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専心池坊公式ブログ

専心池坊の花型を主にご紹介しています。
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「山錦木と中輪菊」 生花

2015-09-12 08:06:24 | 生花

「山錦木と中輪菊」 生花

指導 生花指導部 大迫節翠

 

紅葉しはじめた山錦木で 初秋を表現する Seika 本勝手 花材 小真弓(山錦木) 黄中輪菊 花器 鶴首 普通の錦木はコルク質の翼が出るのが特徴ですが、作品の山錦木は縦翼はなく、錦木ほどの武骨さはありませんが晩秋の紅葉は錦木以上の美しさです。  立秋を迎え、暦の上では秋。多少紅葉が始まりはじめた花材は生けている間にも枯れ葉が落ちます。葉の落ちた枝には青っぽい小さな実がいっぱいついていて、とてもかわいい。今の季節の風情を充分表現しながら、そそと鶴首に生けてみました。  山錦木で真と副、根〆に中輪菊。根〆に竜胆を使ってみましたが、色彩的にも菊のほうがマッチしました。


獅子口生け・本勝手・草の行

2015-09-05 15:04:11 | 生花

 獅子口生け・本勝手・草の行

 

家元名誉講師 土居秀華

(花材)=杜若花五本・葉二十三枚

この花器は本来『棚上の花』として違い棚や平板の上に置き生けするもので、目線より少し上に写真撮りするため高卓台を利用したもので、正式の棚では下座に寄せて置き生けとする。二重の上口と同様の姿にする心得で良いが、獅子口は上下に顎があり触れてはならぬ制約がある。本作は一の腰の倒しが足りない欠点がある。後の一本柱に掛け釘穴があれば向う掛け・横掛けが出来る。 

 


二重切り懸崖生け

2015-09-05 15:01:13 | 生花

格花を語る 名誉講師 土居 秀華

懸崖姿二題   二重切り懸崖生け

・逆勝手・草の行

(花材)=スカイロケット・小菊・椿

撓めが良く効くので初心者に最適で意のままに出来る。よく似た磯馴、別名這柏槙があり木質も似ているが、直上性と横這いの違いがある。スカイロケットは上口線まで真、副の腰は器幅まで、磯馴はやや柔軟這い姿として深腰が適当と思われる。 真副の間の奥に副座を入れる。花のない種だから根〆を要するが、体座なので適材がない時は一種生けを許すと祐道家元の言葉が残されている。但し、下重は必ず花物一種生けをする。特例で下重省略があるがその適応なし。

 

 

 


「冬のかきつばた」

2015-09-03 12:24:55 | 生花

「冬のかきつばた」

 

生花 指導 生花指導部 今井鶴風

 

春の珍花は青葉のみで生けます Seika 本勝手 花材 かきつばた 花器 川島焼 殆どの燕子花の花が終ってしまったはずのものが、突然に花を咲かせる、三期の最終のかきつばたを珍しい花として、これを冬の珍花として生け表します。 長い葉は殆どが枯れ、低いところの青葉の近くにひっそりと葉陰に一、二輪の花を見せます。葉組は余り多く用いない。

春の珍花は枯れ葉・黄葉・垂れ葉は用いず、青葉のみで生けます。 


半夏生(学名=烏柄杓)

2015-08-16 10:01:36 | 生花

格花を語る


名誉講師 土居 秀華

半夏生(学名=烏柄杓)

 

雑節に至夏から十一目を半夏生と云う。今年は七月二日で、この頃、烏柄杓が白い花を咲かす。細く存在感はないが、花附近の緑葉数枚が全面・半面・一部等と白化現象を起し、花以上に見事である。お化粧に見立て半化粧と雑節の半夏生を合せ、花材名も半夏生呼びしている。生薬で毒草の一種だが独特の臭いが有っても手頃な生花材料で、太い物は撓めが困難。丈の短いものは細く、曲げられ、強弱加減を配処し、花葉共に白化部を表現の対象とし、葉は丸型で大きいので適切な切り除きをする。
九本生けたが、七本の方が良かったと思う。
※一本物なので前後・陰陽共に半半が良い。
※葉面が大きく影響も大なので除く時注意。


半夏生一種生け・九本生け
逆勝手・行の行・牡丹籠
※水揚げは悪い、水切り深水。切り口にアルコールも良い。


夏櫨と杜若(二株・水陸生け)

2015-08-15 16:45:45 | 生花

 格花を語る


名誉講師 土居 秀華

夏櫨は優しい葉と層状の枝振りが、涼感を誘い夏に相応しい。素朴な中に上品さが備わっている。新芽の頃は、ほんのりと紅が差し夏一番の木物。低木で生花に最適の丈、撓めも良く効く手頃花材。水陸生けの男株に好ましい、幹の曲がりを優しく、おおらかに、副は極めて低め安定的にした。夏の水辺に想いを馳せ、陸地表現に石を置き、やや後寄りに納めた。女株は男株とのバランスを図り、小振りになった夏の杜若らしく花高く五本で整えた。体先をもう少し張り気味にしたい。

※二株生けは本作の様な男株に陸物、女株は水物の水陸生けと、両株とも水物一種又は二種遣い(男株の交ぜ生けを含む)の魚道生がある。陸物の草木何れも二株生けにはしない。

 二株=水陸生け・行の草・逆勝手
 花器=銅広口
 花材=夏はぜ五本・かきつ五本

※魚道生 作例図

 


