「お早う!」
西川がパリッとしたスーツを着込み、背筋をしゃんと伸ばし、カツカツと靴音高く大股で歩いて来た。
「ここで何をしているんだ。もうすぐ出社時間になってしまうぞ。吉田課長が待っている」
西川はひとりひとりの顔を見回しながら言った。コーイチは「吉田課長」の言葉にどきんとした。
「西川さん、今日は何の日か知ってるでしょ? 黒ミサの日よ」
清水は目だけ笑っていない笑顔を西川に向けた。
「黒ミサではない。吉田課長が議長を勤める営業四課の定例会議の日だ!」
西川は訂正を入れた。コーイチは吉田課長が大きな鎌で真っ二つになったところを想像した。
林谷は「くっ、くっ、くっ」と喉で笑って割って入る。
「今日は我慢会の日なんですから、少しでも遅らせたいってのが人情じゃありませんか」
「我慢会ではない。吉田課長が議長を勤める営業四課の定例会議の日だ!」
西川は真面目さにあふれた返事を返した。コーイチは吉田課長が額に弾丸を受けて血柱を立てているところを想像した。目が林谷のハードボイルドなテーラーへ向く。
印旛沼が西川の肩をぽんぽんと軽く叩く。
「まあまあ、西川君、今日は朗読会、言わばオン・ステージって所だ。そんなに真面目にならんと、楽しませてもらおうや」
「印旛沼さん、今日は吉田課長が議長を勤める営業四課の定例会議です。決してお楽しみ会ではありません!」
西川はきっぱりと言った。コーイチは吉田課長が青龍刀で胴体から首と手足が切り離されたところを想像した。目が印旛沼の娘の逸子へ向く。
「うわわわわ……」
コーイチはその場にしゃがみ込んでしまった。
清水さん林谷さん印旛沼さんたちがここにいるのは、偶然にしちゃあ出来過ぎだ。しかも、殺し屋と手品師にそっくりな姿の人までいる。死神は…… そうか、西川先輩だな。あの真面目さ潔癖さは人間離れしているものなぁ……
これだけの事が揃ったんだから、きっと何かある。吉田課長に何かあるんだ!
みんな共謀しているんだ! ボクはこの只中で戦い続けなければならないのか! ……でもボクは力はからっきしだもんなぁ……
つづく
西川がパリッとしたスーツを着込み、背筋をしゃんと伸ばし、カツカツと靴音高く大股で歩いて来た。
「ここで何をしているんだ。もうすぐ出社時間になってしまうぞ。吉田課長が待っている」
西川はひとりひとりの顔を見回しながら言った。コーイチは「吉田課長」の言葉にどきんとした。
「西川さん、今日は何の日か知ってるでしょ? 黒ミサの日よ」
清水は目だけ笑っていない笑顔を西川に向けた。
「黒ミサではない。吉田課長が議長を勤める営業四課の定例会議の日だ!」
西川は訂正を入れた。コーイチは吉田課長が大きな鎌で真っ二つになったところを想像した。
林谷は「くっ、くっ、くっ」と喉で笑って割って入る。
「今日は我慢会の日なんですから、少しでも遅らせたいってのが人情じゃありませんか」
「我慢会ではない。吉田課長が議長を勤める営業四課の定例会議の日だ!」
西川は真面目さにあふれた返事を返した。コーイチは吉田課長が額に弾丸を受けて血柱を立てているところを想像した。目が林谷のハードボイルドなテーラーへ向く。
印旛沼が西川の肩をぽんぽんと軽く叩く。
「まあまあ、西川君、今日は朗読会、言わばオン・ステージって所だ。そんなに真面目にならんと、楽しませてもらおうや」
「印旛沼さん、今日は吉田課長が議長を勤める営業四課の定例会議です。決してお楽しみ会ではありません!」
西川はきっぱりと言った。コーイチは吉田課長が青龍刀で胴体から首と手足が切り離されたところを想像した。目が印旛沼の娘の逸子へ向く。
「うわわわわ……」
コーイチはその場にしゃがみ込んでしまった。
清水さん林谷さん印旛沼さんたちがここにいるのは、偶然にしちゃあ出来過ぎだ。しかも、殺し屋と手品師にそっくりな姿の人までいる。死神は…… そうか、西川先輩だな。あの真面目さ潔癖さは人間離れしているものなぁ……
これだけの事が揃ったんだから、きっと何かある。吉田課長に何かあるんだ!
みんな共謀しているんだ! ボクはこの只中で戦い続けなければならないのか! ……でもボクは力はからっきしだもんなぁ……
つづく
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