見出し画像

ペーパースマハー

瞬眠∥あらましを獲られず

エリック・ロメールの名前を聞いて、〝ああ、あのフランスの…〟と、即座にピンと来る人は結構な映画通と見た。

たまたま旧作の特集上映が始まったという情報を夕刊でキャッチしたので、宣言前日ではあったが上映している渋谷へ行ってみた。

エリック・ロメールの映画は都心のあちこちにミニシアターが濫立していた大昔、でもないが、本当によく日本で公開されていた。

よって自分も含め、ちょっとヨーロッパ系の映画好きを気取っていた諸兄らには、あまさず非常に人気のあった映画監督だ。
と認識をしている。

今回は「六つの教訓話シリーズ」が全部上映される事になったので、なかなか見る機会のなかった、第一作目と二作目を見ようと思った。

そわ、行ってみっぺ😁

オンラインで席を予約した時点では、3割位は空席も見受けられたのに、当日会場へ行ったら、人、人の眺め、ぎっちりの満員御礼になっていた。
エリック・ロメール熱、いまだ健在。

ヤルぅ😁

その日のラインナップは三本立て。
最初は「ベレニス」という短編物であった。
事前学習では解説に日本初上陸とある。

黒白の画面に、ナレーション。
想像していたよりあんまり動きのない話に、開始五分も経たず、何だか気が緩み出す。
ちょっとだけ、と一瞬だけ瞼を閉じてみる。当然いっしょに意識もブッ飛ぶ。
「おっと⁉️いけねーッ」
はッと我に返ると一瞬どころじゃない。話はどんどん進んでいる。

いけねー、いけねーと頭の中で反駁す。

しか〰️し…
黒白の画面に、ナレーション。
あんまり動きのない話に、又しても魔の誘いが…。Z,Z,Z,,,
「おっと⁉️いけねー✴️」
いけねー、いけねーと、尚反駁す。

そんな「いけねー」有り様を三度、四度と繰り返し、瞬く間に一本目終映。
短編ではあったが、良かったんだか何だったんだか、貴重な初上陸が頭に何も残っていない。

続けて二本目の「モンソーのパン屋の女の子」が始まる。
今度は呑気に寝ている場合じゃないと自分を叱咤するも、これとてさっきの一本目といっしょ。
やはり、黒白の画面…
輪をかけて、仏語のナレーション…

Z…
「たーっ⁉️とッとッと✴️」
飛び起きまではしないが、口にも出しはしないが、又やっちまっただ…
と、平静を装いつつ内心は慌てふためく。

一体どんだけ同じ事をやってれば気が済むのか?
呆れる自分。
こんな睡魔にばっかりほだされていてはならぬ。と、思う矢先、無情にも二本目も終了。

パン屋の女の子、結局何がどうしたの?
誰かおせーて😭

斯くして三本目。
さすがに今度こそはと、気合😠✨をいれて画面を見る。
とはいえ画面は追いながらも気持ちはそぞろ。
それまでの失態に次ぐ失態が尾を引いて、誰に聞かれもしない言い訳を、あーだこーだ考えていたりする。
すると。

スーッ…

あれれ😵💨?
突如、隣に座った会社員風女性から、深~い寝息が…聞こえて来る。
どうやら自分の眠気がそっちに伝染してしまった?

微睡みの底を覗き込むような誘惑が、またぞろ意識のドアを微かにノックする。
それは自分のみならず誰しもに訪れるものなのだ。

不思議だ。
自分のお株を取られてしまったではないけれど、隣でああしてスヤスヤが始まると、こちらの朦朧としていたそれまでのモヤモヤが、途端に一気にサーッと醒めて行くのが、その時感じられた。

今更遅いし。
どこからか声がする。
草葉の陰でエリック・ロメールが嘆息してそうだ。
  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「日記」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事