SEポートランド

ポートランド、川をわたればSE地区
レンガのアパート、ちいさな家、古着屋とカフェ
人・建物・緑がほどよく混ざる街

フィールドワーカーとしての自己紹介

2019-04-01 14:14:00 | まちとジェントリフィケーション
ひとなつも終わりに近づき、当市で知り合った方々も増えたので、いったんブログを非公開にしました。
内容を見直し、すこし書きなおして順次、再公開していきます。
その前に、研究者としての私の立場を明示します。

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身分:サバティカル研修中の大学准教授
専門:建築・都市計画/文化研究(cultural studies)


わたしは家族とともにポートランドに2年間滞在しつつ、おもにフィールドワーク手法をもちいて市民参加型「まちづくり」活動の調査・研究をしている。フィールドワークとは、なにかの活動、たとえば当市では「まちづくり」活動の現場に、現場の一員として参加しながら観察(参与観察)して、その場所にいる人々のあいだでなにが起き、人々はなにを感じ考えて行為しているのか? を理解すること。

いままでわたしは自主運営のスケボー場、都市公園内の花壇など、場所と参加者が限定されるミクロな活動を調査してきた。しかし現在、ポートランド市という広く曖昧な場所におけるまちづくり活動、かつ調査も着手段階のため、さまざまな現場に少しずつ参加している、という進捗状況である。

ただし具体的に調査を進めるためには、曖昧に広がるポートランド市のなかから、特定のフィールドをきめる必要がある。そのことは今回調査の初期値として、今後研究の方向性をほとんど規定することになるのだが、決定の際の大きな助けとなったのは、子供が通う小学校の父母活動だった。
フィールドワーカーは、現場ではじめに出会ったインフォーマントの立場にそって現場を理解する。つまり、私のブログで取り扱うのは、SEポートランドのなかでもGlencoe小学校区の場所にすむ人々が理解する「ポートランドのまちづくり」である。

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ここは、ポートランド市内南東部の住宅地区。ただし徒歩でもかろうじて移動可能なグリッド街区の戸建て低層住宅地のなかに「街角の食料品店」をはるかにこえた商業通りが混在している。スケール感がまったく異なることを念頭に置いても、この街区構成による日本の既成市街地との類似性は、今後わたしたちが参考にすべき市民まちづくり活動を見出すことができるだろう、と予測して移住した。
市内では「比較的裕福」とされている同地区にすむ住民の傾向として、不動産の無所有者(当市滞在中の私もふくむ)も、事業用不動産の所有者(こちらの定義はそれほど単純ではないはずだ)も目立たず、戸建て住宅を住居用に所有している中流の人々が多数であろう、ととりあえず定義しておく。ここでの中流とは、わたしたち建築・都市計画専門家の社会・政治・経済的な自己認識と一致するだろう。

不動産活況にわく当市だが、わたしの小学校区では、ダウンタウン~東岸再開発地区のように住民が入れ替わるような甚大な変化は起きていない。
ただし本年4月、テイバー山の丘べにある小学校の送り迎えにかよう優しくノンビリした父母たちのあいだでは、「ホームレス問題」が取りざたされていた。なのでわたしは、2017年春~夏、当市いちばんの都市問題である(と小学校区の住民たちが理解している)ホームレス問題とその背後にあるジェントリフィケーションからフィールドワークを開始することになった。
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このカテゴリー「まちとジェントリフィケーション」にある記事は、ハウスレスネス(じぶんの住居をもたない生活状態の人々)よりは、ランドロードに近い(なんらかの不動産をもち運用して生活している人々)が、だからといってダウンタウンで熾烈さをきわめるジェントリフィケーションには違和感をもつ人々からの視点による。




付記:日本から来て、たまたまこの沸騰を目撃することとなったわたし自身は、ポートランド現状の持続可能性をつよく疑っている。その見立てが正しければ、あまりこの問題のみにとらわれたくはない。考察が完全にまとまるころには、きっと古びてしまう社会問題である可能性が大きいから。

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