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日本の学校と朝鮮学校の制度の違い

2011-04-11 | 問題点
 昨年、朝鮮学校にのみに高校無償化が適用除外されるなどがあり、朝鮮学校への注目が高まっています。朝鮮学校は、日本にルーツのある在日コリアンの子どもたちが通っています。また、近年では、親の都合で韓国から来た子どもたちも一部通っています。しかし、朝鮮学校と日本の公立学校や私立学校との制度的な違いについてあまり一般に知られていないのではないでしょうか。具体的にどんな制度が違うのかについて紹介していきます。


(国・地方自治体からの補助金)
 朝鮮学校は学校教育法で「各種学校」とされています。同法では学校教育の機関を日本の指導要領に従い、外国語以外の授業を日本語で行う「一条校」とそれに該当しない「各種学校」に分類しています。一条校へは国からの助成金がありますが、「各種学校」へは給付されていません。「各種学校」は各都道府県の知事によって認定されます。1970年代に朝鮮学校の各種学校認可への動きが全国で行われ、市町村や都道府県による補助金は各種学校へも始められました。しかし、その額は、公立学校の10分の1、私立学校の3分の1となっています。


(大学資格)
 朝鮮学校など各種学校出身者に対して以前は高校卒業資格と認められておらず、大学に進学するためには、定時制や通信制の日本の高校に通って高校卒業資格を取らなければなりませんでした。1999年に各種学校出身者にも大検資格(現在の高校卒業認定資格)が認められるようになり、ダブルスクールの必要はなくなりましたが、大検を受けなければならないといった日本の学校との差異は残りました。2003年3月に日本政府は大学受験資格の制度の変更を行いましたが、それはおもにインターナショナルスクール出身者を対象とし、アジア系の学校の出身者は対象除外としました。このような差別政策は日本の世論にも反発を起こし、同年9月に政府は受験資の格適用条件を拡大しましたが、朝鮮学校出身者には大学の個別審査で認められることが条件になりました。実際に2005年に大阪市立大学、2007年に玉川大学で朝鮮学校出身者に大学受験資格を認めないといった問題が起こっています。


(寄付金の控除)
 学校への経常費の寄付に対する扱いも違います。個人が公立学校や私立学校に寄付した場合、(寄付金額-5000)円が所得控除となり(寄付金額が所得の40%を超える時は、所得の40%-5000円が控除対象)所得税の課税対象から除外されます。欧米の学校評価教育機関の認可を受けているためとして、インターナショナルスクールもその対象となっています。それに対して、朝鮮学校などアジア系の学校やブラジル学校への寄付は所得控除されることはありません。経常費の補助金もなく、財政が苦しい中で、寄付金を集めるうえでも障害がつくられています。


 国際人権規約委員会からは「朝鮮学校に対しても国の助成金を増額し、また朝鮮学校への寄付者に対しても他の私立学校への寄付者と同様の財政的利益を与えることにより適切な財源を保証し、また、朝鮮学校の卒業証書を直接大学入学資格と認めるべき」との勧告も出ています。日弁連も負担の大きい朝鮮学校への政府からの補助金を要請する報告書を提出しています。


 自分の民族の歴史や文化について学ぶ権利は奪われてはならない権利です。また、グローバル化の中で、国籍を超えて共生していくことがこれからますます求められていく中で、日本社会で生活していく朝鮮学校の生徒との共生はなくてはならないものです。これまで国籍や言語が違うといった理由で、壁を作ってきましたが、共に社会をつくっていく平等な制度を構築していく必要があります。

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