「グッドナイト＆グッドラック」

これももう、絶対公開中は観れないだろうなーと半ば
あきらめモードだった(でも名画座で観るぞ！)作品でした(^_^;)
このエド・マローという人物を、私は全然知らなかったんですが
テーマを聞いて俄然観る気になりました。だって赤狩り時代…。

たぶん映画ファンなら一度は聞いたことがあるでしょう。
アメリカにとって、恥ずべき不当な権力が猛威をふるっていた時代。
このマッカーシー上院議員が唱えた共産主義者撤廃運動は、
アカとみなされた数千人の人々の職と地位を奪い、家族や生活を
守るために密告者を出現させるという前代未聞の圧力を加えました。
映画界も例に洩れず、これにより多くの映画人がハリウッドを追われます。
かのチャップリンもそうでした。同僚の名を売った監督もいました。
名監督、エリア・カザンもそのひとり。
何年か前のアカデミー賞授賞式で、彼が名誉賞を受け取ったとき、
客席の俳優陣が腕組みをしていたのを覚えている人も多いと思います。
仲間を売った彼を絶対許さない、という意志の表れでもありましたが、
彼はそうしなければ、自分の職を失うところまで追い詰められました。
口を割らず職を失った人々の生活を、業界ですら保障してくれなかった。
そこまで人間を追い詰めた不当な権力こそ、非難されて然るべきです。
だから、エド・マローは間違ってない！誰かが杭を打たなければ、
図に乗ったマッカーシーはもっと酷い手段を行使したかもしれません。
…こんなヤツが議員だったなんて、まったく聞いて呆れる。

新聞の小さな記事から、この事件を報道番組に引っ張ろうとしたエドに
当然局の上層部たちは猛反発します。政府を敵にまわして勝てる訳がない。
ましてや部下たちの生活を危険にさらすのを見ぬ不利なんて出来はしない。
どっちも間違ってない…ものすごく苦渋の決断だったと思うのです。
でもエドとプロデューサーのフレッドは大きな賭けに出ます。孤立無援の中、
堂々と報道するに踏み切り、議員を名指しで糾弾したんですねぇ。すごい！
そしてそれが…もちろん待ってました！の大反響を得ることになる。
だって誰もがこんなことを早く終わらせて欲しいと願っていたのだから…。

主人公のエドを演じるＤ・ストラザーンのカッコ良いこと！！！
リアルな御本人を見たことがないので(汗)比べようがないんですが、
本当にこのエド・マローって人はカッコ良い☆
ストラザーンの喋り方も秀逸で、淀みなく淡々と真実を伝えながら、
最後にいつもの「グッドナイト～」で締めくくるダンディーさ♪に
痺れちゃいましたよ。監督のクルーニーにとっても、エドはヒーロー
だったのだそうです。クルーニーの父親もＮキャスターだったんですね。
そっか、そう考えるとクルーニーはＴＶ界の寵児だったのか～。

業界の裏表を知っているだけあって(爆)
作りも非常に上手いと思いました。無駄がない、というか。
上映時間だって見事に一時間半強。この短さでこれだけ盛り込める
編集力は、長々しい映画が大作だ！なんて思っている監督さん達に
一石を投じてあげたんでは…な～んて思っちゃいますわ^m^

モノクロの映像なので、タバコの煙が目に沁みます(爆)
…というよりビックリしたのは、昔ってＴＶに映っていながら、
いやニュースを読みながらもタバコを吸ってたんですね。ビックリ！
スポンサーがそうだったから…？とも思いましたが、やはり時代！？
いやはや知らないことばかりで、すごく勉強になりました。
でもやはり…タバコは健康によくない。愛煙家の皆さん気をつけて。
エドも57歳の若さでこの世を去ってしまったんだもの。。。惜しい。

(他のキャストも皆素敵♪音楽も最高♪ダグ、監督業に専念する？^^;）

公式サイトはこちら