街路樹のイチョウから、路上に落ちて独特のにおいを発するギンナン。多くがゴミとして捨てられる嫌われものを、まちの特産品にできないか。泉佐野市の高校生たちが試みているようです。
市役所前の市道で2日、近くの府立佐野工科高校の3年生5人や市職員らがギンナンを拾って歩いた。歩道に植えられたイチョウの枝をゆすると、直径約3センチの黄色の実が大量に落下。1時間で集めたギンナンは約60キロにのぼった。
きっかけは千代松大耕市長の発想だ。市では毎年この時期、歩道に植えられたイチョウの落葉やギンナンの清掃を、数十万円で民間に委託している。そこで、市内に約600本あるイチョウから落ちるギンナンを加工して売り、その売り上げで委託費をまかなうことができれば、と考えた。
市長は今夏、同校で電気自動車づくりなどに取り組む教諭(43)に「落ちたギンナンを無駄にせず、生かせる方法はないか」と相談。教諭は、社会の課題を生徒たちが自ら解決するいい経験になると引き受けた。有効活用できる方法が確立すれば、他の自治体からの需要もある、ともくろむ。
国土交通省国土技術政策総合研究所の調査では、高速道路を除く街路樹の中で最も多い高木がイチョウで、全国に約57万本植えられている。火災に強い利点がある一方、においのあるギンナンは管理する自治体の手を煩わせており、大阪市では御堂筋のイチョウ並木を植え替える際には、実をつけない雄株を植えている。
ギンナンはにおいのある果肉が、白い殻の種子の周りについている。教諭は生徒5人とともに、ギンナンの果肉部分を菌で発酵させてはがしやすくして、高圧水で取り除く計画だ。殻のままでも商品になるが、一度に多数の殻を割って種子を取り出す機械の開発も進めていくそうです。
生徒たちは機械設計を進めると同時に、殻のついたギンナンを菓子店や温泉旅館に持ち込んで、市の特産品となるものを作ってもらおうと考えている。Iさん(18)は「シャーベットにすれば売れると思う。殻を割る機械を早く設計したい」と力が入る。Sさん(17)は「町がきれいになる上、特産品を作って市の活性化につながるお手伝いができれば」と話していたそうです。