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sean's cinema

seanの映画の部屋へようこそ。

「ブタがいた教室」

2008-10-26 | 過去に観た映画
試写会にて。

1990年に大阪の小学校で実際に行われたこの授業。
TVでドキュメンタリー放映され、
その時も大反響を巻き起こしたんだそうだ。
…この話を私はぜんぜん知らなかった。恥ずかしい^^;
でも、だいたいの内容は分かっていたので、
これから観られる方も、多分予想通りの展開だと思う。
取り立てて大事件が起こるというわけではなく、
「食べる」目的で飼い始めた豚の「Pちゃん」が
どんどん大きくなり、6年生の卒業が近づいてきて、
「食べるか」「食べないか」の論争が起こるのである。

これは「家畜」を「愛玩動物」として飼ってしまったなら
当然沸き起こる「情」だと思う。仕方のないことだ。
というよりむしろ、何の感情も沸かない方が問題であって、
(でも中には動物が嫌いな子もいたんだろうな^^;)
その「情」と「責任」の狭間で子供たちは悩み苦しむのだ。

私はこの授業を、別段素晴らしいとは思わなかったけど、
かといって、下らないとも、けしからんとも思わなかった。
新任教師の授業内容の是非を問うているのではなく、
子供たちが真剣に「命」と「食」の関係に向き合い、悩み、
苦しみ、成長していく様子を描いた普通のドラマだと思った。
もっといえば、まだまだ力不足の先生の方も、校長や父兄、
子供たちの熱意にたくさんのことを教えられたはずである。
特にあの校長先生は、よくぞの決断だったなと思う。

唯一、とにかく酷なことは、彼らがこの豚をペットとして
愛してしまったのち、捕食者としての責任を問われることだ。
拾ってきた子犬を「捨てる」約束で飼い始めても捨てられない、
それは豚も同じことで、子供にしたらごく普通の感情だと思う。
でも豚は、基本は家畜、いずれ豚肉にされる動物なのだ。
可哀想だろうが、残酷だろうが、それも本当のことである。

子供ながらに「責任」を全うするため「食べる」という子供。
誰かに頼んで世話をしてもらい、長生きさせたいと願う子供。
自分の身体の一部になってくれたら嬉しいよ、と訴える子供。
よくそんな残酷なことが言える!と相手をなじり怒鳴る子供。
連れてきた先生はどうなんだ?どうするつもりかと聞く子供。
しまいには、みんなでワンワン泣いて…ホントは悲しいという。

でも、こんな光景は日本(先進国)ならではかもしれない。。
どこかの国では、お祝いの席で動物の首をひねって切落し、
その場で皮を剥いで臓を裂き、吊るして丸焼きにするのを
子供たちは大喜びで眺めているのだから。
…ご馳走だ!と日本人が思えないのは、多くの子供たちが、
そんな光景を目の当たりにして、動物を食べていないからだ。
だからこそ「ありがたい」なんて思うことができず
「かわいそうだ」「残酷だ」という方向へ流れてしまうのだ。

「他の豚なら食べられるのに、Pちゃんだけ食べられない
なんて、おかしくないですか?」…うんうん、そうだよね^^;
なんてごもっともな意見なんでしょう。。。

ちなみに私の実家の近くには鶏工場があり、
そこでは毎日たくさんの鶏たちが精肉加工されていた。
毎朝彼らの「クワーっ!クワクァーっ!」という叫び声を
聞きながら登校していたが、今でも鶏肉は大好きだ(爆)
…そして家では当時「インコ」を飼っていた。
もちろん食用ではない^^;それを猫に捕られ死ぬほど泣いた。
あー。私にも矛盾する過去がいっぱいあったのだ。
Pちゃん、教えてくれてありがとう。

(ごめんなさい。ありがとう。いただきます。ごちそうさま。)

