方が良い点を見つけ、少し変わっていく自分探しの物語でもありましたしね。


○ 難病ものとは聞いていたけれど実は助かるのかもと思って見始めたのですが、冒頭で葬式があり、そうではないと分かりました。

それはさておき、桜良が死んでから、ショックで葬式にも行けなかった春樹が家を訪ね、桜良の遺言で母をとおしてもらった「共病文庫」を読んで号泣。

悲しいときは泣かないと、悲しさにとらわれっぱなしになりますからね(生きていた時の桜良にも言えますし、春樹の前で泣きましたし。)。

・「共病文庫」を恭子に読ませたら、病気のことを親友の自分に言わなかった春樹に怒る恭子でしたが、それが八つ当たりとは直ぐに気づいていたことでしょう。
(言わなかったことは桜良の思いやりとも直ぐに気づいたことでしょう。)

駆けだす恭子を追って、桜良が友達になってほしいと言っていたこともあって、追いかけて友達になってと言う春樹というのは良いとして、1年後には2人で墓参りに行くくらいに友達になっているというのも良いとして、一番の本題ではないから経緯は描かなかったのでしょうけれど、ここも少しだけ目が点。


○ 公式HPから。
「彼女は言った。
「君の膵臓をたべたい」
春。
まだ遅咲きの桜が咲いている、4月のこと。
他人に興味をもたず、いつもひとりで本を読んでいる高校生の「僕」は、病院の待合室で、一冊の文庫本を拾う。
手書きの文字で『共病文庫』と題されたその本は、天真爛漫なクラスの人気者・山内桜良が密かに綴っていた日記帳だった。
日記の中身を目にした「僕」に、桜良は自分が膵臓の病気で余命いくばくもないことを告げる。
それは、家族と医師以外には病気を隠している彼女にとってただひとり、秘密を共有する相手ができた瞬間だった。
最期の日が訪れるまで、なるべくこれまでどおりの日常生活を送りながら、やりたいことをやり、精一杯人生を楽しもうとする桜良。
そんな彼女の奔放な行動に振り回され、「僕」の心は少しずつ変化していく。
それは、「僕」の春の思い出。彼女の一生の思い出。」




【shin】


2018年10月22日追記。
サイン入りです。



【shin】
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