「すずぼくと杜若の水陸生」

2015-08-15 12:25:30 | 生花

涼やかに生けた男株と開花を高くの杜若で季節を表現

生花


指導 生花指導部 西本輝峰
 
 
Seika

花材
1.すずぼく
2.杜若

花器
広口

■男株(すずぼく)
すずぼくは、夏はぜと同様枝もので、稽古花材として良く生けられるものです。
水陸生けは、男株に陸物を用いて生け、水際の石より後は陸、石より前は水辺とみなします。
前に石を置くため水際は多少高めに取ります。
・真…広口花器の横幅の二~二倍半位
・副…真の三分の二位で、花器の後角に向けて曲をつける。
・体座…男株の一番前に入れ女株の体真より低くします。

■女株(杜若二期の姿)
花二本
・体真(男株の二分の一より低く)
・谷

葉組みは五組
・体三枚組(男株とのバランスで多少長めにとる)
・谷の葉
・前あしらいの葉
・体真の葉
・体真の後あしらいを割り葉として一枚を副の座とする。
※花の数や葉組は、男株の調子に合わせて増やすこともあります。


鬼百合 一種生け・五本・本勝手

2015-08-14 11:39:09 | 生花

格花を語る


名誉講師 土居 秀華

【鬼百合】
天然物の鬼百合は店頭に出ない程、商品価値がなく、ふれあいマーケットで求めた。茎の中は空洞で撓めは困難だが、優しく扱えばどうにか姿作りは出来る。花の付く部は上半分で、下半分は葉で、土際は茎のみである。花は下部から下向きに咲く。葉は下部に笹状の型をして居り下で密集、花に近づく中程では段々小型となり薄くなる。花心粧の鬼百合とは種類が異なる様である。三本ではどうしても整えられない。楚楚とした姿は無理、唐突となる。花の重みを利用し、自然の曲がりの不足を補って整えた。花弁は反り返り中の葯が飛び出し、衣服や肌に付き汚れる。然し葯を取り除いては、百合の生花としては全く失格。花材が大柄なので牡丹籠に納めた。『歩く姿は百合の花』の例とは似ても似つかぬ形相だが、百合球根は一年毎に花の数が増す事がある。とすれば一~二年物が適当か? この種として生態を極力観察して挿花した。十年物球根花材だろうか数日後には火祭の様に、正に鬼神楽の豪快な姿となった。


 
鬼百合=一種生け・五本・本勝手
 
※撓めは自然の曲がりを利用・不足分を補う程が精一杯で曲がるものではなく、副体は、花の重み利用が有効。茎一本に開花一~二輪に調整すると良い。咲き過ぎを撤花する。各一本毎に中程から上花、下に段々葉密。足元は後部の葉を間引きすると良い。
 


【粟】

2015-08-13 21:06:24 | 生花

格花を語る


名誉講師 土居 秀華

粟は五穀の一種で食糧は古くは禁じられ例外として、零れ麥を根〆とした作例はある。
食糧用の粟は穂も大きく、30~40・程有り重くなる。本作の粟は観賞用の小粟で食用ではない。早期出荷で実も軽く、長い葉は水落ちするので短く切ってある。
カットされた葉を加減良く繕って、稔り風に表現したもので、見るからに穂が稔り重さで垂れた風情にしたものです。葉がもう少し10・程でも長ければ良いのだが…。垂れ姿と穂の太さ、振り出し方向等、稔った表情として自然性の意図を心掛けた。

※ 真=やや陽方から陰方前角・真後=陰方後角・真前=ほぼ正面から僅かに陰方・副=軽く後角・副内=陽方奥深く(左図参照)

粟と小菊=二種生け・粟五本・小菊三本
 
※粟の茎は下から、葉は節までは管軸になっている。節は折れる。管部は曲がり難いが注意して割れない様にする。穂の部は全く折れない。穂首下の細い部も注意すれば充分撓めが効く。

 

 

【又木留と振り込み俯瞰図】
※粟穂の向きは振り込みを示す
副(軽く後角)
副後(陽方奥深)
真前(正面から僅か陰方)
◎小菊a根〆三本
真(やゝ陽方から陰方前角)
真後(陰方後角)
 
 
 


秋の風情ある ほたる刈萱と女郎花

2015-08-13 08:22:29 | 生花

「ほたる刈萱と女郎花」

生花


指導 生花指導部 今井鶴風
 

 
Seika
重ね生け
(交ぜ生け)

花材
ほたる刈萱
女郎花

花器
かご

おみなえしは「秋の三草」としてあげられていて、女郎花を活かすには、すすきや刈萱・桔梗・竜胆などがあげられます。
 此の度は、ほたる刈萱を用いて重ね生け(交ぜ生け)にしました。重ね生けでは二種の秋草、また夏の水草の二種を用い、二種の花がそれぞれ不完全ながら真副体の姿をつくり二種合わせて完全な一瓶の真副体の花姿に生けます。
 ほたる刈萱を後に高く真○副○体座
 おみなえしを前に低く真座、副座体○とし
 刈萱とおみなえしの水際は混合してはいけない。前の女郎花の副座は刈萱の真を横切ることです。女郎花は女性的で優美、副体はいく分高めにして、すらっと物さびしく立ち上げる事が、風情をいけ表わすでしょう。また、小枝が多く交叉しがち。主となる枝の交叉は別として見苦しくない程度のものは見逃し切りつめない方がよい。
 花器ーかご・竹・つぼ等
 祝儀の席ーよろしくない
         (女郎花)