★★★★

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6 コメント

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深い・・・ (ふみや)
2008-11-01 22:09:24
私もこの作品は気になっていました。
小学生の子どもたちが、学校で飼ってた豚を
食べるかどうするかで大いに議論する・・・
ある意味、深い内容の作品だと思います。
ただseanさんが言われるように、
この論争は日本の学校だから起きるんだと思います。
世界的な食料不足の中、もう一度「食」と言うものを
考えるべき時に来ています。

ところで、今日舞台挨拶つきの「まぼたい」観てきましたよ。
サプライズもありました。
詳細はあちらで。
返信する
うーむ (ポチ)
2008-11-01 23:27:28
私も同感。深いな…
この子たちの心の葛藤を思うと何とも云えない
気分になりますね~。それは否定的な気分ではなく。
以前、「僕を食べて」という動物のアニメが
ありましたよね。主人公は羊だったかな。
ちょっと忘れてしまいましたが…
似たような問題は「世界紀行」という
本でも感じました。やがて食料にする牛を
家族のように丁寧に優しく扱って…
その人は「この子可愛いでしょう? でも食べちゃう
んだけどね」と平然と言う。日本人の私には
奇妙な感覚におちいりました。
返信する
ふみやさん♪ (sean)
2008-11-03 20:26:20
そうですね~。ホントに深い。。
本作の中で先生もおっしゃってますが、
正しいとか間違っているとかの問題ではないですね。
「肉食」の原点とは…。

おぉ!まぼたい!いかがでしたか??
あとでおじゃましますね☆
返信する
ポチさん♪ (sean)
2008-11-03 20:37:50
うわーさすが外国。(爆)
そういうのを見ると、なんて大甘な日本人^^;と思ってしまいます。
ペット大国の国からすれば、すべてが愛玩動物に見えてしまうんですよね。
動物は癒しの為にいるのであって、肉になるためにいるのではない、と。

だけど(本作でも語られますが)畜産農家の人から見れば、
彼らをお肉にするのは当然のことなんですよね、、、。
人間の勝手とはいえ、ビジネスとはいえ、
彼らの本望は、その肉をいかに美味しく育てるか。。
愛情がない訳でも、残酷極まりない訳でもない、その想い。
「殺す」のと「食べる」のとは違う!と言った子供もいました。
深かった…^^;
返信する
すごく深い (ポアポア)
2008-11-10 21:28:13
でも、観れない映画の一つです。
このお話、リアルタイムで知ってます。
大変な問題になってました。教育現場でも、賛否両論というよりも、非難轟々のほうが多かったなぁ。
残酷なことを子供に教えるのは、いかがなものか?ってね。
思うに、意外に子供は残酷で、シビアなものを持って生きてますよね?
私は、肉を食べるとき、料理するとき、いつもその生き物を思います。なので、食べるのは大変苦痛です。自分が肉にされたらと想像したこともあります。実際、まったく肉を食べなかった時期もありました。そこを、どう?自分で思いきったか?話すと長くなります・・・苦笑。

生きるということは、深いです。
何の「生」の犠牲なくして、命あるものは生きてゆけないのですから。

でも、このブタちゃんを「最後には食べようと思います」って言えた先生、すごいですね。
う~ん、長くなって意味不明でゴメンナサイ。滝汗
返信する
ポアポアさん♪ (sean)
2008-11-10 23:19:44
リアルで知ってたのね(汗)
私は当時のTV放送を観てみたいと思いましたね~。
残酷なことを子供に…って^^;
じゃあ大人になったらいいんですか?って話だよね(爆)
大人の言うことはいつもムチャクチャだね。

この先生は、最初はすごく軽い気持ちでブタを持ち込むの。
それを深く考える基点をくれるのが子供たちなんですよ。
子供の頭で一生懸命考えて、どうするのかを導き出そうとする過程がすごく良かった。
こういうのが残酷かなぁ…?
私はすごく大切なことだと思うんですけど。

人間はホントに身勝手ですよね。。
ちなみに私はベジタリアンにはなれましぇん^^;
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