完走報告（笹井宏之）

道ばたでずいぶん長いこと休んでいましたが
なんとか走り終えることができました。

無意識に選んでしまう形式・語彙・イメージ
そのような歌の傾向が、くっきりとみえてきました。

もっと精進せねば。

ほんとうに、ありがとうございます。


笹井宏之

100:終（笹井宏之）

終止符を打ちましょう　そう、ゆっくりとゆめのすべてを消さないように

099:茶（笹井宏之）

お茶をのむひとの隣でさくさくと逆さから唱える六の段

098:ベッド（笹井宏之）

四本のあしをせわしくうごかして廊下を駆けてゆくベッドたち

097:話（笹井宏之）

お話はこれでおしまい　さあはやくあなたの画布にお戻りなさい

096:模様（笹井宏之）

しまうまの模様のはがれおちたのをさみしい部屋に貼り付けてやる

095:裏（笹井宏之）

うつくしく裏返るひと　すいもののインスタントのこなをこぼして

094:社会（笹井宏之）

社会的すっからかんがある朝に泉になっていることもある

093:祝（笹井宏之）

祝祭のしずかなおわり　ひとはみな脆いうつわであるということ

092:ホテル（笹井宏之）

さむがりのたましいたちを宿らせてけやきホテルの夜が明けてゆく